自己満足…誇らしい笑い…「ホルホル」
「ホルホル」 とは、誇らしいこと、自慢したいことを、自画自賛気味に どや顔 で語りながら胸を張って笑っているような状態を示す擬態語のひとつです。 ただし多くの場合、その自慢にまるで根拠が伴っておらず、うぬぼれによる慢心なのがその特徴でしょうか。
他人に対して 「あいつはホルホルしてる」 なんて使う場合は、しばしば嘲笑、侮蔑的な意味を持っていて、多くの場合、その語源から韓国人 (後述します) や、あるいは狂信的な特定作品や特定ゲームハード機、政党などなどの ファン、シンパの自画自賛に対する揶揄、客観的事実を捻じ曲げた擁護への罵倒として使われます。
日本語のその他の擬態語としては、尊大な態度でする咳払い 「エッヘン」 とか、貴族や公家の笑い声風の 「ホ〜ホッホッホ」 なんてのが近いでしょうか。 他人に対して使うだけでなく、自嘲気味に自分に対して使うケースもたいへん多く、「週末は新しいパソコンを買ってホルホルしてました」「家に持って帰ってホルホルする」 などと使う場合もあります。
元ネタは、日韓翻訳掲示板の翻訳から
ホルホルが発祥した enjoy korea |
元ネタ ですが、日韓翻訳掲示板 (enjoy Korea/ エンコリ) で、韓国人がハングル (韓国語) で書いた笑い声が日本語訳されて表示される時に 「ホルホルホル」 などとなったので、それをそのまま使ったものが語源となります。
多くの場合、日韓のユーザの罵倒合戦となっていた同掲示板で、日本人を貶め自国の自賛をする韓国人ユーザが、誇らしげに笑うのがすなわち日本語表示で 「ホルホル」 だったのですね (他にも色々ありましたが)。
この 「ホルホル」 が ネット で話題になると、以降は意味が 拡散。 剣道やら日本刀やら茶道やらの起源を韓国が捏造して誇っているさまを 「ホルホル」 と表現したり、「○○は韓国が世界一」 といった主張にも、翻訳や掲示板の話を離れ、そのまま使われるようになりました。 転じて、裏づけや正当な根拠のない他人の自画自賛を罵倒する慣用句ともなりました。
元ネタはコピーソフト 「ホルホル」 との話がありますが…?
2ちゃんねる」 の 「ハングル板」 |
ところで 「ホルホル」 発祥当時の状況として、1990年代末から2000年頭にかけ、ネット上の 掲示板、とりわけ 2ちゃんねる で吹き荒れた反韓・嫌韓の 書き込み の増大、中でも 2002年の日韓ワールドカップ前後の盛り上がりというネット上の風潮が土台にあります。
当時、そういう書き込みばかりを無関係の掲示板などに貼り付けてまわる人を 「嫌韓厨」 などと 厨房 扱いして嫌う 雰囲気 もありましたが、それらの人たちがお隣韓国の様々な 「おかしいところ」 をあげつらう情報のサルベージ (発掘) や取りまとめを行っていました。
その中に、1982年11月に発売された 8ビットパソコン (NEC の PC-8801 やシャープ X1、富士通 FM-7 など) 用の ゲーム、「HOL HOL」(ホルホル) という韓国のメーカーが作ったとの触れ込みによるソフトがあり (実際の発売は コムパック/ COMPAC社/ 工学社)、それがどう見ても 1982年3月に発売され世界的に大ヒットとなったナムコ(当時/ 現バンダイナムコゲームス) のアクションゲーム 「ディグダグ」(DIGDUG) の模造コピー (パクリ) だったことから話題に。
ディグダグの名称は、メーカーのキャッチコピー 「戦略的穴掘りゲーム」 そのままに、「dig dug」 すなわち 「掘る掘る」 という言葉がそのままネーミングされているわけですが、それを英語から直訳してそのまんま忠実にパクった 「ホルホル」 の名称が受けて一部の板で 「韓国のパクリ情報」 に対する揶揄の言葉としても定着したようです。 2001年には方々で、前出したような意味で使われる言葉として広まっていましたね。
ちなみに 「ホルホル」 のゲーム本体の 作者 は実は日本人で、当時雑誌 「月刊 I/O」 などにもソースコードつきで掲載されていました。 その後このソフトは 3,000円から 5,000円程度で各機種のパソコン版として発売されますが、発売元のコムパックは 雑誌 「月刊 I/O」 を発行している工学社の子会社ですので、それがどういう経緯で韓国メーカーのパクリの話となったのか、ここらの事情や実際のソフトの権利関係の影響はよくわかっていません。
「ホルホル」 の解説を行う コピペ の文章 (誰かが作った、掲示板 などに貼り付けるための文章 テンプレート) の中に、民明書房刊 のものがあり (民明書房とは、マンガ 「魁!!男塾」 に登場する架空の出版社で、デタラメをもっともらしく解説するもの)、一連の 「ゲームホルホルが元ネタ話」 は、「ネタ」「ギャグ」 で作られたものだったのでしょう。
しかしあまりに信憑性が感じられるものだったので、「ホルホル」 はこの 「ネタ」 をも元ネタとして、使われるようにもなっていたようです。 まぁどちらも使いどころや意味がほとんど同じなので、本来の元ネタと、ネタとしての元ネタのミックスされた言葉のような感じなのかも知れません。
ちょっとだけ蛇足…ゲーム 「HOL HOL」
ちなみにゲーム 「ホルホル」 ですが、何も 「ディグダグ」 の模造品はこれだけではなく、日本の他のメーカーなども 「ジグザグ」(ZIGZAG) だの 「チクタク」(TIKTUK) だの 「ディグバグ」(DIGBUG) だの、似たような名称の同じようなゲームを相次いで発売していました。 それぞれに微妙にディティールや再現度が異なっていて、それぞれにそれなりのファンがいたりしました。
実は当時はコンピュータソフトに 著作権 が認められておらず、パクりパクられは業界の常だったんですね。 後にコナミはこれらの違法コピーソフトと著作権や 商業 権の有無について裁判で争っていますが (任天堂も 「ドンキーコング」 などで何度か裁判沙汰をやっています)、明確に著作物として認められるようになったのはアメリカでは 1980年、日本では 「ホルホル」 の登場から約2年後の 1985年からでした。
テレビゲームの初期の大ヒット作品にタイトーとその子会社が 開発 販売した 「スペースインベーダー」(1978年) がありますが、任天堂もコナミも、これのコピーのようなゲームを 普通に 作って販売していました (任天堂社長の山内さんは、当時のインタビューで 「遊び方にパテントはない」 とまでいってましたw)。 まぁここらは今と時代認識やコンピュータソフトの 概念 自体も全く違うわけですから、当時の話としてはやむを得ないところでしょう。
そもそもそれ以前のゲームなどは稼働に際して CPU や今でいうプログラムすらないものもありましたし、1960年代末から70年代初めころのゲーム黎明期は、雑 に云えば創作物というよりはまだまだ技術的な論理や回路やそれを活かした機材みたいなイメージです (最初の知的財産侵害の裁判も特許 (パテント) 侵害)。 70年代末から80年代にかけ状況は大きく変わりますが、企業も一般のコンピュータユーザ (プログラミングを 趣味 にしてるような人たち) も、腕試しとばかりに既存のソフトを自分なりのプログラミングで再現するなんて遊びをしたり、それを販売するといったことをやっていました。
ただし韓国のこの種のコピーは中国と並んで、知的所有権の概念が行き届いた 21世紀にあってもかなりひどいもので、スポーツや歴史認識などで日本の若者を中心に ネット住民 から反感が強いこともあり、ネットの世界では マンセー や ○○しる、ファビョる などと並んで、すっかり定着しかなり頻繁に見かける言葉となっています。