あると作業効率アップ、「テンプレート」
「テンプレート」 とは、日本語では 「ひな形」「定型」 といった意味の言葉です。 略して 「テンプレ」、意図的な誤字で 「テンプラ」 とも呼びます。 元々は英語の 「Template」 から来ており、「型板」「鋳型」 といった言葉ですが、ネット やコンピュータを使った業務や作業では、あらかじめ定められた様式に 整え られたひな形データや、ひな形そのものを指して使うことが多いでしょう。
例えば メール の文章テンプレートなら、用途別にヘッダー (冒頭の書き出しや挨拶) と本文、フッター (本文末尾に決まった情報をまとめて記載する部分) などがあらかじめ作られていて、後は宛先を入れるだけ、あるいは簡単な個別の特記事項を追加するだけで完成します。
また複数枚にわたるページものの印刷物などの場合、ページごとにレイアウトや文字の大きさ、ノンブル (ページ通し番号) などがバラバラでは乱雑な印象となってしまいますが、一定のテンプレートに文章や 画像 などを流し込んで作成すれば、各ページできれいに揃った資料などが簡単に作れるでしょう。 これは ブログ といったネット上の コンテンツ も同様で、さらに本文の内容とテンプレートとを別々に管理することで、例えばテンプレートの差し替えだけで、全体のレイアウトや視覚デザインなどを一気に切り替えることもできるようになります。
これらは個別の作業効率が向上したり品質管理が容易になるだけでなく、作業自体の標準化も行えることとなり、初心者でも一定水準以上の制作物を作る助けとなります。 文書作成に対する企業の人材育成コストも削減できますから、テンプレートによって広く業務効率化を図ることもできます。
なおテンプレートとして使うもののうち、全体ではなくごく一部だけに当てはまる小さいもの、コピペ などで手軽に使える断片的なものについては、コピペ素材とかスニペット (切れ端、断片) と呼ぶこともあります。
「ありきたり」「定型的」 な比喩表現として
一方、テンプレートによって作られた文章や印刷物、画像などは、当然ながら定型的でありきたり、無難だけど個性のないものになりがちです。 例えば 「テンプレ対応」 と云えば、何の面白みも味わいも温もりもない、機械的で無味乾燥、型通りの対応という意味となりますし、「テンプレ作品」 なら目新しさのない、ありがちな 設定 をただなぞっているだけの作品という意味となるでしょう。
全てをテンプレート化すると個別の深い対応が難しくなりますし、かといって例外や個別対応をあまりに重ねたりケース別テンプレートを大量に用意したら、そもそもテンプレートを使う利便性も意味も小さくなってしまいます。
大手企業の一部などは、「謝罪」 といった重要なものについては同一課題でも複数のテンプレートを使って柔軟な対応をするよう努力している場合もありますが、そもそもテンプレートを探すより自分で書いた方が早いみたいな状態もあったりして、この辺りはバランスが難しいものです (それでも個別に勝手な文書を作られては標準化も内部統制もできなくなってしまいますし、品質管理の部分ではテンプレを使う意義は大きすぎるくらい大きいですが)。
ネットの世界やネット用語でも、テンプレは必須
趣味 や娯楽としてのネットの世界でも、テンプレートは大きな役割を持ちます。 多くの人が集まる 掲示板 といったコミュニティでは、場所ごとに様々な決まり事やローカルルール、参加者が事前に押さえておくべき情報などがあります (利用のためのガイドライン)。 これらをまとめたものをテンプレートとして整備し繰り返し発信することで、無用な トラブル や無駄なやり取りを事前に防ぐ効果が期待できます。 こうした情報を集めた ホームページ (ウェブサイト) は、テンプレサイト などと呼ばれます。
また流行した ネットスラング などは、改変して使うための文章・言い回しのテンプレートとして機能する部分もあります。 こちらもあまりに流行りすぎると元となった言葉やフレーズの意味は薄れ、画一的で面白みのない言葉をただコピペしているだけなりがちですが、「同じ知識や嗜好の人たちとお互いのそれを確認し合う」 という意義はありますから、「テンプレフレーズばかりで ウザイ」 こともあるとは云え、ちゃんと意味はあり、また廃れることもないでしょう。