同人用語の基礎知識

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盛り上がると誰かが作る 「まとめサイト」

 「まとめサイト」 とは、掲示板 などでひとつの スレッド、あるいは話題が盛り上がった時に、そこに書き込まれた情報 (テンプレート 化した 書き込み や、状況を大きく変えるような重要な書き込み、アスキーアート など) とか、アップロード されたデータ (アイコラ画像MAD の動画、音声ファイルなど) を保存して一まとめにし、後から来た人が簡単に情報を閲覧できるようにした、極めて専門性の高い特殊な ホームページ (ウェブサイト) のことです。

ネカマ作戦記サイト
ネカマ作戦記まとめサイト/ 2001年
電車男サイト
電車男まとめサイト/ 2004年

 多くの場合、その掲示板なりスレッド (トピック) なり話題なりに参加していた有志が、その掲示板内でサイト作成を宣言、手弁当ボランティアで自主的に作り 運営 する場合が多く、ジオシティーズ(geocities/ 塩) やトライポッド(Tripod)、FC2WEB などの無料ホームページサービス (会員登録だけでウェブサイトが運営できる無料のレンタルサーバ) を利用して作成されます。

 2003年頃からは、ブログ のシステムを使った 「まとめブログ」 とか、「Wikiシステム」 を使った 「まとめ wiki」 なども登場しています。 うち後発の 「まとめ wiki」 は、不特定多数が編集に参加することができるようになっている場合が多いのですが、それ以外の利用方法などは、どの形式での運営でも原則的に同じです。

 また似た運営スタイルを持つものに、テンプレサイト というものもあります。 こちらは継続して立ち続ける人気スレッドなどの 既出ネタ を取りまとめするもので (専門性の高い掲示板のものが多い)、「まとめサイト」 とほぼ同じような意味の言葉となり後年は混用もされていますが、厳密には違うところもあったりします。

 さらに特定の話題やスレッドのまとめではなく、掲示板全体のまとめや、掲示板全体を横断し複数の板やスレッドから特定の ジャンルカテゴリ だけに特化 (美少女ゲーム専門とか、鉄道模型専門とか) してまとめたようなものもあります。 こういったタイプのまとめサイトは規模も大掛かりで、2003年に 「ブログ」 が普及すると、いわゆる 「コピペブログ」 へと発展して行きました。

膨大な数が存在する 「まとめサイト」

2ちゃんねるの箱舟サイト
2ちゃんねるの箱舟
まとめサイトのまとめサイト
セーラームーン@2ch掲示板 関連スレッドリンク集サイト
セーラームーン@2ch掲示板
関連スレッドリンク集
うちでやってたサイトです

 実際の 「まとめサイト」 の形は様々です。

 後に 「コピペブログ」 に発展するような、まとめサイトの 管理人 (まとめサイトの 中の人、まとめ人などと呼ばれます) が膨大な手間暇をかけてスレッドの発言 (レス) を丁寧にまとめたものから、単に過去ログの倉庫となっているもの、関連するスレッドやその他のサイトの リンク をまとめただけのリンク集のようなもの、その全てを行い掲示板などの独自のコミュニティを持っているものまで、その運営スタイルは色々で、とくにやり方が決まっているわけではありません。

 一般的には、まとめの元となったスレッドの住人が 「あれも入れて欲しい」「これもつけて欲しい」 なんて要望を管理人に書き込みの形でリクエストし、まとめサイトの管理人が要望を受ける形でサイトを作り上げて行きます (スレッド由来のまとめサイトの場合)。

 お祭り などで盛り上がって作られる場合には、もっとも人が集まっている中心となるスレッド (本部スレなんて云います) をメインに、管理人以外の住民があれこれ本部に情報を持ち寄り、まとめサイトの更新のサポートをしたりもします。

 規模や運営ペースもバラバラで、数十ページ以上もあるような巨大なものから、トップページ の1ページだけのものもあったり、また派生元のスレッドとともに何年間もずっと更新を続けているところもあれば、「祭り」 のさなかに立ち上がった状態のまま放置してあるようなサイトもあります。 ちょっとした 「祭り」 では、1つや2つ、必ず誰かが手を上げて 「まとめサイト」 は作られますし、全体を把握するのは極めて難しいのですが、趣味で個人サイトをすでに持っているような人が、「ちょうど今、暇だから」 なんて感じで作る場合が多いようですね。

 ボランティアの運営なので、モチベーションはスレッド住人からの賞賛や感謝の声だったり、日々増えるアクセス数などでしょうか。 基本的に アフィリエイト はご法度な 雰囲気 もありますし、お金儲けが目的というわけではありません (全員がそうだという訳ではありませんが)。 ただ1度作って評判が良いと、また作りたくなる魅力が、「まとめサイト」 にはあります。 ノリ としては、大学の試験対策のシケプリ作りみたいな感じでしょうか。

「まとめサイト」 の立ち上がり方

 特定の話題を扱うスレ (スレッド) が人気となり、あるいは ネット の上のいわゆる 「お祭り」 などが盛り上がると、参加者の中から暇な人、サイト作りを苦にしない人、あるいは 「この祭りなり話題なりを、広くネット中に知らせたい」「情報を保存していつでも閲覧可能にして広めたい」 と思う人が、「まとめサイトつくります」「作ったよ」 などと宣言して立ち上げるパターンが多いようです。

 また掲示板 2ちゃんねる などで雑談系の話題が盛り上がり、人気が高くて人が大勢集まる掲示板 (ロビー板やラウンジ板、ニュース速報板、ニュー速VIP板など) で、「みんなで○○まとめサイトを作ろう」 なんてスレッドが立って、そこが発端となって作られるケースもあります。 この場合は、サーバをレンタルしてサイトを立ち上げる人、文章を作ったり、看板 (ロゴマーク) や バナー などを、参加者が手分けして作ったりします。

 「2ちゃんねる」 に限らず、ネット掲示板の多くが時間とともにスレッドがDAT落ちするなどして一般の人は暫く読めなくなったりしますし、アップローダーうp された画像なども、早ければ数時間で消えて見れなくなってしまいます。 消える前に 「過去ログ」 を保存してアーカイブしたり、膨大な書き込みの中から重複したり無意味なものを排除し、有益だと思われるもの、話題に参加する時に知っているとよいと思われる内容を、コンパクトに取りまとめてくれるのは、祭りに乗り遅れた人や、過去のスレッドや話題、祭りを振り返りたい人には、大変ありがたいものです。

「電車男」 など、社会現象化するような 「まとめサイト」 も

 こういったサイトの作られ方は、インターネット の時代となって、割とすぐに登場しました。 「テンプレサイト」 の原型は、パソ通 の時代にも個人掲示板のような形で存在していましたが、インターネットが普及し始めてすぐに、いわゆる 「ホームページブーム」 があり、「ネタはないけどサイトは作ってみたい」 なんて人が、かなり多かったこともあります。 大手掲示板で盛り上がった内容の 「まとめサイト」 なら、膨大なアクセス数は保障されたようなものですし、「自分の作ったものを大勢に見てもらえる」「レスポンスがすぐに来る」 というのは、かなりやる気を出させてくれるものです。

 一方で、まとめサイトには 「晒上げ」 の意味もあります。 掲示板で 痛い 行動をしてしまった人の書き込みをまとめてネット上に永久 (?) に晒して笑いものにしようとしたり、「ブログ」 の 炎上 により盛り上がる中でサルベージされた個人情報などを、晒す目的を持ったものもあります。

 またマスコミが触れたがらないとされる 特定アジア (特定のアジア3ヶ国、中国、韓国、北朝鮮) に関わる犯罪情報の集積や、彼らがしばしば語る 「日本にひどい目にあった」 という主張を覆す各種統計資料や歴史文書などを、アーカイブしているところもあります。 また同じようにマスコミの腰が引けている、未成年者の凶悪事件についての紹介、告発サイトのようなものも、「まとめサイト」 の 定番 カテゴリと云えるかも知れません。

電車男/ 中野独人
電車男/ 中野独人

 これらの中には、膨大なアクセスを集め話題となり、相手国 (中国や韓国など) のマスコミや政府機関から名指しで批判されるようなところや、無料ホームページサービス側の 「強制削除」 で 「言論弾圧だ!」 と逆に盛り上がり、同じ内容をコピーした ミラーサイト が増殖するなどネット上の 「火薬庫」 のような状態になっている場合もあります。

 なお、こういった 「まとめサイト」 の中でも、毒気の少ないネタ書き込みなどの集積によるまとめは、2002年〜2003年あたりからの 「サイトの書籍化」 の盛り上がりの中でいくつか 商業 展開するケースもあり、「2ちゃんねる」 とか 「匿名系掲示板」 の存在を、広く一般の人にも知らしめる効果を持つものもありました。

 とりわけ 「独身男性板」(毒男板) の 「毒男が後ろから撃たれるスレ 衛生兵を呼べ」 から派生した一連の 「電車男」 関連の書き込み (2004年3月14日から5月9日まで) とその 「まとめサイト」 は、書籍化、映画化、テレビドラマ化、舞台や マンガ になるなど 商業化 して大ヒット。 社会現象化するほどのブームとなりました。

「まとめサイトの中の人」、管理人はどんな人なのか

コピペちゃんねる
2009年開始の2ちゃんねる公式の
「コピペちゃんねる」 は、まとめ
サイトというより、コピペブログ

 管理人そのものの実像は、多くの 「まとめサイト」 が名無しのままで運営していることもあり、謎に包まれています。 名前どころか固定の ハンドルコテハン) すらない場合も多く、数が数ですから、おそらく色々な人がいるのでしょう。

 ただしある程度以上の時間、ネットに貼りついている必要があるので、時間に融通の利く人、例えば学生や自営業者、主婦などが多いんだろうな…って感じがしますね (一般に考えられる ニート引きこもり の人は、あんまり多くない印象があります)。

 筆者 は恥ずかしながら 「まとめサイト」 をいくつか作った経験があるのですが (念のため一応書いておくと、作ったものはマスコミ批判関連のものがほとんどで、個人を晒すようなサイトはさすがに作ったことがないです)、一度でもウェブサイトなりを作ったことがある人なら、たいしてデザインなどを凝る必要もない 「まとめサイト」 の作成は難しくありませんし、「まとめサイトはまだないのか、じゃあ俺が作るか」 といった気楽な感じになるんじゃないでしょうか。 「まとめサイト」 までは作らなくても、テンプレート文章やコピペ素材文を作るのが好きだったり、ネットで各種情報ソースを探すのが好きな人も多いですし (筆者がモロにそうですが…)。

 まぁ実際は、いざやってみると手間はものすごくかかりますし (「アップローダー」 にアップされたデータの補完など、時間との勝負のところがあります)、また自分がまとめサイト作成を宣言すると多くのスレッド住民はそれを尊重して任せてくれたりするので、プレッシャーがすごいです。 旬の話題ですと、ニュース系サイトや大手の ソーシャルブックマークサービスオンラインブックマーク共有 するサービス) からだけではなく、新聞や雑誌、テレビなど一般メディアなどでも URL がどんどん紹介されてものすごい人数がやってきますし、自分の書いた文章が 大手サイト などに無数に転載されて、「後戻りできない状態」 で拡大し続ける影響力に怖くなる場合もあります。

 一方で、「匿名」 で運営しているので、かなり云いたいことを云える自由さはありますね。 筆者の作った 「まとめサイト」 は、実写版セーラームーンのスレッドリンク集以外は全て完全に匿名で作っていますし (原則として、自分の他のサイトからリンクを貼ったり言及したりも一切してませんし、文体や HTML の 「タグ」 も変えてます)、仮に作ったのが自分だと発覚したところで、そう困ったりもしません (筆者以外の人も同じだと思うのですが、手柄を誇示しているように思われる可能性があるので、自分から話すのはイヤなだけです)。

 アクセスが膨大だったり他のマスコミで紹介されるなどすると、密かな喜びを感じたりもしますが、基本は、自分も他の人が作った 「まとめサイト」 で助かったり楽しませてもらったことがあるので、少しはネットに恩返ししたいって感じでしょうか。

「まとめサイト」 で世論を誘導…? 対立サイトがバトルすることも

 企業の不祥事、新製品の不都合、マスコミの誤報や犯罪行為などに対し、ある種の 「義憤」 の発露、あるいはライバル企業などの ファン による中傷目的の 「まとめサイト」 もかなりの数があります (まとめサイトの カテゴリ としては、かなり大きなジャンルでしょう)。

 すぐにDAT落ちするスレッドなどと違い、「まとめサイト」 は何年間もネット上に閲覧可能状態で残る場合が多いですし、他のサイトやブログからリンクを貼られて検索の上位に表示されるケースも多く、一部の企業では、かなり明白に対抗措置をとるようになっています。

 初期の頃に多かった対抗措置は、そのサイトの管理人に苦情や法的措置を通告して自主的に閉鎖するよう脅したり、サイトの稼動している無料ホームページスペースの運営会社などに依頼して、サイトを削除させたりでした。 しかし匿名で運営しているサイトですと、管理人に連絡が取りづらかったりしますし、サイトの強制削除などをさせると、反発したネットユーザがまったく同じサイトをどんどんミラーサイトとして立ち上げて増殖させてしまったりで、ヤブヘビな結果になっていました。

 その後、こうしたセオリー通りの対抗措置は取りながらも、別のアプローチで 「鎮火」 を試みるケースが増えています。 多いのは、「まとめサイト作ります」 と宣言して、そのまま何もしなかったり、作ったとしても内容スカスカのものだったりで、そのまま放置したりします。 スレッドの住民は、他人が 「まとめサイト作ります」 の宣言をしたらこれを尊重しますから、これにより、「本当にやる気のあるまとめサイト管理人」 に、サイトを作る口実を与えないことが可能になります。

 実際は、宣言がされてもろくにサイトが作られなければ、「ちゃんとした 「まとめサイト」、誰かお願い」 みたいな感じで、別の人が新しいサイトを立ち上げたりしますが、「祭り」 は勢いが大切ですし、出鼻を挫くこの方法は、かなり有効な感じがします。 また 「ちゃんとしたまとめサイト」 とは正反対の内容、立場で、「まとめサイトもどき」 を悪意を持って作る場合もあります。 事情を知らない人は、どっちが本当のことをいってるのか、少々混乱することになります。

 もっと簡単な妨害行為としては、ブラクラマイクラ の URL を、「まとめサイトできたよー」 なんて紹介で貼り付けて、一般の人がまとめサイトのリンクをクリックするのをためらわせるなんて方法や、特定文字列による ウィルス のコードをスレッドに貼り付け、ファイルの保存を阻止 (ウィルス駆除ソフトが入っているパソコンだと、保存されない) なんてのもあります。

「見えない敵」 なのか、「工作員」 なのか…

 俗に 工作員 などと呼びますが、ネット世界での情報や話題が無視できないほどの影響力を持ち始めると、個人の趣味で正反対の立場にいる人 (叩かれている企業や商品の 信者 などの反発) や、企業の危機管理対応の人が専門の業者に依頼するなどして、「ネット情報のかく乱」 を図るケースが近年増えています。

 また個人を晒上げるまとめサイトの人権上の問題、テレビや映画、ゲームなどの 版権もの のキャプチャー画面の 著作権 にまつわる問題など、「膨大なアクセスを持つ影響力がある存在」 である 「まとめサイト」 も、徐々にその意味や意義が変わってきているのかも知れません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2003年11月8日)
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