ネット上で同時多発的に盛り上がる圧倒的な言葉のうねり…カーニバル&フェスティバル「祭り」
ネット 上の 「祭」「祭り」 とは、掲示板 などで、特定の対象 (個人や法人、団体) の話題で膨大な 「書き込み」(発言、レス) が殺到することです。 祭り状態になると、その話題を扱った掲示板 2ちゃんねる の スレ (スレッド) などがもの凄いスピードで流れるようになり (加速/ ksk)、大勢の参加者が集まって大騒ぎとなります。
さらに特定の対象の 運営 する掲示板や ブログ の コメント欄 に批判的な書き込みが殺到して 炎上 を招いたり (逆に炎上が発端となるケースもあります)、それらの対象や対象に関わる人物の個人情報や 画像、過去の情報などが次々に調べ上げられ、あるいは発掘され、ネット中に 拡散 し、深刻な ダメージ を祭りのターゲットに与えることになります。
犯罪自慢の武勇伝、自作自演、逆切れ…様々な祭りの原因
2NNの祭りマーク点灯 |
「祭り上げられる」 対象は、ネット上で違法もしくは著しく社会通念に反する行いをし、それをネット上で誇示したり アップロード した者や、文字通りの犯罪者、さらには若者やネット、2ちゃんねるなどとゆかりのある会社などの不祥事、国や自治体、報道機関などの不祥事や問題行動などが多いようです。
本来は 「祭り」 判定は、参加しているユーザーの主観に基づくものですが、一部の掲示板を対象とした定点観測所や監視所などのサイトが、書き込み数などから 「祭り判定」 をしたり、「祭りマーク」 をサイト上で点灯して知らせる場合もあり、それを持って 「祭り」 と判断する人も多いようです。
「祭り」 は最初に燃え上がったのがどこなのか (掲示板や、2ちゃんねるならどの板発祥なのか) によって、その後の展開が大きく分かれますが、往々にしてネット上の 「祭り」 を紹介する大手ブログやネットニュースサイトに 告知 され (Yahoo! ニュースなど、一般人が目にする大手ネットメディアに配信される場合も多い)、外部の人間を巻き込んでの大騒動になる場合も少なくありません。
個人情報のサルベージ、「まとめサイト」、まとめ wiki の作成…
ヨヨイノ ヨイ! ___ ドン!ドンドドン! ソレソレ ソレソレ П∧_∧.ミ __ ヽ:::..ヽドンドン!ドンドン! ∧_∧ ∧_∧ ∩(# ・∀・) // i::::::: |Σ ∩ ・∀・) ∩ ・∀・) ドドンガ ヾ冫祭 ⌒lつ l:::::::::| ヽ ⊂丿 ヽ ⊂丿 ドン! (__.八 _._ノ._ノ ( ( ノ )) ( ( ノ )) )_)_) 凵凵 凵 し'し' し'し' |
祭りのAA |
その後の展開によっては、祭りのターゲット、対象者となっている個人や、法人に関わる個人、関係者などにも次々に飛び火します。
また個人情報がサルベージされたり、アスキーアート が作られたり、スネーク (コナミの ゲーム、METAL GEAR の登場 キャラ、リキッド・スネークに由来する、潜入工作員のようなもの) が対象者の近所をうろついて情報を集めたり、あるいはそれらで収集された情報などが まとめサイト や 「まとめ wiki」 に蓄積されたり、祭りの推移を分かりやすく説明する 「フラッシュ」 や 「動画」 が配布されたりします。
一度火がつくと、鎮火させるのも容易ではありませんが、得てしてお祭りの対象者が 「逆ギレ」 して暴言を吐いたり、ネットの書き込みに恫喝 (法的措置をちらつかせるなど) を加えたり、あるいは 自作自演 で批判している人たちを攻撃したり自分を擁護したりが 燃料 (火に油を注ぐかのようなの意味で 「燃料」 とか 「燃料 投下」 と呼ばれます) となり、ますます盛大に燃え上がるケースも多いようです。
対応が難しいネットのお祭り
よく云われることに、ネットでのお祭り、あるいは掲示板などを中心地とした特定個人、団体への攻撃は 「誰がリーダーなのかわからない」 ということもあり、対応が難しいというのがあります。 実際にはリーダーや指揮官などがいないケースが大半で (最初に問題を発見した人がリーダーという訳ではなく、また他の参加者もリーダーの 「指示」 を受けて動いている訳ではありません)、攻撃を受けている側からすると、一体誰と話したら良いのか、誰を説得したら、あるいは誰を納得させる対応をしたら騒ぎが収まるのか全く分からないケースが多いようです。
一般的に 「祭り」 の収束は、その祭りが何日も続き、参加している多くの人間が 「飽きた」 なんて思い始めると自然と小さくなっていくものですが、対応を間違えると火に油を注ぐ状態となってさらに盛り上がったり長引いたりします。
ちなみに 「祭」 という漢字 (文字) は、肉を手で掴み 祭壇 に捧げる姿を現したものとされています。 上部分の左側は肉、右は掴む手、下の 「示」 は、捧げものを乗せる棚から血がしたたり落ちている状態を表しています。 この文字が生まれた時代の中国では祭りとは生贄を捧げる儀式のことであり、その意味では現代のネットの祭りも、血を流す生贄が必要なのかも知れません…。
ある企業の対応…
筆者 が 「2ちゃんねる」 で見かけた、ある 「不祥事」 が、個人的に非常に印象に残っています。 それは、ある飲食店チェーンのアルバイトが、自分の日記 (mixi) で、訪れた客の悪口を書いていた…という、「炎上」 系では お約束 のような展開でした。
まだ営業時間中だったこともあり、すぐにその飲食店チェーンに 電凸 (でんとつ/ 苦情電話などを入れること) するものが現れましたが、その際に受け答えした飲食店の社員が 「教えてくださって感謝します、すぐに対応いたします」 と返答、その直後、深夜に近い時間帯でしたが、ウェブサイトに 「お詫び」 の文章が載り、mixi の日記にも本人の文章でお詫びが掲載され、さらに 「調査の結果、事実だったので、アルバイトを解雇しました」 とも発表。 なんと、わずか数時間で一気に 「鎮火」 してしまいました。
掲示板のスレでは、それまで 「許せない」「ありえない」 と書き込んでいた利用者も、「対応早すぎww」「いきなり解雇かよ…ちょっと かわいそう だね」 などの意見まで出てきて、ほとんどその後は話題にすらならずに終わりました。 「電凸も含めて火消しの自作自演だ」 などと疑い出したらきりがありませんが、ブログや様々な掲示板に内容が転載されてネットで大騒ぎになったり、新聞沙汰、テレビニュース沙汰に発展するこの種の 「火種」 としては、ちょっと信じられない展開でしたね (当時、他に大きなお祭があったこと、その店自体、あまり大きなチェーン店ではなかったということ、客への悪口もあまり他意が感じられないものだった…などもあったんでしょうけれど)。
迅速で、徹底した対応。 やはりこれに尽きるのでしょう。 けれど実際は、なかなかここまでの対応はできないでしょう (筆者も、ここまで毅然とした対応を自分で即座にやれるという自信は全くありません)。 この対応を行った飲食店の社員や、一連の判断を下した経営者も、別に 「炎上鎮火のプロ」 ではなく、恐らくは客商売に従事する者として、「当たり前の対応」 をしただけなのかも知れません。 そうした 「当たり前の対応」 が、見苦しい責任転嫁や遅すぎる処置ばかりの企業対応を見慣れていたネット利用者らに、新鮮な誠実さとして受け止められたのかも知れません。
また 「いきなり解雇」 もドライな対応すぎるイメージがありますが、迅速に鎮火したことで炎上したアルバイトの個人情報の発掘や拡散を招くこともなく、結果的にアルバイト個人の被害も最小限で、救済する形にもなっています。
誰にでも出来ることでは有りませんが、ネットを見ていると、いろいろと勉強になりますね。
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