ものすごい勢いでレスが流れるんです! >< 「ksk」
「加速」 とは速度が増すことですが、ネットスラング としては、掲示板 などの 書き込み 速度が上がること、すなわち 「盛り上がる」 ことを指します。 ローマ字略語 で、「Ka So Ku」→「ksk」 とも書きます。
ある話題が ネット で注目を集めると、それを扱う掲示板や スレッド に参加者が集まり、書き込みが殺到します。 結果、「スレの流れ」 が速くなり、読むのが追いつかなくなったり、後から来た人が事情を把握するのに困ったりすることになります。
こうした 「ネット上の盛り上がり」 を、速度で表すのは パソコン通信 の時代にもありました (チャット などでログがものすごい勢いで流れる (パソ通はログが上へ流れるので、「滝の逆のぼり」 などとも)。 他にも長さ (「伸び」 など) で表すこともありますが、「加速」「急上昇」 とか 「減速」「急停止」「急降下」 などなど、「場の勢い」「盛り上がる様」 をこうした言葉で表すのはとてもポピュラーです。
掲示板 「2ちゃんねる」 で盛んに使われるように
インターネット の時代となり、ネット利用者が増えて 祭り のような大規模な盛り上がりが頻繁に生じるようになると、「加速」 も 「盛り上がっている場所」「その様子」 を指し示す重要な言葉になりました。 こうした言葉がそのままの形で登場、またネット上で流行ったのは、掲示板 2ちゃんねる の 「ニュース速報(VIP)板」 あたりと云われ、「加速」(ksk) もいわゆる 「VIP語」 のひとつとされています。
「2ちゃんねる」 などを対象とした掲示板やスレッドごとに書き込み速度 (1時間あたりの書き込み数、1分あたりの書き込み数など) を リアルタイム で知らせるようなサイトも登場。 「加速しているスレッドには、何か人をひきつける面白さがあるはずだ」 とばかりに、それを目印に人が集まり、さらに 「ksk」 することになります。
なおことさらにローマ字略語化までしているのは、加速そのものが目的化し、1行レスで 「ksk」「ksk」… と次々に大勢で書き込みを行って、スレッドの勢いを上昇させる使い方があるからです。 「ksk」 は 「加速している状態を表す」 と同時に、その言葉それ自体が、直接 「支援」(加速支援、スレ埋め立て) を行うための言葉・用語でもあるわけです。
「最速スレッド」(後述) のほか、「安価遊び」(安価 (アンカー) を使い未来のレス番号に指示を行い、その番号で書き込みする人がそれを実行する遊び) などでは、レス番号を素早く進めるために積極的に 「ksk」 の書き込みなどが行われます。 なお指定レス番号を踏む人に期待する場合は wktk (ワクテカ)、踏んだ人が期待はずれだった場合には、「お前には失望した」「ガッカリだ」 などになります。
地味なスレッドがいきなりksk…その理由は
それまで 地味 な進行、伸び悩んでいたスレッドなどが、突然急加速するケースがあります。 何か状況が動いた、変なやつがそのスレッドにやってきて、他の参加者が思わず突っ込まざるを得ないような書き込みをしている、などですが、そうした加速のための理由は 燃料 などと呼ばれます。
最速スレッドなども… (禁止です)
「2ちゃんねる」 や一部の板の初期の頃には、「加速そのものが目的」 のスレッドなどもかなりの数がありました。 「最速スレ」 などと呼ばれるやつです。 例えば アニメ の キャラ に関するスレッドだと、「○○で最速1000を目指すスレ」 なんて感じになります。 単に大人数で一緒に 「速度を競う」 というゲーム性の面白さもあるのですが、それ以外にも、キャラの人気度を計るバロメーターのような扱いもされ、例えばキャラAが60秒で 1,000レスになったのにキャラBが 70秒掛かったのなら、「キャラAの勝ち」 みたいな感じになります (スレッド単位ではなく、板単位で行われる場合もあります)。
さらに、初期の頃を除き通常は発言 1,000個でそのスレッドの書き込みが終わりなのが、あまりに勢いがありすぎて、掲示板システムが バグ って 1,000を超えて書き込みされるケースもあります (同時に書き込まれて反映してしまう)。 その場合には レス が1,005個になったり、1,012個とかになったり、末期の方のレスのタイムスタンプ (書き込み時刻) やレス番号が混乱して入れ違ったりもします。 こうしたバグも、後々ある種の 「語り草」「伝説化」 もされるケースがあるため、目指す場合があったりします。
ただし 「最速スレ」 などは、サーバ (掲示板の CGI が稼動しているシステム) に大きな負荷、深刻な ダメージ を与えますから (掲示板が重くなったり、最悪サーバが落ちたり、ログが壊れたりする)、悪意のない遊びだとしても 荒らし と同等の扱いとなり、原則としてどこでも禁止です。
「2ちゃんねる」 などでも利用規約やローカルルールで禁止とする一方、「のんびり規制」 とか 「128秒規制」 など、集中的な連続書き込みを制限する規制を継続的に行ったり解除したりしています。
最速スレッドに似た、パソコン通信時代の 「トライ」
ちなみに 「最速スレッド」 と似たようなことはパソコン通信の時代にもあり、通常チャットを除くと掲示板 (会議室) などの発言は オフライン で行うケースが多いのですが (電話代がかかる時代だったので、一般的に、「オン書き」(ネットに繋げながら直接書き込むこと) はしません)、最速で会議室をチャットボードとして消費する 「ある種のイベント」 が、一部のフォーラムやシグなどでは盛んに行われていました。
こういったイベントは 「トライ」 などと呼んでいましたが、フォーラムの書き込みや会議室の消費スピードが多く盛り上がると、パソコン通信の 運営企業 側からフォーラムの管理者 (フォーラムマネージャーやシスオペ (SYSOP) など) に多額のフォーラム運営費や報奨金などが支払われるシステムが当時はあり (フォーラムの規模や時代によって異なりますが、一攫千金にふさわしい大金を得る人、その気になれば職業として食っていけるだけのお金を得ている人もいました)、積極的にこうしたイベントを企画する管理者などもいたものでした。
またお金の問題だけでなく、類似した ジャンル の異なったフォーラムやシグ同士が、相手をライバル視して書き込み数を競うようなケースもあったものです。 ここらの ノリ は、「2ちゃんねる」 の板ごとのライバル関係などと似ていますが、世代や 環境 が変わっても、やることはあんまり変わらない…みたいな感じなんでしょう。