「KY」 はサンゴ事件のいたずら書きなのか、それとも空気読めないなのか…
「ローマ字略語」 とは、日本語の単語や形容詞などの一部をローマ字やアラビア数字など数文字で表す略語表現の一つです。 「アルファベット略語」「KY式日本語」 などとも呼ばれます。
代表的なところでは、
「KY」=「Kuuki Yomenai」=「空気読めない」
なんてのがあります。 口に出してしゃべる場合は、アルファベットそのまま、「ケーワイ」 となります。
2007年頃に一般にも注目を集めた表現ですが、これの直接のルーツは携帯電話などの メール でのやり取りの際、長文を打つのが面倒だったり、仲間内だけで通じる暗号めいた略語、隠語として使われるようになったものの変形でした。 他にも、
「3M」=「Majide Mou Muri」=「マジ でもう無理」
「MK5」=「Majide Kireru 5Byoumae」=「マジで切れる5秒前」
「AKB」=「A Ki Ba」=「アキバ」=「秋葉原」
などがあります (「KY」 同様、マスコミ主導の流行語って感じがしますから、上記の例の言葉がそのものとして本当に流行ってるかどうかは不明ですがw)。
既存2ちゃんねる用語、流行り言葉のローマ字略語化も
「2ちゃんねる」 など ネット の 掲示板 やコミュニティで流行っていた言葉のローマ字略語化も同じ頃かやや早く (少なくとも2005年後半から2006年前半) に流行り始めています。 例えば
「詳しく (くわしく/ くわすく)」=「Ku Wa Shi Ku」=「kwsk」
「常識的に考えて」「常考」=「Jyoushikitekini Kangaete」=「JK」
「ワクワクテカテカ」=「ワクテカ」=「Wa Ku Te Ka」=「wktk」
「無い内定」=「Nai Nai Tei」=「NNT」
「キタコレ」=「Ki Ta Ko Re」=「ktkr」
「ニラニラ」=「Ni Ra Ni Ra」=「nrnr」
「ガクガクブルブル」=「ガクブル」=「Ga Ku Bu Ru」=「gkbr」
「マジで?」=「Ma Ji De」=「mjd」
「マジすか?」=「Ma Ji Su Ka」=「mjsk」
「ググれカス」=「Gu Gu Re Ka Su」=「ggrks」
「それなんてエロゲ」=「Sore Nante Ero Ge」=「sneg」
「ねぇどんな気持ち?」=「Nee Donnna Kimochi」=「NDK」
「急にボールが来たので」=「Q ni Ballga Kitanode」=「QBK」
「加速」=「Ka So Ku」=「ksk」
「ガチホモ」=「Ga Ti Ho Mo」=「gthm」
「寝取られ」=「Ne To Rare」=「NTR」
「バーベキュー」=「Bar Be Q」=「BBQ」
「ババア」=「Ba Ba A」=「BBA」
「横乳」=「Yoko Chichi」=「YC」
「ゴキブリ」=「Go Ki Buri」=「GKB」(もしくは 「G」)
流行 AA のローマ字略語化で
「\(^o^)/オワタ」=「owt」
「\(^o^)/ハジマタ」=「hjmt」
「m9(^Д^)プギャーーーッ」「プゲラ」=「pgr」
古いところでは、
「ドキュン」=「DoQuN」「DoQN」=「DQN」
「Good Job」=「GJ」
「笑い」=「w」
↑ が転じて、「www」=「大笑い」
「誰でも大好き」=「Daredemo Daisuki」=「DD」
などがありますね。
ここらはネットなどでもかなり見かける表現です。 また 「JK」 や 「JC」 は、女子高生や女子中学生の隠語でもあります。 ローマ字アルファベット26個と数字が10個。 これらの組み合わせになりますが、文頭の子音のみ抽出で母音を省略する上に法則らしい法則もあまりなくほとんどデタラメな作り方が多いので、前後の文脈で判断したりと、読解にはそれなりの経験が必要でしょう。 ローカル用語や新しい略語に関しては、ほとんど部外者が素読で解読するのは不可能な感じもします。
さらにルーツを遡ると、ポケベルの略語や、ネトゲやチャットの略語も…
2007年以前にも、ネトゲ (ネットワークゲーム) の世界では、いくつものローマ字略語…というか、英語での頭文字を取った簡略表現がありました。 有名なところでは、「PK」=「Player Killer (プレイヤーキラー)」「AFK」=「Away From Keyboard (キーボードの前から離れます、ログイン したまま離席します)」 なんてのがありますし (パソコン通信の時代には、チャット で同じ意味で 「離席」 あるいはその誤変換スラングで 「離籍」 なんてのがありました)。
KYと云えば…? 携帯で活躍するローマ字略語 |
リアルタイム で ゲーム やチャットをやってる時に緊急の用事で席を離れる時には (しかもコントローラとキーボードの両方を使いながら)、こうした略語表現は切実な使う理由のある実用表現でした。
筆者 もネトゲ廃人状態の頃がありましたが、いろんなローマ字略語や日本語略語を指が覚えていたものでした。
必要に迫られて…という点では、携帯電話が現れる前に流行ったポケベルの文字入力も同じでした。 今では携帯メールに取って代わられてしまっていますし、ポケベル自体も後期にはひらがなやカタカナ、一部漢字も使えるようになりました。
しかし女子高生や女子中学生あたりに流行り始めた1990年代初めから中頃は、数字やローマ字しか扱えず、これらを組み合わせた記号のような暗号文字列による意思の疎通、情報の伝達は、必要に迫られて生まれたものでした。
それ以前にも多数見つかるローマ字略語
元々この手のローマ字略語は一般的にも 普通に 使われています (専門用語の 「PPM」 とか 「DV」 とか 「PTSD」 とか、あるいはスラングの 「893」 とか、ネットなどでよく使う慣用句の略語 (ノークレーム・ノーリターンでお願いします=「NCNR」 など)。
それらが何かのきっかけで大きな流行語になると、そのつどそのアレンジのローマ字略語として若者言葉に取り入れられ流行ったり廃れたりを繰り返すものなんだと思います。
ただし英語や英単語の頭文字を取った略語ではなく、日本語でそのままローマ字略語化するって点では、やっぱりポケベルあたりが (直接は世代的につながっていないとしても) 元祖ってことになるんでしょうか。
ちなみに 1979年の4月15日から日本テレビ系列で放映されたテレビドラマ 「俺たちは天使だ!」 の劇中のセリフに、VSOP (Very Special One Pattern) ってのがあって (確か多岐川裕美さん演じるユーコが、麻生探偵事務所の面々に言い放つ言葉でした)、当時筆者の周りでローマ字略語が流行ったことがあります (^-^;)。