「ネチケット」 なる言葉自体は、アメリカで生まれました
「ネチケット (Netiquette)」 とは、「ネットワーク上でのエチケット」(Network Etiquette) を略して一つにした造語で、パソコン通信 や インターネット の世界での利用者が守るよう心がけるべきマナー (倫理的な基準) の事を呼びます。
元々はアメリカ IETF (The Internet Engineering Task Force)が 1995年10月にまとめた 「ネチケット・ガイドライン(Netiquette Guidelines/ サリー・ハンブリッジ氏著)」が系統的に提唱した言葉・概念 で、各国語に訳されて世界のネットワーカー達の間に広まりました。 その後慣用句として定着したネチケットは、場所や利用者によって様々なバリエーション・ローカルルール等を増やしながら発展しています。
もちろん法的な拘束力はありませんし、場所やケース、その時々の情勢によって個別の内容や意味、定義は変わって行きますが、広く支持されるネチケットの項目には、それなりに有効な根拠や意味のあるものが少なくありません。 絶対視するのはどうかと思いますが、ネット に不慣れな初心者などが 「どう行動したら良いか分からない」 場合に、一つの指針・目安として利用するのには便利でしょう。
ネチケット・ガイドライン (Netiquette Guidelines/ サリー・ハンブリッジ氏著)
アメリカ IETF が 1995年10月に発表した、インターネット各種サービスを利用する上での最低限のエチケットをまとめた文書です。 これが今日のネチケット概念の系統的な最初の提唱となっています。 日本語版も 1996年2月2日に公開され、現在もホームページで読む事が出来ます。 こちら です。
内容的には、他人に迷惑をかけない事が原則となっていますが、一部では拡大 解釈 され、ネットワーク世界での参加者同士の平等性を担保する理想も加味されています。
またエチケットと云う名称が使われている点で、他者に対するマナー的側面が強調されているネチケットですが、例えば メール に重要な個人情報 (クレジットカード の暗証番号や パスワード など) を載せるのは避けるべきである、とか、ビジネスで使うメールであってもその所有権が自分のものなのかどうか、事前に会社に確認すべき…など、利用者の自衛や権利保護の為の項目も多く含まれています。
要するに極めて不完全なツールでコミュニケーションを取っているんだ…と云う想像力が大事なんでしょうね
我が国でもネチケットは、上記のように日本語版が発表されてから広まりました。 ただ言葉自体はアメリカで生まれたネチケットですが、それと同じ考え方に基づくネットワーク世界でのエチケット・マナーのようなものは、それ以前にもいくつかありました。 個人的にはあまりセンスの良いネーミングとも思えません
まぁ反対に、何でもかんでも原理原則正論屁理屈…を持ち出す人を、ネチケ君 などと呼んで敬遠する 雰囲気 も、発祥当時はかなりありましたけどね。 公共の場 (掲示板 など) で 機種依存文字 やら改行なし文を書いている人を見つけると、正義は我にありとばかりに指摘しまくったり 叩き に走る人とか、いましたからね。
ネチケット、具体的な項目は…
さて肝心の具体的な中身について…なんですが、細かく挙げるとキリがない上に、ここ数年のハード的な 環境 の激変で、一部にはナンセンスなものになってしまったものもあります。 例えば 筆者 がパソ通を始めた頃は、「ネットワーク上に上げるファイルは、出来るだけ小さくするよう心がけるべき」ってのがネチケット以前のほとんど絶対的なルールでした。
もちろん今日でもホームページの 画像 しかり、軽いに越した事はないんですが、モデムの高速化や ISDN やテレホーダイ、ADSL やら光通信、常時接続サービスの普及、HDD の大容量化で、昔ほど神経をとがらせるものではなくなって来ました。
それどころか大手プロバイダの広告等では、頻繁に 「写真付きのEメールを送ろう!」 などとやってますし、LZH だの ZIP だのの圧縮ファイルの取り扱いができない利用者もいます。 「出来るだけファイルを小さくしましょう、送るなら圧縮してからにしましょう」 などは、2000年代中頃からは、ほとんど意味がなくなっていると云って良いでしょう。
また前述した機種依存文字や改行文字数に代表される利用者のハードの違いに対する配慮についても、通信手段がパソコンやワープロだけだった昔に比べ、現在ではゲーム機や携帯電話・スマートフォンなどなど種類が余りに増えすぎ、「全ての人が同じように見えるように」と気を使うのが、かなり難しくなって来ています。 「特定のメジャーなハードや OS、ブラウザのみ、しっかり対応すればそれで良い」「HTMLなどの仕様に準拠していればそれでいい」 に変わりつつあるでしょう。
ただハードや環境がどう変わろうが、ネットワークが 「人と人とのコミニュケーションの道具」である以上、「ネチケット」 の項目に関わらず変わらない部分もあるはずです。 思いやりや相手の立場に立つ想像力…などがそうですが、こうした根本的な部分だけは環境や時代が変わってもしっかりと持ち続け、賢いネットの利用者になりたいものですね。