電波とワンセットで使われる言葉です…
支離滅裂な事やつじつまの合わない事、妄想や訳の分からない事を云う人を俗に 「電波」「デムパ」 などと呼びますが、「電波ゆんゆん」 は、そうした 「電波」 が激しい人に対して使う、一種の罵倒語です。 もっとも語感がやわらかくコミカルな印象もあるの
語源は福島県立清陵情報高等学校の校歌から
元々は、2ch (2ちゃんねる) などの 掲示板 で発掘され使われるようになった言葉で、語源は福島県立清陵情報高等学校 (こちら です) の校歌、『宇宙の奥の宇宙まで』 (作詩:宗左近 氏/ 作曲:三善晃 氏) の歌詞中のフレーズ、“若い稲妻 ゆんゆん 〜 発信 ゆんゆん 発信 ゆんゆん” に由来します。 この校歌の歌詞が ネット で流れるや、一気に広がりました。
ちなみにこの 「ゆんゆん」 は1番の歌詞で、他に “若い竜巻 よんよん 〜 受信 よんよん” (2番)、“若い積乱雲 やんやん 〜 交信 やんやん” (3番) の2つがあります。 「ゆんゆん」 ほどではありませんが、もちろんそれぞれ、「よんよん」「やんやん」 として、ほぼ同じような意味で使われています。 もっとも3つをそれぞれ厳密に使い分けている人もいるようですが…。
実際の歌詞や歌っているさまは、ちょっとまるごと引用と云う訳にも行きませんので、前出したリンク先でご覧になってみて下さい。 歌詞の閲覧だけでなく、Media Player による演奏や曲データの ダウンロード も出来ます。 「ゆんゆん」 の真髄…なるほど、掲示板で大きな話題になるだけの事はある素晴らしさで
やはり ゆんゆん な方なのでしょうか…。
付録/ ゆんゆん 生みの親、宗左近 氏について
「ゆんゆん」 でネットを中心に若者にも名を知られることとなった宗左近 (そうさこん/ 本名/ 古賀照一) さんですが、日本各地で数多くの校歌や市の歌などを作詞する一方、トラディショナルな詩人としてのキャリアも赫々たるものがある日本詩歌界の大御所のお一人です。 そのほか、仏文学者、翻訳家として、さらに美術評論家、法政大学名誉教授としての活動も行っています。
著作は非常にたくさんあり、思潮社や日本詩歌句協会、集英社、深夜叢書社、筑摩書房、新潮社などから詩集やエッセー、翻訳、小倉百人一首の解説や評釈、小林一茶や良寛の詩の私撰や歌論なども行っています。
生まれは 1919年5月1日といいますから、ネット上で 「ゆんゆん」 が流行りだした頃には堂々80歳を超えていたことになります。 なおペンネームの宗左近の由来ですが、戦時中に砲火に晒され、死んでたまるか、「そうさ、こん畜生」 とつぶやいたのが、その元になっているそうです。 多感な少年時代から青年時代にかけて、様々な人の生き死に、修羅場を体験して生きてきたのでしょう。 一方で縄文土器や土偶の収集、研究でも知られており、宮城県の縄文芸術館には、氏が寄贈した200点あまりの土器や土偶が、「歴史資料」 ではなく 「芸術品」 として 展示、保存されています。
あまりに雄大な表現がある詩を生み出すだけに、コミカルなおかしみが目立つ宗左近さんですが、これほどの大人物に、ネットで話題になるほどの傑作を校歌として書いてもらった清陵情報高等学校の生徒さんは、本当に果報者、幸せだと思います。
惜しまれつつ巨星逝く
2006年6月20日、宗左近 氏は数多くの作品、巨大な足跡を残して鬼籍に入られました。 87歳の大往生でした。