見るだけの提供の形、「展示」
「展示」(てんじ) とは、頒布 や 販売 などのように物品を売ったり配る(譲り渡す) ことをせず、ただ見てもらうためだけに陳列、掲示することです。 英語では ディスプレー (Display) などとも呼びます。
譲渡可能な販売物の展示 (陳列・掲示) の場合も同じ展示という言葉が使われますが、両者を使い分ける必要がある場合には、後者をとくに 「展示即売」「展示販売」 などと呼ぶ場合もあります。 ただの 「展示」 や 「展示会」 と表記されている場合は、見るだけ、見学するだけの展示、あるいはそうした イベント の意味となります。
コミケ などの 同人誌 をやり取りする 同人イベント などでは、現在では頒布するための同人誌が出品されるのが普通となっています。 しかし初期の頃は、同人誌などを大量に複製 (オフセット印刷 による オフセット本 や コピー本) して売ることがコスト的にとても難しく、肉筆回覧誌 や イラスト の展示・発表が主な内容となっていました (あわせて ペーパー や チラシ の配布などが行われていました)。
展示即売イベント内で、即売コーナーとは別の場所で特別な展示を行う場合も
現在は展示のみの同人イベントは、ほぼ開催されなくなったといって良いでしょう。 とはいえ昔と今とで 同人 の世界は色々な面が異なってはいるものの、イベント会場 という限られた空間で、同じ 趣味 や目的を持つ人が集う姿は昔と変わりませんし、全ての本を買うわけにもいきませんから、ほとんどの参加者にとっては、やっぱり展示は大きな意味があるのかも知れません。 これは買い物のための商業施設などのディスプレー品を見るだけの行為、ウィンドーショッピングと同じです。
なお頒布が中心となった現在でも、コミケをはじめ一部のイベントでは特設展示企画などを行っています。 古い同人誌や海外の同人誌、貴重な同人にまつわる物品などが並べられ、イベントの中のコーナーの一つとしてよく開放されています。 こういったコーナーを見て回り、この世界の見聞や知識、教養を広め深めるのも、同人イベントに参加する大きな意義と楽しみの一つでしょう。