フリーペーパーとラジオの深夜番組の人気コーナーから派生 「中二病」
「中二病」 とは、中学2年生 (14歳前後の思春期) の頃に、つい背伸びしてやってしまう 痛い 行動や考え方、または年齢を重ねているにもかかわらず、そういうことをいつまでもやってしまう人が罹っている 「病気」 のことです。 一般的には、「思い出すだけで顔が真っ赤になる」 などといった内容の、昔の恥ずかしい行動や考え方になります。 誤変換当て字 で、「厨二病」「厨二」 とも。
具体的には 「中学2年生の頃 (の男子) にありがちなこと」 のような内容となりますが、「中学生 レベル の幼稚な考え、屁理屈で世の中を見ている」 とか、「大人になったつもりで同級生などを見下したり、自意識が過剰となる」「自意識が過剰となって自分を特別視するようになったり、自分に妙な キャラ を作ったり 設定 を設けたりする」「異常なほどの正義感に燃えたり、逆に妙にワルぶったり」「狭い視野なのに社会の全てを見通した気になって批判したり、厭世的になり無気力・世捨て状態となること」 といった意味もあります。
いきなり洋楽を聴き出したりブラックコーヒー飲み出したり…
ありがちな例では 「邦楽を見下して洋楽にのめり込む(でも英語は分からない)」「どうせ人生なんて思い通りになんかならないよ…などといって、努力している人をバカにする」「美味しいと感じてないくせに、ブラックコーヒーだのタバコだのをことさらに口にする」「親や親戚などに嫌悪感を覚えやたら反発する」「大人や社会は保身しか考えてない嘘つきばかりで、俺は騙されないように賢く生きていると思ってる」 などでしょうか。
また ネット でこの言葉が流行り使われていく中で、様々な意味や設定が膨らませられたり付け足されたりして、言葉の意味自体はかなり 拡散 しています。 同人 の世界では、「中学生が考えそうな痛い 漫画 の設定」 がよく取り上げられ、それらは 「中二病設定」「邪気眼設定」(2006年以降) などとも呼ばれます。 またそれらを過去に持つ人が顧みる時には、黒歴史 などと呼びます。
当初は自分自身に身に覚えのある 「あるあるネタ」 として笑いの ネタ となるような言葉でしたが、後には他人の痛い行動を批判する意味でも使われるようになり、人によっては 厨房 と同じような ニュアンス でこの言葉を使っているケースもあります。
「バカドリル」「罹ったかなと思ったら中二病」 で概念が現れネットでブレイク
やっぱ中二病くらいが面白い |
ネット上で語られる 「中二病」 の直接の 元ネタ としては、TBSラジオ (JOKR/ 954kHz) でタレントの伊集院光が放送していた 「伊集院光のアップス・深夜の馬鹿力」 の中の人気コーナー、「罹ったかなと思ったら中二病」(1999年1月11日〜1999年3月22日) の名称に由来します (伊集院さんは自分が作った言葉だと述べています)。
元々 「おたく」(サブカル含む) 界隈 で人気のあるラジオ深夜放送と伊集院光さんでしたので、放送されると 「自分の中二病」 の 「症例」 を リスナー の ハガキ職人 が番組に 投稿 する一方、自虐的 にネット 掲示板 などに書き込む人も多く、徐々に言葉として浸透しました。
なお時期的にはそれの前となる、PARCO (パルコ) のフリーペーパー 「GOMES」(ゴメス) 誌 に連載されていたコーナーを書籍化した 「バカドリル」(扶桑社/ 天久聖一/ タナカ カツキ/ 単行本、後に文庫化) にも同じ言葉が使われており、こちらを直接の語源とする場合もあります。
こちらはコミックス版が出たり、「バカドリル腹痛」「バカドリルXL(エクセル)」 などの続編も出版された人気シリーズで、「月刊 ビックリハウス」 の 「ヘンタイよいこ新聞」 や 「宝島」(JICC出版局/ 後に宝島社) の 「VOW」 などに連なる 「面白ネタ」「バカネタ」 のサブカルにおけるど真ん中の代表的書籍でした。
14歳という、特別な年齢、季節
「思春期」 には特有な行動パターンや特異な思考があるとの認識は昔からあり、とりわけ 「14歳」 に特別な意味を持たせるケースは昔から多かったのですが、それを面白おかしく 「中二病」 と造語したセンスは素晴らしいですね。 誰でもこの年代には、背伸びした甘酸っぱい、思い出したら 「うあああああああぁぁぁ」 と身もだえしたくなるような恥ずかしい行動をした経験などがあったりするものです。
なおこの 「中二病」 は、もっぱら 「男子」 の場合を指し、思春期がちょっと早めに訪れる 「女子」 の場合は、「小六病」 などと呼ばれたりします。 また後に 「高二病」 など、他の年齢層に特有の 「あるあるネタ」 にも拡大されています。
その後、裏中ニ病と裏中二病設定も登場
逆に 「中二病」 的な傾向を示す友人らに強い嫌悪感を覚え、そうした感情を押さえきれない人やその感情のことを、裏中二病 などと呼ぶようになっています。 ブラックコーヒーやお酒を飲むとか洋楽を聞き出すなどの行動は、ある程度の年齢になったら中二病ではなく普通のこととなり、多くの人が通過するものですが、「中二病」 的な傾向を嫌うあまりずっと避け続け、それに逆行するような行動、子供っぽく幼稚な考えや行動にこそ価値を見出しこだわってしまうような状態となります。
「親が買ってきた子供っぽい服をいつまでも平気で着る俺って、他人の目を気にしてないからカッコイイ」 なんてのが分かりやすい例ですが、「身なりに気を使わない」「他人がどう感じるか一切気にしない」 という考えを正当化する考えでもあるので、しばしば おたく な人との親和性が高いのではとも論じられます。