歴史用語やドイツ語のかっこよさは異常 「中二病ネーミング」
「中二病ネーミング」 とは、いかにも 中二病 罹患者が好みそうな響きの名称、場合によっては少々 痛い と感じられもするネーミングのことです。 日常 で使うような日本語や英語ではなく、古い日本の名称や旧漢字による名前、ちょっとマニアックな歴史用語や学術用語、ドイツ語や古い中国語など、あまりありふれていない名前やそれらに直接的な影響を受けたと思われる文字列がそれにあたります。
一方、普通 の日本語や耳馴染みのある英語でも、一般での使われ方と異なる使われ方や読み方がされると、一気に中二病ネーミングに昇格することもあります。 へんに気取らず、ありふれた文字や言葉を組み合わせることで、スタイリッシュ さよりも泥臭くて無骨な渋さが 一周回って かっこいいと感じるわけですね。 誤読 っぽく見える 業界読み とか、横文字で英語読みせずドイツ語読みにするなどで特別感が出てかっこよくなることもあります。
このあたりは中二病に特有のものという訳でもありません。 例えば1980年代のバブル景気の時代、英語ではなくあえて古い和語やドイツ語・イタリア語を商品名や建築物の名称などに使うと云った空気感もありました。 「ギャラリー」 より 「ガレリア」(画廊)、「ミサ」 より 「メッセ」(典礼やそれが行われる場)、「ファイヤー」 より 「ファイエル」(撃て・発砲開始) の方がかっこいいよね、みたいな感覚です。 中二病ネーミングはそれの度が過ぎた、くらいの ニュアンス でしょうか。
歴史・学術・外国語、それぞれのジャンルごとにかっこいい名前が
代表的な中二病ネーミングとしては、神話や宗教に 元ネタ を探した古びた言い回しや歴史上の出来事を指す言葉が真っ先に思い浮かびます。 例えば 「草薙の剣」 とか 「トゥールハンマー」(Thor's Hammer)「死海文書」「三位一体」 などは、由来も言葉の響きも漢字の字面もかっこよく、それっぽい名前と云えます。
神道や仏教用語は大量にありますが、日常生活にあまりに溶け込んでしまった言葉が多く、日本では特別感やかっこよさは失われているかも知れません。 「神道五部書」 とか 「天孫降臨」「有頂天」「祇園精舎」「伽藍」 とか、記憶を消して フラットに見たらかなりかっこいいと思うんですが。 とはいえ、この種の話題で ネット で度々挙げられる 「平等院鳳凰堂」 までいくと、イキり すぎて逆に ダサい イメージを持つ人も少なくないかも知れません。 ちょっとキラキラしすぎだろ、みたいな。
その他歴史用語なら日本史で 「六波羅探題」 とか 「墾田永年私財法」「禁中並公家諸法度」「王政復古の大号令」「大本営」「戒厳令」、世界史で 「神聖ローマ帝国」「アウステルリッツの三帝会戦」「五賢帝」「カノッサの屈辱」「水晶の夜」「薔薇十字団」「バルバロッサ作戦」、三国志関係で 「天下三分の計」「駆虎呑狼の計」 官職名で太尉・司徒・司空 (三公) とか、単なる人名ですが 「司馬懿」 などもあります。 おたく には歴史好きが結構多いのか、この手の言葉を 堀り だすときりがありませんね。
学術用語、とくに数学や物理学を中心とした理系の言葉は極めて豊富で、「事象の地平線」「シュヴァルツシルト解」 とか 「フェルマーの最終定理」「ラグランジュポイント」「宇宙際タイヒミュラー理論」「赤の女王仮説」 あたりは意味はちんぷんかんぷんでもしびれるかっこよさがあります (異論は認めます)。 下手に横文字にするより日本語の方がかっこいいこともあります。 例えば 「スーパーストリング理論」 より 「超弦理論」 の方がかっこいいし、それより 「超ひも理論」 の方が 抜け感 があってかっこいいみたいな (異論は認めます)。
哲学や法律を中心とした文系関係だと 「絶対矛盾的自己同一」「テセウスの船」「シェルピンスキーのギャスケット」「オッカムの剃刀」「ハンロンの剃刀」「ラッセルのティーポット」「毒樹の果実論」「相殺適状」 あたりはかっこいい感じです。 そもそも定理とか公理、仮説あたりがつく時点でかっこいいですし。
また外国語ではドイツ語で 「ツァイトガイスト」(Zeitgeist/ 時代精神)、「ゾーリンゲン」(Solingen/ ドイツの地方都市や刃物メーカー名)、「パンツァーファウスト」(Panzerfaust/ 携帯式対戦車擲弾発射器) なども耳をくすぐるかっこよさです。 ミリタリー の 鉄板 ネタ に、「タイガー戦車よりティーガー戦車の方が強そう」 というのがありますが w、小学生くらいの時は英語でもかっこいいと思えるものの、ちょっと気取った思春期頃になると急に安っぽくありきたりな名前に思えてしまうのは面白いです。 とはいえ、ありふれた英単語でも超重戦車 (VIII号戦車) に 「マウス」 と名づけるなどは中二病心を鷲づかみされるものがありますし、ドイツ語読みだと 「マオス」 になるのでこれはこれでちょっといまいちです。
歴史用語などは、その背後に暗い悲劇や邪悪な蛮行などもあって、単純に言葉の響きだけでかっこいいと評するのがはばかれるものもあります。 とくに歴史と軍事とドイツ語が組み合わさったナチスドイツ関係は言葉だけで見ると魅力的なものが多く、しかし現在ではたとえ批判的な文脈であっても、うかつに使うと 炎上 したり トラブル が生じるような センシティブ な扱いを受けるもの、取り扱いの難しい 閲覧注意 な言葉もあります。 まぁそうした 「暗さ」「邪悪さ」 も含めて遠い歴史や創作物の中であれば魅力的だという人も中にはいるのでしょうけれど、日本国内ならともかく、越境投稿 などではいくばくかの配慮はあっても良いかもしれません。
まぁどんな音が耳に気持ちよく響くかなどは感覚的なものですし、かっこいいかどうかもあくまで個人の 感想 です。 どれが正解という訳でもありません。 ちょっとした雑談や 大喜利 みたいな言葉遊びの楽しみ方で、あまり目くじらを立てないようにしたいものです。
すかしたカタカナ用語より、記号的な名前の方が武骨でかっこいいとか
ドイツ語は別格に近い存在感がありますが、横文字・カタカナ名前より、国鉄とか旧日本軍で使っていたような記号的な名称、例えば 「クモハ40」 とか 「九七式中戦車」(チハ) とか 「第一号型輸送艦」「一式戦闘機後期型乙」(隼) とかがかっこいいみたいな 趣味 もあります。
いかにもかっこよさを狙ったような洗練されたネーミングではなく、機械的で法則的で実利一辺倒な名称に無骨なかっこよさや渋さを感じるおたくは少なくないでしょう。 SS-1 より 「ロ式B型」 の方かかっこいいみたいな。 とはいえ、二式戦闘機よりは鍾馗の方がかっこいい感じがしますし、キ44 もかなりかっこいです。 試製紫電改もいい線いってます。 「松・竹・梅」 はいまいちでも 「甲・乙・丙」 はかっこいいという人も結構いそうです。
どんな ジャンル でもかっこよく聞こえる名前というのはありますから、様々な分野で 「これがかっこいい」「いやこっちだ」 といった雑談は楽しいものです。 名前は単にものごとを識別するための記号のようなものですが、時代や地域を超えて伝わる ネームド は、それが何であれ、雑談を通じて知らない言葉に触れるきっかけになるものでしょう。 自分の知識や世界がより広がるのは素敵な事でしょう。
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