同人用語の基礎知識

ダサい

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あいつ、イモっぽいよな… 「ダサい」

 「ダサい」 とは、イモ っぽい、野暮ったくて垢抜けていない、洗練されておらず不格好、みっともないといった意味の若者言葉のひとつです。 「ダサい」 の他、「ダセぇ」「ダッセぇ」「ダッサぁ」 と表現することもあり、また強調する場合は超を接頭して 「超ダサい」 とか、重ねて 「ダサダサ」 とする場合もあります。 その後はかなり時代を下って 「ダッサ」 といった云い方も広まります。

 1970年代初めかその前後に関東地方を中心に自然発生的に生じた言葉とされ、つっぱり (ヤンキー) や暴走族から生じた言葉だとか、女子高生から生まれた言葉だとか、語源や発生元については諸説あってまとまっていないようです。 方言がなまったものとか、「駄」 という言葉が何らかの言葉と組み合わさって変化したものなどが代表的でしょうか。 「ダサ男」「ダサい服」 のように単に ルックス や見た目を腐すだけでなく、「ダセえ奴」「ダセえ考え方」「ダサい人生」 などのように性格や言動や生き方にまで及ぶほど使用範囲が広く (ヘタレ や腰抜け、イモ引き根性 なしや 自己中 など)、また2000年代になっても使われ続ける息の長い言葉だと云えます。

 1970年代中頃にはおおむね関東地域ではそれなりに使われるようになりますが (筆者 もだいたいその頃だったと記憶)、1980年代にタレントのタモリさんが埼玉県や県民を揶揄・嘲笑する蔑称として 「ダサい + 埼玉」 で 「ダ埼玉」 を考案。 これがきっかけとなって全国的にも広く使われるようになっています。

 この 「ダ埼玉」 はダサいという言葉が成立し広く普及した後に生まれたものであり、「埼玉がダサいの語源」 というのは後付けの誤りではありますが、東京都民にとって東京以外の関東圏や他の地域は 「田舎」 であり、語源はともかく普及の小さくない理由に地域差別の感情はそれなりにあったのかなとも思います。 とくに暴走族のファッションやバイク (単車)・車 (四つ輪) の改造には強烈な地域差があり、また地域 (地元) や グループ ごとに強固なつながりがあったため、普通 に 「〇〇県の奴らはかっこ悪い」「〇〇県の族車はカッペくさい」 みたいな云い方がされていましたし。

似たような言葉に 「イモ」 や 「カッペ」「百姓」 などが

 似たような使われ方をする言葉に前述した 「イモ」 や 「イモい」 あるいは 「カッペ」「百姓」(田舎っぽい) があり (ポテトみたいな云い方も)、これらは意味や使い方もほとんど同じといって良いでしょう。 例えば服とか車などを揶揄する際に、「イモ服」「イモ車」「カッペ服」「百姓バイク」 などと呼ぶことがあり、それらは 「ダサ服」「ダサ車」 などとおおむね同じ意味として扱われます。 筆者は東京でも 治安 の悪い地域にいたこともあり、これらの言葉はわりと周囲にありふれていました。 週末になると通っていた公立中学の頃の怖い先輩がバリバリの族車に乗って集まり 「カッペ狩りにいくべ」 みたいな ノリ でした。

 この他には 「ムサい」(むさ苦しい)、「キモイ」(気持ち悪い)、「ジジくさい」「ババくさい」 などもあり、対義語は一般に 「シブい」「イカす」「ナウい」「流行」(はやり)「とんがってる」「センスがある」「イケてる」 あたりでしょうか。 また1980年代になると、一見ダサいけれど実はかっこいいという 「ダサかっこいい」 とか、その後はダサいけどかわいいの 「ダサかわ」 なども使われるようになっています。 このあたりの 一周回って 逆に良い、みたいな使い方は、キモイやブサイク (ブサ) なども同様です。

 ちなみに おたく に近いところでは、セガから1998年11月27日に発売されたゲームハード 「ドリームキャスト」(Dreamcast) のテレビCM での子供のセリフ、「セガなんてダッセーよな」「プレステのほうがおもしろいよな」 があります。 自虐的 な内容と、子供の辛辣な評価に戸惑い奮起する湯川専務の姿は大きな話題となりました。

自分たちとは異なる価値観を 「イモっぽい」 と拒絶する中で

 いずれの場合も自分たちとは異なる嗜好や文化圏の人たちや文化を罵倒する意味で用いるものであり、ヤンキーや暴走族にせよイケてる女子高生にせよ、旧来の 「田舎っぽくてどんくさいやつ」「まじめで面白みのないやつ」「親や学校の先生、あるいは世間が認めるような無難で個性のないあれこれ」 をつまらないし評価に値しないものと突き放す意図があります。

 ヤンキーや女子高生 (あるいは後の ギャル) なら子供っぽい服や無改造の学校の 制服 がそうですし、暴走族なら無改造 (ノーマル) のバイクや車がそれにあたります。 ブランド品の服や アクセサリー (といっても、バブル時代に流行したようなハイブランドではなく、あくまで1970年代基準の若者受けがするブランド) を身に着けたり、髪型 や制服の改造に凝ったり、バイクや車を飾り立てるなど、見栄の張り合いとランク付け、あるいは仲間内での同質性による一体感の発露と云えるかもしれません。

 こうした流れは1970年代後半から1980年代後半までの、バブル崩壊に至るまでの恋愛至上主義のような若者の恋愛への傾倒でさらに拍車がかかり、ネクラ とネアカとか、スクールカースト とかおたくへの蔑視などとも絡み合いながら、その時代その時代で 「生贄になる存在」 をダサいかどうかで規定しているとも云えます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年10月2日/ 項目を再構成しました)
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