作品の持つ 「訴えたいこと」 そのものでもある 「テーマ」
「テーマ」（Theme） とは、主題や題目、中心となる課題、訴えたいこと、基調となるような考え、お題 のことです。 元々はドイツ語の主題や論題を意味しますが、あらゆる人の営みや創作物の中でもっとも中心となるもの、核心部分を指したり、音楽の場合は主旋律を指すこともあります。
本来は一つの作品なり創作物なりに一つのみ存在するものですが、同じ重みで２つとか複数ある場合や、メインとサブ、あるいは表と裏といった具合に軽重に差のあるいくつかが同時に存在する場合もあります。 通常はメインテーマや表テーマが優先されますが、表立ってテーマを主張できない場合、裏テーマこそが本当のテーマの場合もあります。
作品創りの際にはその根幹となるもので、「愛」 とか 「友情」「平和」 といった大きなものが選ばれ、作品の軸となることが多いでしょう。 短編にしろ長編にしろテーマが定まっていないと物語が右に左にぶれたり迷走することになりますから、例え大雑把にでも 「この作品で何を訴えたいのか」 を決めるのは、それが作品創りの最初でも途中でも、大切なものでしょう。 これは オリジナル作品 の場合はとくに重要です。
一方、既存作品の 二次創作 や ファンアート の場合、元となる作品のテーマをそのまま使うかアレンジすることになりますが、テーマを明示していない場合は受け取り側が読み解き、解釈 する必要があります。 あえて誤読して自分の世界に組み入れることもできますが、あまりにかけ離れた読み取り方によっては、解釈違い も生じるかもしれません。
テーマ第一主義
創作物の場合、このテーマは当然ながらもっとも重要なものと見なされます。 逆に云うと、テーマがないかその存在感が薄い作品は、作品の核となる一本通った芯がない取るに足らないもの、ほんのひと時の娯楽にしかならない軽薄で低俗なもの、見てくれが良いだけの子供だましのものといった ネガティブ なイメージで語られることも少なくありません。 それは物語を持つ作品もそうですし、音楽やその他の芸術分野でも多かれ少なかれそう見なされる要素です。
一方で、これらテーマ第一主義的な考え方を 「古い」 と考えたり、テーマにこだわったり権威主義的に受け取り側にテーマを押し付けるだけにも見える映像や音楽表現が堅苦しく難解で型にはまっているようだと嫌う考え方もあります。 テーマ主義に立てば、面白いだけの作品とか新しいだけの作品、ナンセンスものとかシュールレアリスム、あるいは淡々とした日常を描いた作品は訴えたい主義主張が希薄で、視覚的な面白さだけに着目した中身のない薄っぺらいもの、商業主義に毒された大衆におもねった、売れればいいといった作品に見えます。
時代を下るとテーマ、あるいは 作者 の主義主張を押し付けるだけの作品は敬遠され、わかりやすく面白さが伝わる視覚・音楽表現の人気が高まります。 これを 「作家性の薄い作品ばかりだ」 と嘆く声もありますが、そもそもテーマや主義主張などは人間誰でも持っているし、それは創作を通じて必ず現れてくるものだと思うので、こうした論は表面的だなと思ったりもします。 そもそもどれほど 高尚 なテーマや主張を入れても、大勢の観客に選んでもらい観て聴いてもらわなければ伝わらず意味もないので、まず面白いこと、大衆に選ばれて喜ばれることが外部発表する創作物の前提条件だと思います。
もちろん趣味でも 商業 でも、どのような形でテーマを提示するかは人それぞれですし、どちらが良い悪いではありません。 しかし、しばしばテーマ主義的な人から、キャッチーで大衆的な面白さを持った作品が低俗だと罵倒されがちなので、ひと昔前の映画におけるテーマ主義と映像主義といった論争を見ていた頃は、ちょっと反論はしたくなったりもしました。 とくに マンガ とか アニメ、視覚表現にこだわる特撮作品、大衆向けのアイドル歌謡やポップスなどは、大衆的な低俗さの最たるものとしてやり玉に上がりがちでしたし。
テーマソング、テーマランド、様々な派生語も
指し示す範囲が非常に広い上に重要でもあるため、関連する言葉がたくさんあります。 例えば作品を象徴し代表するような楽曲を主題歌・テーマ曲などと呼びますし、一つのテーマに沿って作られた商業施設をテーマパークと呼んだりもします。
同人 の世界では、ひとつのテーマに沿って描かれる イラスト などを お題絵・テーマ絵 と呼ぶこともあります。 ネット などで呼びかけられて描かれるテーマ絵は、不特定多数の参加者による競作のような形となり、盛り上がると様々な作者による同一テーマの作品が集まり、大いに刺激を受けることもあるでしょう。
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