おたく=キモい で、「キモオタ」、しかしその後…
「キモオタ」(キモヲタ) とは、「気持ち悪い オタク」 との意味の略語です。
元ネタ も何もない、そのまんまの意味の言葉ですが、若い人たちの間で 「オタク=気持ち悪い」 との ネガティブ なイメージがあるなか、負のレッテル・罵倒表現として、昭和の時代から頻繁に使われる言葉ともなっています。
他人の評価を気にしすぎるのも考えもの |
ただしこの言葉の成り立ちや使われ始めた時期を見ると、そもそもが 「おたく」 という言葉に気持ち悪いとの ニュアンス と侮蔑の意味が元々強く含まれているので、「気持ち悪いオタク」 の単なる略語ではなく、キモい とオタクという差別的用語を2つ重ねた言葉、二重侮蔑語ともいえる言葉だと云えます。
なおキモイを キショい (キショ/ 気色悪い) と呼んでいた時期もあり、その場合は 「きしょオタ」 などと云われていた時代もあります。
おたく趣味が、ごく一部のものだった時代と、その後
おたくという言葉は、1983年頃から使われるようになりました。 ただし言葉が生まれるより以前に、おたく的 趣味 を持つ人 (端的に云えば、アニメ や マンガ、特撮などの熱心な ファン) は存在していました。 一方、キモいという言葉は 1970年代末頃には、すでに登場していました。
つまり 「おたく」 な人たちは、「おたく」 と呼ばれるようになる以前は、「マニア」 といった比較的普通の言い方を除けば、他の気持ち悪い人もひっくるめて単に 「キモイ」 と呼ばれていたんですね。
「キモオタ」 は前述した通り、それが複合した二重侮蔑語だと思うのですが、しかし 1990年代末から2000年代にかけ、状況も変化。 アニメやマンガ、ゲーム などが 「子供のもの」 から 「青年や大人も、ある程度堂々と楽しめるもの」 になる中、おたくという言葉も 「いい年をして子供の娯楽に夢中になる変な人たち」 との他人を悪し様に云う言葉から、単に特定の趣味を持つ人たち、必ずしも 自虐 や卑下を伴わない自称もする いちジャンル のような呼び名に少しずつではあるものの、変化していったといって良いでしょう。
もちろん おたく や おたくっぽい人に、身なりをあまり気にしない (結果的にダサい服を着ている、清潔感 がない)、独特な喋り方とか体格 (声が甲高い、太っているなど) が多いのは否定しませんが、その濃度は年々下がり続けている印象です。
おたく=キモい、ではなく、おたくの中のキモい奴
O o と 。 ,. -ー冖'⌒'ー-、 思 ,ノ \ う / ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ キ {ノ へ.._、,,/~` 〉 } ,r=-、 モ /プ ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く /,ミ=/ オ ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ} 〃 / タ / _勺 イ;;∵r;==、、∴'∵; シ 〃 / で ,/ └' ノ \ こ¨` ノ{ー--、〃__/ あ 人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\ っ . / |/ |::::::|、 〃 /:::::/ ヽ た / | |::::::|\、_________/' /:::::/〃 |
キモオタと云えば肥満+メガネ+リュック |
「おたく」 という言葉それ自体から 「キモい」 というニュアンスが薄れると、「キモオタ」 という呼称も 「オタク=キモい」 ではなく 「オタクの中のキモいやつ」、さらには 「俺もオタクだが、俺とは違う異様なやつ」 とのニュアンスに変化しつつあります。
とりわけ若い人の間では、「キモイ」 は最上級の罵倒・侮蔑レッテルですから、自分以外にそうした存在を置いて自らを一段上に上げる営みは、消えることはないのでしょう。
もちろん昔ながらの、「オタクの時点でもうキモいのだ」 との意味で使う人も少なくありませんが、時代とともに同族嫌悪や他のオタクと自分との切り離しに使われる言葉ともなっている点は、もう少し注目しても良いでしょう。
これはアニメが好きな アニヲタ や、キャラ に 萌え るだけの人を罵倒する 萌えオタ などといった呼び方も同様です。 自分はそうしたキモいおたくとは違うんだ、という訳です。