とある 「祭」 で一気に広まった 「きんもーっ☆」
「きんもーっ☆」 とは、そのまんまですが 「気持ち悪い」「キモい」「キモッ」 のことで、主に おたく な人に対して、掲示板 への 書き込み など ネット で使われる、罵倒・侮蔑の言葉です。
この言葉が生まれた発端は、2005年8月12日〜14日開催の コミックマーケット (夏コミ/ コミケット68) の開催中、同イベントにケータリングカー持ち込みでホットドッグを移動販売していたホットドッグチェーン 「ネイサンズ フランチャイジー オブ ジャパン」 の販売店の女性大学生アルバイトが、客として訪れるコミケ参加者、「おたく」 を、自らが私的に開設していたブログ上で 「怖い」「キモい」 と罵倒。 それを発見した 2ちゃんねる などの掲示板利用者が騒ぎ出したことに始まります。
ブログ炎上と企業の謝罪…きんもーっ☆ の超破壊力
ネイサンズサイトの謝罪 |
彼女の ブログ はいわゆる 炎上 となったわけですが、単にブログ上でキモいと罵倒していただけでなく、客であるコミケ参加者の写真を勝手に撮影 (盗撮) して罵倒するキャプションをつけてそのまま掲載していました。
また店舗の写真や制服を着た自分と友人らの写真、名前なども写真や文章で掲載していたので、すぐに個人の 特定 が可能な状態だったのも大騒動になる原因だったようです。
これらルール違反の数々に、コミケ参加者らからも怒りの声が上がり、2ちゃんねるにはいくつも スレッド が立ち、まとめサイト などが作られる一方、様々なオタク系ブログで取り上げられるなど、かなり大きな お祭り騒ぎ になってしまいました (俗に 「きんもーっ☆祭」 などとも呼ばれています)。
「ネイサンズ」 には、「客をばかにしている」 と苦情が殺到。 ネットニュースサイトなどにも騒動が取り上げられ、同社は直後の 8月23日に公式サイト上で 「移動店舗内スタッフによるブログ上の発言」 について 「極めて遺憾」 とする文章を掲載して謝罪。 「再発防止に全力を尽くし、お客様から失った信頼を取り戻すべく、社員一同努力いたします」 と対応策を述べています。
また問題のブログもあえなく閉鎖となりました。
実際の書き込み内容は…
彼女がブログ上で写真につけた コメント にはいろいろなものがありますが、代表的なものは、
2005年8月13日
東京ビックサイトでバイト!コミケのやつらを相手に…。でもみんなでやるから楽しいです!ただ朝4時から朝9時までという過酷さがきついです。
コミケバイト中です☆コンビニ行ったらるるぶのもえ版が!!もえるるぶってどないやねん!きんもーっ☆中にはコスプレがあるとこなどが案内されてます。きもすぎです。
8月14日
みんな頑張ってバイトしています!まぁお客はみんなオタ。
大量オタ。これほんの一部ですからね。これがぶぁぁぁぁあっているの。恐い!きもい!
などがあります。
「きんもーっ☆」 は8月13日分の写真の コメント で、同年発売され コミケ会場である有明の 東京ビッグサイト でも販売されていた書籍、「もえるるぶ 東京案内」 を紹介する中で発せられたもので、書籍とその 読者 を中傷する 「もえるるぶってどないやねん!きんもーっ☆」 を由来、語源とします。 語感が面白い (?) こともあり、当時はそこら中の アニメ や ゲーム、アイドル、オタク系の掲示板などで、頻繁に見かけるフレーズとなっていました。
ブログブームとともに炎上する個人と、その延焼に巻き込まれる企業が続出
こうした 「炎上」 は大きいものから小さいものまで、ほとんど数ヶ月おきに発生しているんじゃないかとすら思われる広がりを見せていますが、社員やアルバイトが業務に関してこうした問題を起こし大きくなると、企業もイメージダウンの影響を無視できない状態になっていますね。
アメリカなどでは企業が従業員に対しブログをつけたり、そのブログ上で業務や会社に関する話題をつけることを禁止する措置を取っている場合がありますが、私的な時間に私的なパソコンでつけられるとほとんど防ぐのは不可能で、従業員教育やモラルの向上に頭を抱えているといった感じでしょうか。
ブログや客をバカにしているケースではありませんが、2007年になって吉野家従業員による 「テラ豚丼」 騒ぎや、ケンタッキーフライドチキンの 「フライドゴキブリ事件」 などは、企業が事情説明をしたり謝罪したりでは済まず、テレビや新聞沙汰にまでなっています。
Winny などの ファイル共有ソフト の利用による情報漏えいや、2009年頃から流行したミニブログ ツイッター の ツイート (つぶやき) を含め、ネットの持つ潜在的な危険の回避、リスクヘッジの備えは、企業にとってもはや当たり前の時代になったってことなんでしょうか。 とくに簡単に利用できるツイッターは、俗に 「バカッター」「バカ発見器」 などと呼ばれるほど、炎上が相次ぐ状況になっています。 企業は頭の痛いところでしょう。