美少女ものなら、多かれ少なかれつきものの…
「制服」「制服もの」 とは、制服を着用する美少女、美女、もしくは美青年を愛でる作品と 趣味 で、“制服そのもの” を興味の主対象とするものも含む、非常に幅広い ジャンル を指す言葉です。
元々は学校の制服が主な対象であったのですが、近年職業制服の人気が高まってもいます。 また ミリタリー (軍服・軍装) を含む場合もあります。
代表的なところでは、女学生 (セーラー服 や ブレザー などを中心とする学校指定の学生服 (ただし体操着などは含まない)、および看護婦さん、スチュワーデスさん、婦警さん (女性警察官)、ファミレスやファーストフードに代表されるアルバイト・社員系の制服、銀行の女性行員さん、デパートのエレベーターガール、OLや事務員さんの女性社員制服、さらに メイドさん や巫女さんなどが多いようです。
女性向きの やおい となると耽美やおい系でナチス軍服などのミリタリ系、ネクタイ姿や男性のビジネスマンスーツ、武士や侍の和服姿などを含む場合もあります。 また学校の保健室の先生なのか、あるいはどこかの研究所の研究員なのか…白衣を扱った作品も良く見かけます。
ちなみに男性向け同人の世界で現在もっともイキオイがあるのは、「メイドさん」 系でしょうか。 また 「巫女」 さん系も根強い人気を誇っていますね。 これに比べると女性の制服萌えってのは、男性に比べるとかなり少ないようです。
紋切り型な一般論になりますが、どんなものであれ、やはり制服には折り目正しく “神聖にして犯すべからず” 的なイメージがありますから、とりわけお色気のジャンルには、うってつけな モチーフ になるんでしょうね。 また、あれこれ状況説明をせずとも制服を着せておけば、その キャラ の置かれた立場のイメージを読み手も何となく膨らませられる…ってな便利な一面もあります。
なお美少女系では、キャラの年齢的に 「学生服」 はほぼ必須 (女学生としての記号) であるため、セーラー服などの学生服趣味がある意味で広く一般化しすぎ、コアなジャンルとしての勢いはやや衰退気味です。 コスプレ などでは、まだかなり人気があるんですけどね…。 → 学園(もの)
一種のライトフェチのような感じなんでしょうけど、そういや制服…と云うわけではないんですが、暫く前から現在に至るまで、しぶとく女学生の足元を占領している ルーズソックス (ルーソ) も、一種の制服的 アイテム として同人の世界で人気があるのは付け足しておきましょ
なぜ おたくっぽい作品に、学校制服ものがこんなに多いのか
ところで おたく っぽい作品の女の子の 絵 を考えた場合、学生服の存在感はほとんど圧倒的です。 これはそもそも マンガ や アニメ の多くが学校を舞台とした作品が多いこと (当初の想定 読者・視聴者層と同じ) もありますが、とりわけおたく層にとても多いのは、絵のバリエーションを考える中で、制作するためのコストが低く済むという部分もあります。
アニメ (とくに OVA) にしろ ゲーム にしろ、衣服に対するデザインや イラスト 描き起こしのコストはバカにならず、登場人物のほとんど全部が同じ服 (色) で済む制服は、とても 費用対効果 が高いのですね。 またゲームの場合、初期のコンピュータゲームなどは使える色数も 16色 など少なく、さらに ドット絵 の場合の 差分 の使いまわしなどなど、ソフト・ハードウェア的制約といった切実な理由から制服が選ばれることは少なくありませんでした。
もちろん学校制服の人気が高いという理由も大きいのですが、単に読者や視聴者、プレイヤー が若い女の子や ロリ が好きだから、需要 があるからという理由だけではないという点は強調したいところです。 人気がある上に作画コストもプログラム上の制約も少ないのなら、選ばない理由などないでしょう。
そして純粋に作品論的な価値観だけでなく、経済的な価値観や 大人の事情 によっても表現が制約されたり発展したりして、それらが相互作用してその業界や 界隈 に参加している人の誰もが予想できない方向に変化・進化するのが、文化の持つ面白さだと思います。 制服における 謎服 (構造的・デザイン的にありえない形状や配色の、よくわからない制服) の発展など、いろんな要素が交じりあっていて、関係者の話を聞いたり調べれば調べるほど興味深くまた面白い話が出てきます。
なおその後アニメはセル画撮影からコンピュータ 環境 へ、ゲームもドット絵から 3D のレンダリングが中心となり、相対的にコストも安くなり、また色数の制限はなくなりました。 ゲーム市場、ついでおたく市場も急拡大し、ある程度以上の予算で作品創りができるようにもなりました (もっとも 3D 関係は開発費が膨大すぎるので、それはそれで使いまわしも増えましたが)。 それでも制服の存在感は依然として圧倒的ですが、「だから結局は制服が好きなんだろ」 という部分はありつつも、これまでの経緯から一つの大きな潮流が出来た部分もあるのかなという気はします。
北国を中心に、冬季にスカートをやめる学校も…
2000年前後になり、女子の制服のスカートを、スラックス (ズボン) も選べるようラインナップに乗せる学校が次々登場。 代表的なのは、東京世田谷の昭和女子大付属昭和高ですが (2001年より)、実際にスラックスを選ぶ生徒はほとんどいないそうです。
その後こうした動きは全国に広まり、とりわけ冬季に寒く、また寒さゆえに見苦しい格好 (スカートの下に ジャージ などを履く、いわゆる 「埴輪ルック」) となるのを是正しようと、北海道や東北の学校で、例えば冬季はスラックスが標準、なんて学校も出てきました。 新潟県上越市の立久比岐高は、2006年4月から、冬季はスラックスを義務化。 また2008年4月には、札幌市立南が丘中が夏季の3ヶ月を除き、通年スラックスを義務化しました。
ただでさえ短いスカートを、さらに改造などしてまで短く着こなす女子高生や中学生が多い中、どのように受け入れられて行くのでしょうか。 まぁさすがに冬はスラックスの方が良いと思いますが…男から見て