コストや苦労にどれだけ結果が見合うか…「コスパ」
「コスパ」 とは、コストパフォーマンスの略で、日本語では 「費用対効果」 と呼ばれる 概念 です。 元々は企業などの経済活動における効果判定の目安の一つで、意味はそのまんまですが、コスト (費用) に対してどのくらいの効果 (パフォーマンス) を得られるのかを指します。
使い方もシンプルで、例えば商品やサービスを 開発 したり製造したり宣伝、販売、管理するためのコストを、それによって生じた利益から差し引いて、どのくらいの効果があったのかを具体的な数値で示して可視化するために用いられます。 英語では B/C (ビーバイシー/ ベネフィットバイコスト/ benefit by cost)と呼ばれ、費用と利益との差が大きいほどコストパフォーマンスが高いと評価されます。
経済用語から一般用語に、さらに 「タイパ」 など派生語も
「コストパフォーマンス」 はとても便利な概念でもあるため、「コスパ」 と略されて一般の言葉として日常生活などでもよく使われます。 例えば同じ100円で同じようなお菓子が100グラム入ったものと120グラム入ったものとでは、内容量の多い後者の方がコスパが高いとされます。 ネット においては、様々なものを比べて最もコスパに優れたものは、とくに 「コスパ最強」 と呼びます。
またコストや費用は金銭だけではなく時間や手間、人手といった経済活動における人件費や経費に還元できるもの全てを含みますが、さらに発展して、例えば個人がプライベートな場で精神的に支払う配慮や気苦労、心痛などのストレスも含む場合もあります。 例えば笑顔や挨拶はコスパがいい (お金がかからないのに他の方法に比べ好感度を上げやすい) などです。
同様にパフォーマンスも、定量化できない個人的な気分とか楽しさ、充実感などに当てはめて使うこともあります。 同じお金と時間を使うなら、会社の上司と飲みに行くより友達と遊んだほうがコスパが良い、彼女と飲んだ方がエッチができる分コスパが良いみたいな、ちょっと 露悪的 な考え方と云い方です。
なお時間対効果として 「タイパ (タイムパフォーマンス)」 といった概念も登場しています。 意味としては、「いかに少ないお金で長時間の暇つぶしができるか」 といった意味で使われるケースが多かったでしょう。 「同じ金額を払うなら、映画より ゲーム の方が同じ金額で長い時間楽しめる」 みたいな意味合いです。
しかしその後意味が逆転し、「いかに短時間に数多くの コンテンツ を効率よく消化できるか」「満足感を得られるか」 に、主な使い方が変化しています。 これは勉強や仕事に加えて 趣味 や娯楽も多様化や細分化しつつ選択肢が増え、一方でネットの普及によって無料や安価なコンテンツが膨大に配信されて 「時間がいくらあっても足りない」 という現代人ならではのものの考え方かも知れません。
こうした使われ方はさほど新しいものではないものの、2020年前後には急激に使われるようになり、2022年には大手メディアを中心に 「若者のコンテンツの楽しみ方が変わった」 という文脈で盛んに取り上げられ、タイパは一種の流行語にもなっています。
それ以外の 「コスパ」 あれこれ
同人 の世界では、これ以外にも 「コスパ」 と呼ばれる略語があります。 代表的なのは コスプレパーティー (あるいはコスプレダンスパーティー) の略語で、コスプレ をして参加するパーティや コスイベント を指します。
また多くの コスプレイヤー から支持される正規のコスプレ用衣装や各種グッズなどを制作・販売している企業に株式会社コスパ (COSPA) があります。 この企業は1994年に社名の 「コスパ」 と同名のコスプレダンスパーティのプロデュースから活動をはじめ、翌1995年5月に日本初となるコスプレ衣装メーカーとして発足 (当時の社名はコスチュームパラダイス、その後1998年2月から現社名)。 一般にコスプレの世界でコスパといえばこちらを指すことが多いでしょう。