理由はないけどとにかく受け付けない… 「生理的に無理」
「生理的に無理」 とは、生理的な嫌悪感や忌避感、不快感を覚える、これといった理由や説明できるような根拠や理屈はないものの、生まれながらの本能的に自分とは相いれないものを感じるといった、かなり強烈な侮蔑・罵倒の表現です。 極めて近いかほとんど同じものに キモイ や キショい、オエ〜〜などもあります。
人間誰しも、相手が人であれ物であれ場所であれ、生理的にしっくりくる場合と、理由は分からないまでも、何となく不快に感じたり身の危険を覚えることはあるものです。 それは生物としての直感なのかも知れませんし、関わったらひどい目に遭いそうだとの 不穏 なものを感じて、時として無意識的に避けることはよくあります。
「生理的に無理」 はこれと同じ意味となりますが、ただしそのまんまの意味で使うというよりも、「それほどまでに対象が嫌いなんだ、受け付けないんだ」「今後何があっても絶対に好きになることはない」 という自分の拒絶感情を、対象となる相手を傷つける形で述べる誹謗中傷や悪口として研ぎ澄まされた形なのでしょう。
この言葉を理由なく投げつけられた側は、それを自分に対して述べるのは失礼だとの反論はできても、相手が生理的にどう感じたか、その生理的センサーの基準はどうなってるんだまでは責めたり撤回させることはできません。 また具体的に自分の何がそこまで相手の嫌悪感や忌避感を引き起こすのかまではわからず、結果的に自分のコンプレックス部分を突かれているように錯覚し傷つき、もうどうしようもありません。
「キモイ」 や 「清潔感がない」 と同様の罵倒語
誰だって好き嫌いがありますから、別にある人がある人を生理的に受け入れられなくとも、それはそれで仕方がない部分はあります。 あくまで個人的な主観であり お気持ち だからです。 しかしそれをことさらに口にして相手に伝えたり、主語を大きく して広く ネット で訴える、賛同を求めたり逆の立場の人間を攻撃するなどは、普通に 言葉の暴力です。
とくに 「生理的に無理」 は 「キモイ」 や 「清潔感 がない」 など同様、具体的な理由や根拠などはなく、あくまで 「そう感じた」 との宣言なので、「自分がどう感じたかを素直に述べるのは 表現の自由 だ」「むしろ先に不快な思いをさせられたのはこちらだ」 との被害者の顔すらできる点で、高い攻撃力をもちつつ罪悪感も覚えずに済む、端的に云って卑怯卑劣な部類の言葉でしょう。
このあたりは悪意を前提とした侮辱のための悪口として洗練された部分もあり、その良し悪しを論じても空しいものがあります。 また 痴漢 や性犯罪全般、しつこい ナンパ などに遭った女性が、加害者に対して使うのなら、それはそれで正当な言葉の使い方でしょう。 卑劣な相手に卑劣な言葉で応酬しても、それはそれで止むを得ないと感じる人は多いかも知れません。
しかしその言葉の矛先が自分以外に向いていたとしても、気軽に他人に対して面と向かって生理的に無理だのキモイだのと口にする幼稚な人間とは、距離を置く方が良いでしょう。 こういう 強い言葉 を気軽に使う人は、損得勘定から口に出す相手を選んでいるだけで、ほとんど無意識かつ短絡的に、誰に対しても同じような感情を持っているはずだからです。 これは些細なことですぐに キレ て周囲の人間に対して手あたり次第に罵倒を繰り返すような迷惑な おじさん や老人 (老害) が、実際は罵倒する相手を反撃してこなさそうな弱い子供や女性ばかり無意識に選んでいるのとたいした違いはありません。