邪気眼

退屈な授業中、校庭をボーっとみていると… 「邪気眼」

　「邪気眼」 とは、中学生時代の思春期などに、自我、自意識が大きくなり、「自分を特別視」 するような気分、精神状態となった際に、妄想 や自分の好きな マンガ や アニメ、ライトノベル や ゲーム などの影響を受けることによって、現実の自分に妙な 設定 を付けたり、それを他者に対して演じて主張するような行動を指す言葉です。

　具体的には、ある種の 「目立ちたい」 という願望の発露として、ことさらに奇矯で異常な言動をする、不思議キャラを演じることだったりしますが、勇気がなくてそれができない場合には、できない理由を異常なものにする （勉強ができないのは、真の能力の 覚醒 がまだ起こっていないからだ、スポーツができないのは、現代医療で解明されていない謎の病に冒されているからだ…などと吹聴する） 場合もあります。

　また 同人 などの 界隈 のケースでは、当時自分で自分につけた妙な設定そのものや、そうした設定を持ち自分自身を作中の 主人公 に重ね合わせたような設定 （世の中を斜に構えて見ている、無気力クール だ、など）を持つ自作のマンガや小説、ＳＳ などを、「邪気眼設定」 とか、「邪気眼作品」（黒歴史 ノート、中二病作品） などと呼ぶ場合もあります。

　こうした行為は、自意識が過剰となる思春期の頃にありがちな 痛い 行動や考え、中学二年生の頃にありがちな事として、中二病 などと一括して呼ばれる場合もあります。　「邪気眼」 と 「中二病」 とは、細かく見れば本来は別のものだったりもするのですが、イメージとして重なるところがかなりあるため、ネット の 掲示板 などでは、同じような意味で使う人もいます。

「邪気眼」 の元ネタは、２ちゃんねるの書き込みから…

　「邪気眼」 という言葉そのものの 元ネタ は、2006年２月12日に掲示板 ２ちゃんねる の人気板、ニュース速報板 （ν速板） に立てられた 「過去の失態を告白してみんなで奇声を発する スレ」 での、一連の 書き込み に由来します。

　書き込み内容は、次のようなものです。

276 名前：ν速民：2006/02/12(日) 06:32:24.10 ID:hTmxoedt0
中学の頃カッコいいと思って
怪我もして無いのに腕に包帯巻いて、突然腕を押さえて
「っぐわ！・・・くそ！・・・また暴れだしやがった・・・」
とか言いながら息をを荒げて
「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言ってた
クラスメイトに「何してんの？」と聞かれると
「っふ・・・・邪気眼（自分で作った設定で俺の持ってる第三の目）を持たぬ物にはわからんだろう・・・」
と言いながら人気の無いところに消えていく
テスト中、静まり返った教室の中で
「うっ・・・こんな時にまで・・・しつこい奴等だ」
と言って教室飛び出した時のこと思い返すと死にたくなる

320 名前：ν速民：2006/02/12(日) 06:46:02.83 ID:hTmxoedt0
>>297
中学の頃の同級生に会うのが怖くてしょうがない
成人式なんて絶対に行けない
柔道の授業で試合してて腕を痛そうに押さえ相手に
「が・・・あ・・・離れろ・・・死にたくなかったら早く俺から離れろ！！」
とかもやった体育の先生も俺がどういう生徒が知ってたらしく
その試合はノーコンテストで終了
毎日こんな感じだった

360 名前：ν速民：2006/02/12(日) 07:05:13.55 ID:hTmxoedt0
>>340
今現在は普通の大学生やってる
中学の受験の頃にはもう自分では何気なくやってたつもりのことが、
どれだけ痛いか感じ取ってやめたよ
幽々白書の飛影っぽいキャラになりきってた
でもやっぱりそんな痛いキャラだとヤンキー グループ に
「邪気眼見せろよ！邪気眼！」とか言われても
「・・・ふん・・・小うるさい奴等だ・・・失せな」とか言ってヤンキー逆上させて
スリーパーホールドくらったりしてた、そういう時は何時も腕を痛がる動作で
「貴様ら・・・許さん・・・」って一瞬何かが取り付いたふりして
「っは・・・し、静まれ・・・俺の腕よ・・・怒りを静めろ！！」と言って腕を思いっきり押さえてた
そうやって時間稼ぎして休み時間が終わるのを待った
授業と授業の間の短い休み時間ならともかく、
昼休みに絡まれると悪夢だった

　これら一連の書き込みは非常に レベル が高く、ニュース速報(VIP)板 やその他の板などに瞬く間に伝播。　程度の差こそあれ、中学生の頃に似たようなことを行っていた人たちの共感を集め、ある種の 「邪気眼」 ブームを起こしました。

誰だって自分だけは特別なのだ…と思う時期があるものです…

　マンガに影響されてマンガの主人公と同じような口調でしゃべるようになったり、女の子なのに一人称が僕とか俺、ワシ になる女性は多いものです （ボク少女 とか、俺っ娘 などと呼びます）。

　とりわけマンガやアニメ、ライトノベルなどが大好きで、宗教や神話、陰謀論 とかオカルトに凝ったり、そうしたものが好きになるあまり、ファッションや生活にそれらの要素を詰め込んだり、憧れる キャラクター と一体化するようなキャラ設定を自分で実践する人は結構多いものです （大声では云いませんが、筆者 もそうでした…）。　病気 や怪我をしていないのに、包帯 や 眼帯 をしたり足を引き摺るなんてのも、注目されたい、目立ちたいという思春期特有の行動としてよく指摘されます。

　これら一連の書き込みと、それによって発生した様々な レス の応酬は、忘れていた、あるいは忘れたいと思っていた過去の自分の恥ずかしい記憶を、読む者に痛烈に呼び醒ますものだったのでしょう。　とりわけ特定世代にとって 「幽☆遊☆白書」 の人気と影響力は絶大で、中でも人気のあったキャラ、「飛影」 の影響を受けたとの発言は、「人ごとでない」 と感じる人が少なくないのでしょう （ちなみに飛影の持つ第三の目は、邪眼）。

　掲示板で一連の発言を行ったという個人をあげつらい、祭る ような流行語ではなく、そうした 「誰もが一度は経験したかもしれない恥ずかしい過去」 を一言で言い表す、とてもわかりやすく面白みもある言語化のひとつだと言えでしょう。

「逆邪気眼」「裏邪気眼」 って何？

「それが世界の選択か…「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」

　「邪気眼」 とよく似たような意味で使われる言葉に、それが世界の選択か…ラ・ヨダソウ・スティアーナ なんてのもあります。　こちらは2005年２月25日に 「２ちゃんねる」 の 「モテない男性板」（喪男板） に書き込まれた同種の発言から派生しています。

　またこれに 語尾いじり の設定がつけられた 「それが世界の選択でちゅか」 のバージョンもあります。　こちらは上記の発言が話題となり改変バージョンが作られる中、ニュース速報板で 「いじられキャラ」 として人気を博していた コテハン、ぼっさん氏 の口癖のアレンジバージョンとして作られたものが元ネタとなっています。

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くそっ・・・壁殴っちまった・・・イライラするな・・・どいつもこいつも・・・
びっくりするほどユートピア！
　

（同人用語の基礎知識/ うっ！/ 2006年11月19日）