「下着」 よりも、さらにいっそう肉体的なフェチを感じさせる 「包帯」
見慣れた友人やクラスメイトの 「包帯姿」 から 受ける、妙な感触と感情のざわめき |
「包帯」(ほうたい) とは 病気 や負傷などで皮膚が傷ついた場合に、その湿度や温度、清潔、安静などを保ったり、圧迫により出血を止めたり、血や膿を吸収したり、あるいは衝撃などから守るために身に着ける布状の医療用具のことです。
肉離れや 骨折 などで患部を動かせない場合の固定や応急処置などにも使われ、「バンテージ」(Bandage) とも呼びます。 これら全般の対処法は 「包帯法」「包帯処置」 などと呼びます。
「包帯」 そのものは、伸縮性があり強いガーゼ生地の綿布となっていて、細長いテープ状や大判状の布生地の形となっており、必要に応じた長さやサイズに切って使います。 その際、傷口などに直接つける保護ガーゼをさらに保護して固定する役割をしたり、添え木を巻き込んで固定したりします。
使い方はぐるぐると患部を含む体の部位に巻きつける、縛る、別の健康な体の部位に固定するために吊る、引っ張るなどですが、包帯と焼石膏粉末を組み合わせ、水をつけて石膏を凝固させて固定する場合もあります。 こうしたものは、「ギプス」「ギプス包帯」(Gips) などと呼びます。
フェチ要素としての 「包帯」 や 「ギプス」「三角巾」
巻いたり吊ったり… こちらは綿布を使った 「三角巾」 の使用法 |
目立ちにくく自然な色合いとなり、 多少の防水性もある粘着性の肌色包帯 |
眼帯 や マスク などもそうですが、この種の医療用製品、もしくはそれを身に着けた肢体に性的な興奮を覚える人は結構いるようです。 いわゆる 「包帯フェチ」「医療プレイ」 ってやつですね。 また 萌え要素 のひとつとしても強く 認知 される アイテム となっています。
日常ではあまり意識しない 「人間」 の 「生物」 や 「動物」 としての生々しい息遣い、弱々しく守りたくなったり、あるいは逆に弱っている今なら…といった弱みに付け込む卑劣でどす黒い欲望、それに対する激しい自己嫌悪と背徳感との衝動。 これらが、この姿を見たことにより一気にない交ぜになり迫ってくると感じる人も少なくありません。
また 「直接体につける」 という点で、靴下 とか パンツ などの下着や生理用品と同じ扱いとなり、独特の 「臭い」 とか 「汚れ」(血や体液で黄ばむなど) に、本能的でダイレクトな性的衝動を覚えるとするマニアックな人も多いようです。
こうしたものは SM の一種とされ、メディカルSM、フェチの一種ともされます (弱々しい姿をみて虐めたくなるとか、それに自傷を含むとか)。 また 「肉体に極限まで肉薄」 しながら、それでも肉体の一部ではない、しかも目立つという違和感から生じる フェティッシュ な衝動、体を締め付けて拘束するというイメージも 「包帯」 にはあります。
傷跡や傷口をメイクでフェイク表現するダーク系の ゴスロリ ともども、「不健全がカッコイイ」「死を連想する危険な モチーフ がカッコイイ」「他の人とは違う自分」 といった独特の 「思春期の先鋭的なファッション」 がありますが、これと同じ カテゴリ の扱いを受ける場合もあります。
「自傷行為」 の代用としての 「包帯」「流血」 ファッション
「包帯」 や 「眼帯」 などが作品中で触れられている、例えば 「新世紀エヴァンゲリオン」 の綾波レイの コスプレ ならともかく、「包帯」 そのものに大きな付加価値を感じるそれは、どう考えても健全なファッションとはいえませんし、病的な人、メンヘラ 的な人はともかく、そうでない場合には、健康だからこそできる 「悪趣味なお遊び」「手軽で幼稚な 自虐 趣味」 とも云えます。
しかし実際にリストカット (リスカ/ 手首を切る) するとか、誰かに殴られるのも困りますから、「真似事」 で希死願望や 承認欲求 を疑似的に満たして卒業するというのも、死や生死を分けるような大事故、大病が幸運にも身近にない場合の 「生きている実感を得る」 ための代償行為として、それなりの意味はあるのかも知れません。
こういった 「死」 や 「自傷」 の代償行為として、しばしば 「ピアス」 や 「タトゥー」 などもその傾向があるとされますが、実際に体に傷をつけるのではなく、包帯を巻く、足を引きずるなどの行為によって、精神的に自分の体が痛めつけられていると想像、意図的な錯誤をすることで満足を覚える人も少なくなく (ミュンヒハウゼン症候群のように、周囲の注目を集めたいという欲求を満足させるものでもある)、先行き不透明、不安定な社会情勢と、「死」 を身近に感じられない生活の中、その 「趣味」 は若年層を中心に広まりつつあります。