同人用語の基礎知識

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哲学から生まれた範囲の概念…「カテゴリ」

 「カテゴリ」(Category) とは、物質を始め、あらゆるものを区別、分類、範疇とすることを表す言葉です。 語源は古代ギリシア語の 「κατηγορια」 で、ギリシャ哲学の世界で物質などの基礎的な元素 (火・水・土・風 (空気) の、いわゆる四大元素) を分類するための言葉や考え方として使われていました。

 こうした考え方は、プラトンやアリストテレスら古代ギリシア哲学者によって深められ発展し、様々なカテゴリ (カテゴライズ) の考え方が生まれたり、異なるカテゴリ同士の関係や、物質や事象がなぜそれであるのかを決める論理的な考え方、方法を作ることにもなりました。

 プラトンは 「存在」「同一性」「多様性」「変化」「存続」 といったカテゴリを、弟子のアリストテレスは 「実体」 を10のカテゴリにわけ、「質」「量」「関係」「能動」「受動」「場所」「時間」「姿勢」「所有」 といった区分を系統的にあらわし、これらは後の世に受け継がれながら、様々なカテゴリや 「物体や事象の性質を定義し、区分して整理する」 という学問の進歩に不可欠な考えを広め、ひいては文化や人類の進歩に貢献しています。

 一方で、一度分類・整理されたカテゴリは、容易には変更しづらく、一度決まったカテゴリが金科玉条となってしまう危険性があります。 その後の研究で既存のどのカテゴリにも合致しない事象などが見つかると、それをありのままの事実として受け入れるよりも、間違いだ捏造だと排除してしまう方向へと流れてしまうこともあるのですね。 かつては哲学や自然科学や宗教などが混然一体となり、ある事象をどのカテゴリにすべきかで激しい論争や、まるで縄張り争いのような権威の押し付け合いが生じ、物事の本質がゆがめられてきた歴史もあります。

「ジャンル」 と 「カテゴリ」

 ジャンル (Genre) という言葉もありますが、こちらは主に芸術分野で使われる言葉となります。 ただしカテゴリもジャンルも、こんにちではほとんど同じような意味で使われる場合が多いでしょう。 またいずれのカテゴリにも属さないものは、ノンカテゴリ と呼びます (カテゴリに入らないのではなく、ノンカテゴリに属する)。 略して 「カテ」 と呼ぶ場合もあります。

 同人 の世界では、同人誌即売会 での サークル同人誌 の分類に 「ジャンル」 という言葉を使いますし、それらを ジャンルコード の形で 告知 していますが、「カテゴリ」 と呼んでも間違いではありませんし、パソコンのフォルダやディレクトリをカテゴリとして扱う場合もあり、ネット の世界ではそちらがむしろ一般的だったりもします。

カテゴリー違反? 「カテエラ」 とは?

 カテゴリーエラー (カテエラ) とは、一般小説や ライトノベル の新人賞などの募集要項として存在する 「カテゴリ」 に、ある作品が反している、条件を満たしていないとの意味の言葉です。 例えば長編小説を募る新人賞に、短編小説を応募したら、それがどれだけ文学的に優れた作品であっても 「カテゴリ」 に反していることになり、「この賞には合っていない」「カテゴリーエラーで失格」(落選、選考対象外) となります。

 ただし 「愛を テーマ とした作品」「当雑誌に掲載するのに相応しい作品」 などのような、範囲がぼやけて分かりにくいカテゴリ指定もあり、小説家、ラノベ作家を目指すものにとって、最初に難しく感じるのが、このカテエラかも知れません。 新人賞を 主催 している出版社や雑誌、ライトノベル文庫の求める作品傾向に合っているかどうかは主観の問題でもありますが、お客さまである 読者 が、その出版社なり雑誌、文庫なりに求める作品傾向はありますし、それを判断するのは出版社や編集者ですから、仕方のないことなのかも知れません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年8月13日)
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