「これが俺の本当の姿…」 真の力に目覚める 「覚醒」
「覚醒」 とは、目が覚めること、意識や感覚や思考がはっきりとして頭が働き始める、明確化するといった意味の言葉です。 ここから転じて、自分の誤りを悟って心を入れ替えたり迷いを振り切ったり、新しく前向きな気持ちになるといった意味で使われることもあります。 目が覚めている状態のことは覚醒状態と呼びます。
睡眠・昏睡と覚醒といった生理現象としての肉体や意識の変化を単に指す場合もありますが、比喩表現として真理に目覚める、迷いから覚めると云った使い方の方が日常会話では比較的多いかもしれません。 またそこからさらに転じて、潜在能力を呼び覚まして真の力を得る、覚悟を決めるといった意味で使うこともあります。 宗教、とくに仏教においては重要な 概念 でもあり、煩悩に迷える俗人間が厳しい修行や深い思索を通じて悟りを開いた姿を 「覚者」 と呼び、この 「覚」 に至る道こそが教えの真髄だとも云えます。
おたく な世界においては創作物などを通じて、「目覚めて真の力を開放する」 といった文脈で理解されることが多いでしょう。 とりわけ ゲーム などでは、キャラ なりが成長 (経験値 を得て レベルアップ したり、同一のキャラ (のカード) を合成 (凸) する) して真の姿、最終形態に変化する様を覚醒と呼ぶことが多いでしょう。 その際に何らかの特別な演出や画面効果がされる場合は 「覚醒演出」 とか 「覚醒エフェクト」 と呼ぶこともあります。
なお 「真の力」 が解放されるという描写において、覚醒と似たものに 「暴走」 があります。 覚醒は本人が自覚的で覚醒した力をおおむね制御可能であるのに対し、暴走は本人がそれを認識せず、突然振るえるようになった自らの大きな力に翻弄されたり制御ができなくなる状況を指すことが多いでしょうか。 それぞれは本人の心の中、あるいは作品なら作品の中の描写や説明で明確に分けて考えられますが、結果的にどちらも同じような状態になっていることもあります。 また覚醒したつもりが暴走だったり、暴走を少しずつコントロールして覚醒した力として利用することもあります。
自己啓発やマルチ商法、カルト宗教などでも多用される 「覚醒」
一方で、「覚醒」 とか 「目覚める」 は伝統的宗教の他にも自己啓発セミナーやらマルチ商法やらカルト宗教、疑似科学、陰謀論、スピリチュアルな話などでも都合の良い概念として多用されています。 その結果、「目覚めた人」 とか 「覚醒者」 などを自称する人を揶揄したり罵倒の対象として冷ややかに見たり、この言葉自体がそうした人に貼る負のレッテルのような扱いがされることもあります。 類似の言葉には 意識高い系、英語では 「WOKE」 がありますが、意味や使いどころはおおむね同じですか。
とりわけ 「ネット の情報で真実に目覚めた」 といった人を ネットスラング で 「ネットde真実」 とか 「聖戦士」「オーラロードが開かれた」 などと皮肉を込めて呼ぶこともあります。 また同じような文脈で使われがちな言葉には前述したレベルアップの他、意識のバージョンアップや アップデート などもあります。
こういう言葉を上から目線で熱っぽく語る相手とは、それがどんな話であろうと距離を持つことが大切でしょう。 鵜呑みにすると、ろくなことになりません。