偏向した番組や記事を垂れ流すテレビ局や新聞社を兵糧攻め 「スポンサー問い合わせ」
「スポンサー問い合わせ」(問合せ) とは、テレビや新聞・雑誌の番組や記事内容などに問題があると感じられた場合に、視聴者がテレビ局や新聞・出版社に直接問い合わせや苦情を行うのではなく、そのテレビ局や新聞・出版社にスポンサーとして広告料を支払っている企業などに、「どのような意図でこのような番組や記事を配信するメディアをスポンサードしているのか?」 と、苦情ではなく問い合わせを行うことです。
偏向報道にはスポンサー問合せ まとめ@wiki 2ちゃんねるなどの書き込みをまとめる形で 2009年4月5日に登場 |
手法としては、企業などへ直接電話をかける 電凸 のひとつですが、単なる 「言いっぱなし」 の苦情や文句ではなく、返答を求める 「問い合わせ」 となっているのがポイントです。
折り返しの電話や後日かけ直しによる解答を相手に求め、間接的に問題のある番組や記事を配信したテレビ局や新聞社、あるいは間に入っている広告代理店などに圧力を加える大衆行動のひとつとなっています。
この 「スポンサー問合せ」 という 「手法」「戦法」 が提唱されたのは ネット の 掲示板 で、その後いくつかの 祭り を経て他のコミュニティにも伝播。 マスゴミ (マスコミの蔑称) に対する攻撃手段として確立しているようです。
通常、スポンサー問合せまで行われるほど広がった 「祭り」 は、他の攻撃手法と複合されるケースが多いものです (当事者や関係者の ブログ や Twitter などに批判 コメント が殺到する 炎上 や、近辺に押しかけて写真などを撮影する スネーク、チラシ や ビラの うっかり や、デモ、不買、商品送り返しなど)。 中でもスポンサー問合せは電凸やスネークと並び、「録音した相手の不誠実な対応」 などのわかりやすい成果物が祭りの 燃料 して現れることから、運動や祭りが盛り上がる大きな要因の一つとなっています。
スポンサー問合せ自体は、苦情による消費者直接運動の一貫として昔から見られたものです。 しかし2007年になって、現在の形の 「スポンサー問合せ」 の発端となる 書き込み が、あるマスコミ不祥事による祭りで登場 (後述します)。 これを契機とし、ネットを使った不特定多数による同時多発的・大規模なスポンサー問合せが度々生じることとなりました。
2007年不二家捏造報道問題において 2ちゃんねるで 「スポンサー問合せ」 が提唱される
こうした手法のきっかけが生まれたのは、2007年4月前後の掲示板 2ちゃんねる のニュース系の人気掲示板、ニュース速報+板 (ニュー速+板) でした。 発端は、同年1月10日から開始された洋菓子メーカー 「不二家」 の期限切れ原材料の使用問題に対するマスコミの過剰なバッシング報道でした。
この期限切れ原料 (牛乳) の使用は、実際には公的基準よりずっと厳しい不二家独自の社内基準の期限がわずかに切れていただけでした。 一切の法令違反はなく、品質上も問題はなく、健康被害なども生じませんでした。
しかし不二家が業務改善のための調査を依頼していた外部コンサルティング会社の資料に 「このままでは雪印の二の舞になる」 などの過激な表現があったことから (これは不二家内部にさほど問題がなかったため、多額の予算を獲得していたコンサルティング会社側が不必要に過激な表現を行ったもので、不二家側の表現ではない)、この言葉尻だけを捉え、「不二家は2000年に1万人以上もの食中毒患者を出し潰れた雪印乳業と体質が同じだ」 との常軌を逸したバッシング報道が メディアスクラム で行われたものでした。
偏向報道や番組不祥事で批判に晒されるTBS |
その中には、今回の件とは全く無関係の過去の トラブル などをことさらに誇張して伝えるものや、真偽不明で後にマスコミ側の明らかな捏造報道であったことが発覚したバッシングもかなりありました。
中でもTBS系番組 「みのもんたの朝ズバッ!」 の捏造報道は悪質で、さらにその点を第三者機関に追求されたTBS側が、声を荒げるなどの恫喝対応を行っていたことが録音テープや第三者機関による報告書で発覚。
折から偏向報道や番組不祥事でネット 界隈 におけるTBSのイメージが悪かったことから、大きな祭りとなっていました (TBS側はその後、みのもんたら出演者が番組中で不二家のお菓子を食べまくるパフォーマンスを行いほぼ全面的な謝罪の状況に、また総務省からも強く指導を受けています)。
この祭りのさなか、ニュー速+板に立てられた不二家関連 スレッド に書きこまれたのが、「スポンサー問合せ」 を呼びかけ、こうした運動の発端ともなった、「一番効果があるのは、スポンサーへの「抗議」ではなく「問い合わせ」です。」 との レス なのでした。
この書き込みは、TBSの社員数や会社の規模などをリストにした前編 (この程度の大きさのいち民間企業に、日本中をデタラメ報道でひっかき回され貶められていいのか、との内容) と、後半のスポンサー問合せの説明部分の2つで構成されていました。 この後半部分のみが2ちゃんねる利用者によってサルベージされ、一部の掲示板などで コピペ 用文章として テンプレート 化。 その後にごく小規模な 共有 が行われるようになりました。
その後、この 「スポンサー問合せ」 が再発掘されネット中で広く知られるようになり、ネット利用者らの大規模運動にまで盛り上げる非常に大きな祭りが発生します。 翌2008年の、毎日新聞 変態 報道事件です (後述します)。
「一番効果があるのは、スポンサーへの「抗議」ではなく「問い合わせ」です。」 テンプレート
一番効果があるのは、スポンサーへの「抗議」ではなく「問い合わせ」です。
現在マスコミ、とりわけテレビ局のスポンサーは、テレビ局の営業と
直に契約してスポット広告や番組の 枠 を買っているわけではなく、
間に広告代理店が入ってます。何かの番組がおかしいとして、
その番組のスポンサーに抗議しても、間の広告代理店が調整してしまいます。
翌週にはまったく別のスポンサーとなってしまい、効果がありません。
企業は、一社提供の番組をのぞき、放送の枠の一部を買っているだけで、
その番組に直接タッチしているわけではないのです(これは電通の悪知恵です)
ではどうするか。
問い合わせればいいんです。「この番組はこれこれこうなっているが、
どのような意図でスポンサードしているか、教えていただけますか?」と
問い合わせしましょう。「抗議」のように、言いっぱなしにしないこと。
これが重要です。
問い合わせをすると、その問い合わせは企業から広告代理店にゆき、
最終的には番組の制作スタッフへ行きます。視聴者からではなく、
スポンサーからの問い合わせですから、無視できません。電話で釈明することもできず、
アルバイトや外注に投げることもできず、社員が書類を作って広告代理店や
スポンサーに説明をしに行かないと行けないわけです。
天下のテレビ局の社員であっても、人間ですから一日は24時間です。
その24時間のうち、数時間をスポンサーへの釈明に費やさないといけません。
場合によっては一日がかりになるでしょう。彼らはこれを、非常に嫌がります。
質問責めにして、彼らの時間を奪いましょう。捏造する気をなくさせましょう。
これは左側の人たちが好んでやり、また効果が抜群の「叩き方」です。
「毎日変態記事騒動」 でスポンサー問い合わせが爆発的盛り上がりに
スポンサー問合せを広めた旧毎日新聞英語版 「Mainichi Daily News 「WaiWai」(2008年4月) |
スポンサー問い合わせの中心地 不敗伝説に彩られた 「既婚女性@2ch掲示板」 |
毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki (2008年6月1日) |
2008年4月頃から 「毎日ディリーニューズ」(Mainichi Daily News/ MDN) の 「WaiWai」 コラムコーナー (家庭向けの年齢制限のないコラムコーナー) における、日本や日本人への民族的な偏見を煽るようなゴシップ雑誌からの無断転載、捏造だらけの 「毎日新聞英語版 変態記事配信事件」(いわゆる 「変態新聞事件」) の祭りが発生。
当初はネットでの情報 拡散 や毎日新聞などへの抗議電話などが行われていましたが、毎日新聞側はこれをほとんど無視。 電話対応なども非常に不誠実なものに終始していました。 その後問題の記事はことごとく削除され、「なかったこと」 のような扱いに。
他のマスコミも一部のネットメディアだけが報じただけで、マスコミ同士のかばいあいのような状態となっていました。
「もうマスコミの良心に期待して直接苦情をいっても無駄だ」「しかし毎日新聞に対する不買運動をしようにも、うちは元々毎日新聞など購読していない」 という、反対運動に対する手詰まり感、無力感も広がることに。
「不買運動」 への無力感から 「新しい方法」 へ
またこの問題に先立って行われた TBS系報道番組 「筑紫哲也 News23」 の偏向報道に対する番組スポンサー、キリンビールへの数度にわたる不買運動に成果が見られなかったことなども、そうした無力感の前提としてありました。
同社への不買運動は、大きいものでは 2003年7月3日からの 「玄界灘 第18光洋丸沈没事件報道」 が発端のものや、2006年3月20日からの 「ナヌムの家特集」 が発端となったものなどがありました。 しかしいずれも目に見える成果はなく、キリンビールは数年間にわたって過去最高益を更新し続け、この不買運動はほとんど 黒歴史 扱いとなっています。
こうした状況の中、一部では毎日新聞社前でのデモなども行われながら、前述したスポンサー問い合わせのコピペによる書き込みが、「これ、TBSやテレビ局相手だけじゃなく、毎日新聞にも使えるよね?」 と、相次ぐことに。 また情報を共有するための まとめサイト、「毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki」 も作成され、その中でもスポンサー問い合わせが紹介され、それを見た人達の間で一気にこの運動が盛り上がることになりました。
それまで存在していた不買でも苦情でもデモでもなく 「問い合わせ」 という耳慣れない新しいスタイルが手詰まり感を払拭し、方法としても取り組みやすく新鮮に感じられたこともあるのでしょう。
その後、日本中の膨大な毎日新聞の広告スポンサーが媒体別、地域別に全国で手分けしてリストアップされ、ネットで逐一情報が リアルタイム で共有。 さらにこれら全てにローラー作戦で問い合わせが殺到することに。
また問い合わせの結果もネット上でその都度共有され、企業側オペレーターや社員などの電話対応の良し悪しにより、「良い」「まずまず」「最悪」 などのランク付けが行われ、悪い対応の企業に対するさらなる問い合わせや不買、強硬なバッシングへの呼びかけがネット上に溢れかえることとなりました。
日本人女性を性的に侮辱するあまりの内容に鬼女が激怒
英文サイト出直します 経過を報告しおわびします」 6月に紙面の片隅に400文字ほどの小さな謝罪の 真似事をしたものの、一向に騒ぎが収まらず、 7月20日、英文サイトについて紙面とサイトで 検証記事の掲載と謝罪を行った |
ところでこうした運動の中心にいたのは 鬼女 と呼ばれる人たちでした (掲示板2ちゃんねるの雑談系 カテゴリ に属する板 「既婚女性板」(主婦のための掲示板) の略語、既女の 誤変換当て字)。
毎日新聞英語版の内容が日本人女性を性的に侮辱するものであったため、怒りの急先鋒となったのが彼女たちでした。
この 「家庭の財布を握る主婦」 による執拗・膨大なスポンサー問合せは毎日新聞の広告業務に壊滅的な打撃を与え、毎日新聞サイトからはほぼ広告が一掃される状況に。 新聞紙面からも広告が激減し、どちらも自社広 (利益の発生しない自社広告) だらけとなり、部数も大幅に減少。
結局その年の毎日新聞は記録的な減収減益となり、折からのサブプライムローン問題などによる景気後退からの広告減もあるにせよ、結果的に史上最大の赤字決算となってしまいました。
その後このスポンサー問い合わせは、「効果のある抗議方法」 としてソーシャル系サービスなどにも伝わる一方、朝日新聞社内からのアクセスによる鉄道板荒らし問題を発端とする 「ネトアサ事件」(2009年) をきっかけに、「偏向報道にはスポンサー問合せ まとめ@wiki」 といった専門サイトも登場し、強く推進されることに。 以降も様々なマスコミ問題について、情報を共有する拠点の役割も担っています。
その後もタレント倖田來未さんのラジオでの発言が元となる 「35歳で羊水が腐る発言騒動」(2008年) や、俳優高岡蒼甫さんの Twitter でのつぶやきを発端に燃え広がった 「フジテレビ偏向放送問題」(韓流 ゴリ押し 問題/ 2011年) などもネット上の運動として非常に大きく盛り上がっています。
電話対応の悪さに、スポンサーそのものが攻撃対象となることも
フジテレビによる偏った放送内容に関する 問題では、大規模なデモ活動も繰り返された (2011年8月21日/ 東京お台場) |
フジテレビによる韓流ゴリ押し放送に対する スポンサー問合せでは、「花王」 がターゲットに 花王製品は通販サイトなどで徹底した批判に 晒され、商品レビューが機能しない状態に (2011年8月) |
フジテレビのスポンサーをやめてください 花王デモ (2011年9月16日/ 東京花王本社前) |
花王デモの参加者は半数が女性だった その後フジテレビは長年保持していた視聴率 3冠王から陥落、花王はメインスポンサーを フジテレビから日テレに変更したものの、 主力商品の シェア が下落し、関係は不明ながら 2012年6月28日付で社長が交代している |
本来のスポンサー問合せは、スポンサーを通じてテレビ局や新聞社などのマスコミの姿勢を正すことにあります (立場によって正しさは違いますから、それが必ずしも正しいとは限りませんが)。
しかしスポンサーとなっている企業などが不用意な電話対応などを行い (毎日新聞を支持しています、フジテレビを支持しています、などと発言したり、ネットの運動は迷惑だ、勝手にやってくれなどと逆に問い合わせ者を批判する)、むしろ企業側がメインターゲットとなってしまう場合もあります。
その場合、不買運動やネット上でのネガティブキャンペーンが大々的に行われ、経営上、深刻な ダメージ を受けてしまう場合もあります (逆に対応が良いと絶賛され、イメージが良くなるケースもあります)。
こうした運動は行き過ぎるとマスコミのバッシングなどとやっていることは同じになってしまいますし、きちんとした裏付けがないまま暴走することになっては、無関係な企業などを巻き込む危険性もあります。
企業がどのメディアを応援するのも自由なら、それを消費者がどう判断するのも自由ですから、参加するかどうかはもちろん個々人の自由ですが、そこには責任もついて回るのは、強く意識した方が良いでしょう。
一方で、既得権に守られたマスコミを正すのは国民の義務だと 筆者 は思いますから、ネットリテラシー を磨いて、誠実な行動を心がけたいものです。 それが独りよがりで独善的な正義なら、いくら 煽って も誰からも相手にされず、盛り上がることもなければ、自分が思うようにマスコミが動くこともないでしょう。
面白がって参加する人も少なくないとは思いますが、しかし多くの人が疑問や怒りを共有できるからこその運動となっている点は、真摯に捉えるべきだと思います。 マスコミが第三、あるいは第四の権力と呼ばれて久しいですが、賢い視聴者として対峙したいものです。
政治家は選べても、放送局は選べない、国民の取るべき道は?
国民は自分たちが正しい判断を行えるよう、憲法にもある 「知る権利」 を求めています。 テレビ局はそれを、社会の公器として、表現の自由を持って果たさなければなりません。 その責任を果たしたくないのなら、国民共有の財産である電波周波数を国 (国民) に返上するべきでしょう。
また 「報道の自由」 などという権利はなく、「報道しない自由」 などもありません (放送時間には限りがあるので、報道人としての良心と情報のプロとしての目で、取捨選択を任されているだけに過ぎません)。 自分勝手な主張の垂れ流しや、自分たちの金儲けのためだけの放送をしたいのなら、自費出版やネットを使った放送、公正な競争のある周波数割り当て制度の元でそれを行えば良いのです。 マスコミ以外のほとんど全ての業種で、同じ民間企業がそれをきちんと行なっています。
視聴者側に立った迅速な対応で、 逆に企業イメージが良くなるケースも。 2013年7月22日、反原発を訴え立候補した 山本太郎候補者の不自然なインタビューを 放映した 「ミヤネ屋」 のスポンサー 再春館製薬所は、多数の問い合わせを受け、 「視聴者と同じ違和感を覚えた」 とした上で 局側へ公正な放送をするよう要請を行い、 「ミヤネ屋」の放送内容について、お声を 寄せていただいた皆様へ」 を発表した。 その姿勢は高く評価された (2013年7月26日) |
国民は選挙を通じて政治家は選べますが、どの放送局が国民共有財産である電波周波数を 「貸与」 するにふさわしいかを、制度上選ぶことはできません。 これは政治の問題でもあるので結局は国民の責任とも云えますが、国が報道に必要以上に介入するのも問題があるでしょう。
しかし情報の受け取り手として、消費者として、国民が声を上げることはできるでしょうし、それは必要なことでしょう。 選挙に行かず選挙権を無駄にする人に政治を批判する資格がないように、マスコミ報道がおかしいと感じたなら、きちんとした声を上げることこそが、大切なのではないでしょうか。
テレビ局やマスコミに巨額のスポンサー料を支払っている企業にも、消費者 (視聴者) の代表として、あるいは上場企業としての社会的責任 (CSR/ Corporate Social Responsibility) から、お金の使い方についてきちんと説明ができる姿勢を持つことが大切なのではないでしょうか。
またもしテレビ局にスポンサー料の名目でお金を払わないと、何かあった時に強く批判されるかも知れない…などと思っているのなら、論外の話です。