「マスコミ」 ではなく 「マスゴミ」 だ…高まる不信感
2011年8月のフジテレビ偏向放送反対デモ 初回は 「お散歩」、二度目以降は本格的なデモに |
「マスゴミ」 とは、「マスコミ」(新聞やテレビ、通信社などの報道機関や雑誌を含めたマスコミュニケーション企業、関係者全般/ Mass Communication) を信用ならないもの、ろくでもないものとし、侮蔑的に表す ネット の世界の罵倒語のひとつです。
多くの場合、論調が特定思想や特定政治勢力に偏向していると思われるマスコミに対して使われる言葉ですが、そうした単なる 「思想信条の違い」 だけではなく、「マスコミという存在」「そこで働く人たちの倫理観」「語られる情報、主張」「実際の行動」 を含め、その全てに 「生理的な嫌悪を感じる」 という、かなり強烈なメッセージを含んだ言葉となっています。
説明不要、とてもわかりやすいネットスラング 「マスゴミ」
「マスゴミ」 の言葉の構造としては、末尾の 「コミ」 を 「ゴミ」=「廃棄物、汚物」 にしただけの駄洒落の一種、初歩的な 「地口」(言葉のもじり) の単純なものですし、使われだしたのはかなり昔です。
1966年11月26日公開の日本のアクション映画 「野良犬」(大映/ 井上芳夫/ 犬シリーズの第7作目) の劇中、主人公 の鴨居大介 (田宮二郎) が、ハイエナのように嗅ぎまわる報道に対し、「お前らマスコミやない、マスゴミや!」 と叫ぶシーンがありますが、これも初出という訳ではなく、「マスコミ」 という言葉が使われ出した頃から、その振る舞いや姿勢に反発を覚える人がシャレとして使い始めた言葉なのでしょう。
その後、2000年代中ごろからは当の新聞記者やメディア関係者がコラムや公演の場で 「マスゴミ」 を口にするようにもなり、狭い意味の ネットスラング というより比較的広い範囲で使われる言葉となっているようです。
いちいち 「マスコミではなく、マスゴミだ」 などと説明をせずとも意味が通る簡単な言葉なので、使い勝手が良いのでしょうが、前半の 「マス」 も 「カス」 にした、「カスゴミ」 とか、「マズいゴミ」 の意で 「マズゴミ」「ゲス だ」 との意の 「ゲスゴミ」 などと、ほとんど原型を留めてないような呼び方もあります。
なお 「ブンヤ」 という言葉もあります。 こちらは 「新聞屋」 の 「新」 を抜かした 「聞屋」 のことで、「ブンブンと飛び回ってウルサイ連中だ」 との意味もあります。 一般的には何かに 「屋」 を接尾する呼び名は好ましくなく (証券会社を 「株屋」 と呼ぶなど)、また当の新聞記者らは 「新聞を売っているのではない、国民の知る権利を守っているのだ」 などとし、「ブンヤ」 を差別的・侮蔑的な意味だとしています。
しかし世の中に 「○○屋」 という名前の職業はたくさんあり、こうした主張は 「特別な使命を帯びた聖なる職業なのだ」 とのマスコミの思い上がりではないのかとの指摘もあります。
やぶ睨みの 「オタクバッシング」 に不信感が増大
ネット上で新聞やテレビなどの既存メディアを批判的に見る風潮、バッシングする空気は、パソコン通信 の時代からあり、また非常に根強いものでした。 ひとつには、「ネット」 を新しいメディア、速くて双方向性があり市民や一般人のメディアとし、旧世代、オールドメディア (レガシーメディア) である 「大マスコミ」 と対比する空気が元々強かったことがあります (筆者 を含め、そうしたメディアで働いている人がかなりいたにもかかわらず…です)。
読売ウイークリーサイト 2005年11月12日 「いったいどうなっているのか」 宮崎勤事件の際、彼の部屋の取材で、 記者が現場に手をいれ意図的にオタクの 部屋のような 「演出」 をしたと告白、 その後この記事はすぐに削除された |
また当時 「パソ通」 などに参加していた人たちのうち、かなりの割合を占めていたと思われる おたく な人たちが、1988年に発生し1989年に容疑者が逮捕された 「M君事件」(東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件) を発端とする異常で執拗、膨大な 「おたくバッシング報道」 を冷ややかに見ていたこと、事件当時パソ通をしていなかったとしても、その影響を日常生活でモロに受けた世代だというのがあります。
こうした 「おたくバッシング」 は、何か犯罪が起こるたびに繰り返されますが、コミケ に参加している人はこの犯人と同じような連中だとするような乱暴な報道、本来犯罪行為とは無関係な マンガ や アニメ、後には ゲーム などへのバッシング (子供向けポルノ追放運動 など) は、多くのネット利用者が批判的に見ていました。
これらマスコミに対する悪感情は、「おたく」 に限らず、あるいはネットが登場する以前からももちろんありましたが、一般市民がそれを広く知らせる手段は皆無に近かったので、ネットの登場で 「同じ考えの人がこんなにいるんだ」「マスコミがおかしいと感じていたのは自分だけじゃないんだ」 と、その感情に裏づけや正当性を与えた点は、後のネットとマスコミとの係わり合いに対して、極めて影響力が大きかったと云えるでしょう。
アジア関連ニュースでマスコミの嘘やミスリードが次々露呈
2ちゃんねる」 のトップページ |
インターネット の時代となり、批判のために 「マスゴミ」 という言葉を積極的に使うようになったのは、いわゆる 「右っぽい人たち」 が多かったようです。
これはマスコミ全体を 「左っぽい」 と感じる人が多かったせいもありますが、海外からの情報がダイレクトに入ってくるウェブの時代となり、北朝鮮や韓国、中国 (特定アジア 3ヶ国/ 特ア) などの現地での反日情報が次々に紹介されるようになり、状況が一変。
友好善隣を唱える日本のマスコミの論調や報道内容と、現実の特定アジア3ヶ国の状況のあまりの乖離、これまでマスコミが声高に叫んでいた 「日本が全て悪い」 式の報道に、疑惑の感情が生まれたり、いい加減に嫌気がさして来たこともあります。
掲示板 「2ちゃんねる」 の登場と、日韓共催サッカーワールドカップ
とりわけ1990年代末となりインターネットが本格普及し、掲示板 の 2ちゃんねる が登場した後の、日韓によるワールドカップ大会の 共催 (2002年5月31日〜6月30日) と小泉純一郎首相による 「拉致問題」 を明らかにした北朝鮮訪問 (2002年9月17日) は、これまでのマスコミ報道の内容と、海外の状況との余りの乖離を改めてネット利用者に突きつけ、「右っぽい人たち」 だけでなく、多くの一般市民らの不信感を決定的にした大きな出来事でした。
2ちゃんねる」 の 「ハングル板」 略称 「ハン板」 は、「七厨板」 の ひとつとも揶揄されるが、マスコミ 批判の急先鋒の存在 |
実際はそれ以前から東アジアを巡るマスコミの報道内容への不満はあり、1998年8月31日のテポドン1号発射事件や1999年3月23日の不審船騒ぎ、2001年12月22日の工作船騒ぎなどでくすぶっていました。
しかし2000年代頭の頃は多くの人が隣国にそもそも興味のない状態で、俗に 「嫌韓厨」 などと呼ばれるように、韓国や北朝鮮への過剰な批判を 「ウザイ」 と煙たがる 雰囲気 がネット上では非常に強い状態でした。 彼らの意見に反対だった訳ではなく、「興味のない話を無関係の場所でしつこくやるな」 だった訳です。
それがごく普通の一般人たちにマスコミへの不信感を植え付け、一気に火がついて劇的に変わるきっかけとなったのがこの2つの大事件、「日韓W杯」 と 「小泉訪朝」 だったのでした。 連日テレビや新聞で洪水のように流れる報道と、ネット上の情報とのあまりの違い。 「W杯」 では日本やアジアだけでなく、欧米はじめ世界中で関連報道が溢れかえりましたが、何故か日本と韓国の報道だけが同じような方向で、欧米メディアと日本のネットの情報はそれと違う方向で一致している状況でした。
当時は 「2ちゃん」 の学問・文系 カテゴリ の掲示板、「ハングル板」 が批判の急先鋒で (「嫌韓厨」 を 隔離 するための隔離版でもあった)、北朝鮮や韓国への反発よりも、むしろ日本のマスコミへの批判の方がずっと大きかったものです (この傾向はその後も変わっていません)。 この流れは、さらに後の 「韓流ブーム」(ドラマ 「冬のソナタ」 日本放映から/ 2003年4月〜) により、ますます加速することになります。
偏向報道に対し、ネット民が 「湘南ゴミ拾いオフ」 で意思表示
2002年 湘南ゴミ拾いOFFサイト |
湘南海岸からはゴミが一掃された |
ところで 「日韓W杯」 の際のマスコミ報道やキャンペーンでは、その姿勢に違和感を覚える 「2ちゃんねる」 などの ネット住民 が 「マスコミに意思表示をしよう」 との意図を持ち (単なるからかい目的の遊びでもあった)、湘南海岸のゴミ拾いをする大規模な OFF会 (2002年7月5日〜7日) を実施しています。
これはフジテレビで7日に湘南のゴミ拾いの生中継番組が予定されていたので、ワールドカップ報道で不自然な報道を繰り返していたフジテレビに対し、「拾うゴミがひとつもない状態にして困らせてやろう」 という内容のものでした。
趣旨に賛同した 「2ちゃんねる」 利用者 (ねらー) が次々に集まり、結果的にのべ数百人が海岸に訪れゴミというゴミを拾い尽くす状態となり、大きな盛り上がりを見せた最初の記念碑的な 「反マスコミ祭り」 ともなりました。
パソ通時代にはこれほどのマスコミバッシングはなかったものですが…
ネット利用者を中心にビラ配りを推進 するビラのHPは、日韓W杯などで 盛り上がった2002年の12月30日開設 |
「パソ通」 時代、あるいは初期のインターネットの時代には、政治的対立や思想的対立は人によってはもちろんあったものの、報道傾向それ自体に対しては、どちらかと云えばまだまだマスコミ側に近い意見が多くの場合に幅を利かせていたものです (そうでない立場の人もたくさんいましたが、現在と比べると)。
「パソコン通信」 時代やインターネット黎明期に起こった大きな出来事、例えば 「歴史教科書検定問題」(発端は1982年6月26日ですが、その後何年間にもわたって大問題になった) や 「沖縄米兵少女暴行事件」(1995年9月4日発生、大規模な県民決起集会が開催された) などは、それぞれが異なる内容なので一概には云えないものの、現在のネット上の雰囲気からすると想像できないほど 「左寄り」 な空気が政治的なフォーラムやシグ (電子会議室)、ニュースグループ で流れていました。
しかし1989年6月4日の 「天安門事件」、1989年11月9日の 「ベルリンの壁崩壊」 と、それに伴う東欧諸国の民主化、1991年12月25日の 「ソ連崩壊」 で、リベラル・進歩的な考え方は徐々に衰退。
間にあった 1989年1月7日の昭和天皇崩御も、逆の意味で天皇の圧倒的存在感を示したことから、リベラルな人たちに与えた挫折感は相当なものがあったようです (ソ連崩壊より、天皇崩御とそれに前後した自粛ムードにショックを覚えたと正直に心情を吐露する革新系の人が結構多いのですが、逆にこれが、日本の革新系の持つ独特の性格を図らずも表していますね)。
頻繁にネット上で批判されたテレビニュース | ||
テレビ朝日/ ANN系列/ ニュースステーション | 1985年10月7日 〜2004年3月26日 | 久米宏 |
TBS/ JNN系列/ 筑紫哲也 NEWS23 | 1989年10月2日 〜2008年3月28日 | 筑紫哲也 |
テレビ朝日/ ANN系列/ 報道ステーション | 2004年4月5日〜 | 古舘伊知郎 |
マスコミの立ち居地も不変ではないので、あくまでネット上の空気も相対的なものですが、1993年6月の宮沢内閣不信任による自民党の下野、後に社会党との連立内閣によって生じた政治的な混乱や外交の失敗などもあり、全体では1990年代を通して徐々に保守的な考えが強まっていたような気がします。
別に 1999年5月に 「2ちゃんねる」 ができたことにより、突然ネット世論が右傾化し、それが発火点になってマスコミ批判が吹き上がったという訳ではありません。
これはつまり 「マスコミの振る舞い」 への批判的な見方と、マスコミの多くが主張から滲ませる 「おかしなイデオロギー」 に対する拒否反応、この2つが一致して火を噴いたのが、ちょうどこの頃だったのでしょう。 すなわち 「やり方も気に食わないし、内容もダメだ」 という訳です。
ネットはマスコミを敵視、マスコミもネットを敵視
この頃になると、「YouTube」 などの 動画共有サイト はまだ存在しなかったものの、過去のおかしな報道内容や、マスコミの不祥事や事件 (朝日新聞の珊瑚事件、TBSの坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件の誤報事件などの、「不祥事」) が次々とフラッシュや動画の形でネット上に紹介されるようになり、また過去の新聞報道のおかしい点などをまとめたサイト (まとめサイト や、その ミラー) なども掲示板 「2ちゃんねる」 利用者などが中心になって次々と立ち上げられるようになっていました。
さらにその後、保守的な人たちから 「不祥事」 ではなく 「理解不能なイデオロギーや外圧からと思われるおかしな論調」 についても次々に情報があがり、不信感が増大 (TBSの過激派への便宜供与、一部政党に異常に偏ったスタンスでの、対立政党への無茶苦茶なバッシング、イメージ操作、捏造など)。
結果、「マスコミは信用できない」 あるいは保守系からの 「日本のマスコミは左翼に乗っ取られている」 的な情報と意識が、広く 共有 されるようになりました。 これに呼応するかのように、マスコミ側の 「ネット攻撃」 も激化。 やたら 「ネットの闇」「匿名の無責任なデタラメ」 との報道が相次ぎ、過去から続く 「オタクバッシング」 も手伝い、ほとんど 「ネットとマスコミは敵同士」 のような関係になってきました。
言ってることとやってることが違う…という素朴な不快感
マスコミに対する 「生理的な嫌悪感」 の正体は、恐らくマスコミに対する 「言ってることとやってることが違いませんか?」 という素朴な疑問、健全な懐疑心があれば誰でもが感じる言行の不一致でしょう。
不祥事を起こした企業や日本政府、犯罪者などへは正義の味方として嵩にかかって執拗にバッシングするくせに、自らの不祥事にはだんまり。 「匿名は卑怯だ」 と云うくせに、テレビでは匿名・モザイクで音声変調をした 「自称 関係者」「自称 元従業員」「自称 事情通」 が行うインタビュー、証言。
これはイデオロギーや思想の問題のような、立ち位置で見方が変わるようなものではなく、シンプルに考えて 「どう考えてもおかしい」「自分も同じことをやってるのに、なぜ他人がそれをすると批判できるのか」 という子供でも分かる不公平感をダイレクトに刺激するものでした。
他人の不祥事は徹底批判するが、自分のそれは謝罪も反省もしない人たち
紙面と連動した毎日新聞の企画 「ネット君臨」 ネットやその利用者を一方的に批判し、 不気味で無責任な匿名の暴力と表現した 第一回は 「難病児募金あざける「祭り」 |
例えば規制緩和しろ、護送船団方式はやめろ、談合はやめろ、天下りはするな、説明責任を果たせ、格差をなくせとは、マスコミの口から散々聞かれるセリフです。
しかし自らは、国民共有の財産である電波周波数割り当ての低料金での独占的利用や再販制度の温存に走り、独禁法の特殊指定や近年まで行われた特別減税などで既得権にどっぷり漬かって、談合そのものの記者クラブ制度や監督官庁である総務省などから役員を多数天下りさせた業界団体支配で自浄能力もなく業界への 新規 参入も阻止。
食品会社の製造日時のわずかな記載ミスは会社が潰れるまでバッシングするくせに、自らの誤報や捏造、やらせは 「誤解を招いたとしたらお詫びします」 と、批判した方が悪いと言わんばかりの開き直りの記者会見で幕引き。 ネットでそれが指摘されると、「匿名の暴力は許さない」「法的措置も辞さない」 と逆ギレまでしてみせる。
問題を起こしても、天下りの恩恵からか処分らしい処分が行政から下ることもなく、詐欺とも云える新聞の押し紙 (配達されない新聞、発行部数の水増し=広告費の水増しのためのもの) も横行。 大企業の非正規雇用者の低賃金を批判する一方、マスコミの社員は日本でも最上位 レベル の給与待遇を受けつつ、現場 の仕事は外注丸投げで末端のアルバイトとの格差も他の業種をはるかにしのぐ最悪のレベルに達しています。
「報道の自由」 はマスコミの大好きな憲法に載ってません
さらに視聴率だけを見た中身のない洪水のようなセンセーショナルな報道、自社制作番組の宣伝だらけの低俗なバラエティ、いつみても同じようなお笑い芸人やタレントばかりが並ぶ、新鮮味のないドラマや歌番組、情報番組。 そんなどうでもいい 「自分たちの金儲け」 のためのものを 「報道の自由」「知る権利のための行使」 と称して垂れ流し、本当の意味の 「国民の知る権利」 はないがしろでは、不信感は増すばかりでしょう。
そもそも 「報道の自由」 などという権利は存在せず、あるのは 「国民の知る権利」 と 「表現の自由」 だけです。 「国民の知る権利」 を守るために必要なので、表現の自由の範囲で報道機関であるマスコミに 「報道に対する自由な裁量」 が二義的に認められているだけです。 盗撮盗聴モドキの 「取材活動の自由」 など存在しませんし、ましてや 「報道しない権利」「自分たちの好き勝手に偏向した報道をする権利」 などはマスコミが勝手に主張しているだけで、誰からも与えられてはいないのです。
「毎日新聞英語版」 での 「変態報道事件」
「ネットvs既存メディア」 の争いが 「もはや修復不可能」 のような印象を強く与えた事件に、2008年4月頃から大騒ぎとなった 「毎日ディリーニューズ」(Mainichi Daily News/ MDN) の 「WaiWai」 コラムコーナー (家庭向けの年齢制限のないコラムコーナー) における、日本や日本人への民族的な偏見を煽るようなゴシップ雑誌からの無断転載、捏造だらけの 「毎日新聞英語版 変態 記事配信事件」(いわゆる 「変態新聞事件」) があります。
「マスゴミ」「カスゴミ」 というお行儀の悪い言葉が、一部の 「口の悪い人たち」 から一般の人、マスコミ関係者らにも一気に広まったのは、これが大きなきっかけでした。
あまりの低俗さに、2ちゃんねる住人ですらにわかには信じられないほどの内容
週刊誌から拾った芸能ニュースの紹介のかたわら、 極端に歪曲した芸能ゴシップや変態記事を英語で世界中に 垂れ流していた MDN「WaiWai」 の在りし日の姿 |
当初、同年3月頃から 「毎日新聞英語版での日本紹介の記事があまりに酷い」 という情報が一部のブログや 「2ちゃんねる」 への コピペ (コピー&テースト用の文章) に登場しました (苦情自体はその前から毎日新聞に不規則に届いていた)。
しかしそこで紹介された記事の、そのあまりの低劣、過激な内容に、多くのネット住民も 「これはいくらなんでも、さすがに ネタ だろう」「さすがの毎日新聞も、そこまでひどくはないだろう」 と判断、大きな話題になっていませんでした。
内容の一例としては、
日本の主婦の多くは週末にコインシャワーで売春している、日本の母親は受験のために息子の性処理を手伝う、日本の若い女性の55%は出会ったその日に男と寝る、日本で性犯罪発生率が低いのは女性が喜んでレイプされ犯罪にならないからだ、六本木のレストランでは客は料理に使う豚を獣姦する、日本で少女を買って捕まらず楽しむための11のポイントの解説 (ルーズソックス・制服姿 の女子高生の 画像 を、イメージとして顔や学校が分かる形で掲載していた)
…などでした。
想像を絶する痴劣な記事にネット騒然
多くの報道機関が 「腫れ物に触るよう」 な短くて 中途半端、ぼかした報道をする中、ネットでは まとめサイトの他、YouTubeなどでも情報共有が |
英文サイト出直します 経過を報告しおわびします」 6月に紙面の片隅に400文字ほどの小さな謝罪の 真似事をしたものの、一向に騒ぎが収まらず、 7月20日、英文サイトについて紙面とサイトで 検証記事の掲載と謝罪を行った しかし、その後も新事実が次々と表面化した |
その後5月27日に 「2ちゃんねる」 の 「マスコミ板」 に立てられた スレッド、「■毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる■」 で詳しい情報がまとめられ、抗議行動が始まったりネットニュースなどがこの事件を報道するように。
それを受け、当の毎日新聞も英語版サイトから記事の大量削除やコーナーの休止などを始めたことから、逆にネットでは 「あれは本当だったのかよ!」 と大騒ぎに。
実際はコピペされた文章よりはるかに酷いものが大量に配信 (判明しているものだけで140本以上) されていて、またウェブ以前、英字新聞の紙媒体時代の、少なくとも1989年10月から長期にわたっていた問題だったことなどが次々と発覚。
その前年2007年に毎日新聞がお正月の大型企画として 「ネット君臨」(「○○ちゃんを救う会」 のような難病児募金に対する、いわゆる 「死ぬ死ぬ詐欺だ」「巣食う会だ」 などの 「ネット上の批判的な祭り」 の紹介を中心に、インターネットや掲示板、その利用者などを 「匿名で誹謗中傷を繰り返す無法者だ」 と批判する内容に終始した記事) を掲載。
かねてから執拗にネットを攻撃していたこともあり、「お前たちの方がよほどネットで悪いことをしているじゃないか」 と激烈な非難を浴びることになりました。
とりわけこの事件が問題視されたのは、これら悪質で下劣な記事がタブロイド紙などではなく、「日本の一般紙が 運営 するニュースサイトで配信」 という形で記事に 「信憑性」 を持たせていたこと (いわゆる ソースロンダリング) でした。 その結果、日本人に差別的な感情を持つ外国人に記事が利用され、世界中の卑猥なサイトで無数に引用転載されて嘲笑を受け、「日本人女性は売春婦や淫乱ばかり」「男はその息子か客」 との民族的な差別感情を植えつけるプロパガンダに利用されていたことがあります。
日本人女性を性的に辱める記事がその大半だったこともあり、多くの女性ネット利用者 (とりわけ 鬼女 と呼ばれる主婦や母親が多かった) らの怒りを燃え上がらせる大きな動機になっていました。
抗議活動により、毎日新聞サイトから広告が消滅
この事件は過去最大のネット上での 「反マスコミ運動」 となり、連日有志により問題提起のビラが配られたり (うっかり)、毎日新聞の広告スポンサーへの 電凸 (苦情や問い合わせ電話) が掛けられたり、「毎日変態祭り」 とネーミングされた新聞社前での抗議デモまでが行われました。 毎日新聞サイトからはスポンサーが引き上げ広告が消滅した状態となり、その後コーナーの廃止、サイトの全面リニューアル、さらには新聞紙面で見開き1ページの検証記事やお詫びを掲載するまでの騒ぎとなりました (2008年7月20日)。この際、他のマスコミはこの件を、不自然なくらいろくに報道しませんでした (他の食品会社などへの追求に比べると、ほとんどなかったに等しいレベルだった)。 このことが、「マスゴミ」 全体の 「庇いあい」 を想起させ怒りを増長。 さらにこのコラムの責任者であった毎日新聞の担当常務が、あろうことかこの問題発覚の後に社長に昇進したことなども、「余りの非常識さに怒りより先に笑いがでてくる」「虫唾が走る」 と評されるほどの嫌悪感を巻き起こしました。
なお毎日新聞は市民からの 「なぜ責任者が昇進なのだ」 との問いに、「あらかじめ決まっていた人事なので変更はできない」「昇進して部下をたくさん持ち、責任のある立場につくという形での 「処分の仕方」 もあるのではないか」 と、驚くような返答を行っています。 なおそれまでの社長も、同時に会長に就任しています。
なおお詫びの際には 「ネット上での誹謗中傷には法的に断固とした処置を取る」 との 「脅し」 ともとれる文言が入っていたこともあり、「日本人女性を誹謗中傷していたお前がいうな」 と、火に油を注ぐ状態になりました。 その後の検証記事でも、毎日新聞に好意的な識者が問題を矮小化したり、騒ぎ立てるネットの方こそ問題だとも取れる コメント を紹介。 不十分な謝罪とあいまって、「謝るというより、挑戦状だ」 とのバッシングを受けることともなりました。
「ネットの闇」 は自作自演? ネトアサ事件
本社編集局員、差別表現をネットに投稿 |
翌年 2009年には、いわゆる ネトアサ 事件も発生。
これは、朝日新聞の社員が朝日新聞社内から掲示板 「2ちゃんねる」 へ、差別的な 書き込み や 荒らし 行為を継続的に行って 「2ちゃん運営」 側からアクセス規制されたというものでした。
後に朝日新聞は事実を認め、正式に謝罪 (ただし差別的発言に対してのみ)。 この事件では、「ネットの闇を自作自演していたのはマスコミじゃないか」 との批判の声が上がることになりました。
実際はこの他、他のマスコミの卑しい揚げ足取りの報道、捏造や歪曲、ミスリード報道が相次いでその都度検証されていて、「マスゴミを嫌う」 空気が強まっていましたが、とりわけこの 「毎日変態事件」 と 「ネット朝日」 事件は、理屈ではなく生理的にマスコミ論調を受け付けないネット住民を多数生んだといっても良いでしょう。
「尖閣デモ報道」 と 「尖閣衝突事件動画流出」 で国民の知る権利はどうなった?
東京の渋谷、六本木、日比谷などで、数千人 規模の尖閣抗議デモが度々行われた また類似のデモは全国各地で実施されていた |
China accused of invading disputed islands」 2010年10月2日に東京・渋谷で行われた尖閣 抗議デモを国際面トップ扱いで報じるCNN |
2010年11月4日にYouTubeに流出した、 尖閣衝突事件の海上保安庁動画 YouTube アカウント名 は、ビデオ非公開を 決めたともいわれる仙石由人官房長官を 揶揄する 「sengoku38」 だった |
さらに2010年9月7日に尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船と日本海上保安庁巡視船との衝突事件では、尖閣は日本の領土であるとの前提は踏まえながらも、一方的に日本側が被害者である事件だったにもかかわらず、中国側に配慮した報道が頻出。
さらに日本政府が身柄を拘束した中国漁船の乗組員や船長を、不明朗な手続きで次々と釈放したことについても、一部のメディアでは理解を示す報道を繰り返していました。
また中国の侵略的な不法行為や、これら日本政府の弱腰対応、マスコミの偏向した報道に対し、日本国内で大規模な反中尖閣デモが実施。 しかしそのデモを日本のマスコミは全くといってよいほど報道しませんでした。
東京の出来事を海外メディアでのみ知る不思議
10月に行われた2度のデモでは、10月2日最初のデモ (渋谷尖閣抗議デモ) は完全に無視し、後に 「日本のデモに影響を受けて中国で反日デモ (暴動) が起こっている」 といった文脈でわずかに触れられるのみでした。 一方海外メディアは、こぞって写真や動画つきで詳しく報道。
「日本のことを知るのに、CNN や BBC、ロイター、ウォールストリートジャーナルなど海外のメディアを見なくてはならないとは 不幸 だ」 と揶揄される事態となりました。 また 10月17日二度目のデモ (六本木尖閣抗議デモ) も、嬉々として連日大きく伝えた中国の反日デモと比べ、その取扱いは非常に 地味 なものでした。
さらにこの衝突事件の様子を収めた海上保安庁撮影の動画についても、日本政府は当初、公判維持のための証拠だとして非公開を決定したものの、その後は処分保留のまま船長を釈放し、公判の証拠としての役割を果たさない状態になり、秘匿実益があるのか疑わしい状態に。
ところがその後、国民の 「情報公開しろ」 との声を無視し、「開示には海保の取り締まり手法の流出やプライバシーの問題がある」「あまりの内容に国民が憤慨する」「知らせる必要はない」 などと苦し紛れの理由により、一部の国会議員約30人のみの 限定 公開 (7分間程度) に。 これではまるで、自分たちに都合の悪い情報を勝手に国家機密だと言い張り隠蔽、情報統制によりデタラメな発表を繰り返し国民を欺いていた戦中の大本営発表そのものでしょう。
民主主義国家の報道機関としては政府に抗議し、速やかな情報開示を強く求めるべき状況ですが、報道では 「無用な摩擦を避けるために非公開もやむを得ない」 などと政府のやり方に好意的・同調する論調を繰り返し、「国民の知る権利を守るため」 というお題目の存在意義すら自ら踏みにじっている状態となっています。
尖閣衝突事件動画流出と、不可解な sengoku38 出頭報道
11月10日 不可解な sengoku38 出頭関連報道 |
記事は数時間後に丸ごと削除 |
なぜ、どうやって… 神戸海保職員「告白」に 同僚ら衝撃」 2010年11月10日 朝日新聞は、海保5管関係者の コメント を引用 する形で、「個人的な愉快犯の可能性が高い のではないか。 非常に情けない話だ」 と報道 |
その後この動画は11月4日夜9時頃になって、動画共有サイト「YouTube」(ユーチューブ) に流出のような形でアップされ、以降は大々的な報道がなされました (衝突部分を含む、全体の前半部分の抜粋44分間程度を6分割でアップ、カットされた後半部分には、拿捕に伴う 「グロい」 シーンがあったとされる/ アカウント は翌11月5日朝7時頃に削除された)。
しかし流出という形でネットの後追いのごとく報道するのではなく、不明朗な政府の情報隠蔽 (国益を害す、自らの政権の維持だけを目的とした不正な機密情報指定と情報隠蔽の疑いが極めて濃厚であった) を正し、国民の知る権利を守り社会正義を実現する手助けをするのがマスコミ本来の仕事、役割でしょう。
これでは、報道機関としてのマスコミの存在意義を疑われてしまいます。 政府はその後、「流出した動画が本物かどうか、情報公開すべきだ」 との野党の追及に対し、「動画の機密性が薄れ、流出させた犯人の量刑が下がる恐れがある」 と頑なに情報の公開を拒んでいます。
また11月10日になり、動画を流出させたとする海上保安庁の職員が出頭したとの報道が流れました。 その際、その職員と接触し、「一般の国民が見るべきもの、見る権利のあるものだ」「自分は国民のために働いている」「一部の政治家によって機密でないようなものが機密として扱われているが、法治国家として法律に基づいているのか」「国民の倫理に反するなら甘んじて罰を受ける」 などと述べたと大阪よみうりテレビの記者が述べる 「渦中の海上保安官に直接取材した記者に聞く」 との報道が日テレ (NNN) 系ニュース番組 「NEWS24」 で流れ、ネット上にも動画つきの記事が配信されました。
どのような理由があれ、法律に従うべき公務員が 「暴走」 したのは事実ですし、国のトップが決めた方針に従わない人間が現場にいたのでは、国は成り立ちません。 情報を漏らした保安官は本人も覚悟しているように厳正な法の裁きが必要でしょう。 しかし一方で、法律をねじ曲げ違法行為をした中国人船長を釈放し、その釈放の不当性が白日のもとに晒される証拠となる 「動画」 を勝手に国家機密とした国のトップの責任も、それとは別に厳しく追及されてしかるべきです。
また、政治家のオフレコの話や、警察・検察のリーク情報を嬉々として特ダネとして報道するマスコミ、YouTube に流出するまでは表立った開示要求をせず、流出したら繰り返しテレビで放送したマスコミに、両者を批判したり、公正で中立な立場を維持する資格がないのは当然でしょう。
2009年1月10日放送 「情報整理バラエティー ウソバスター!」 のブログ捏造で総務省から 行政指導を受け謝罪するテレビ朝日サイト |
2010年5月18日にツイッターで配信された 日刊ゲンダイ5月19日の紙面の見出し 「東国原浮かれ知事に天罰 口蹄疫大被害と 疫病神知事 お笑い芸人失格人間を知事に 選んだ宮崎県民に責任があるのに国の税金で 救済は虫が良過ぎないか」 同紙や広告主への抗議の一方、JR駅構内の 新聞販売取り次ぎをしている鉄道共済会へも 「取り次ぎをやめろ」 と抗議が殺到した |
2011年3月11日の東日本大震災による 津浪と、安全対策軽視、後手後手の対応で 大惨事となった福島第一原子力発電所の 事故。 しかし既存マスコミは驚くほど一切の 追求をせず報道で 「安全だ」 を繰り返した ネットでは反原発のデモが呼びかけられ、 大勢が参加。 その様子は動画配信された (4月10日高円寺デモ) ただしデモのありようは反対意見も呼んだ |
既得権に胡坐をかいた独善的な存在に
インターネットが普及しニュースがネットで簡単に、しかも早く見れるようになると、新聞を取らない、テレビを見ない人がどんどん増えています (一方で問題のあった報道などは、ネット上の お祭り などで頻繁に目に入る)。
もはや 「社会の木鐸」(社会に警鐘を鳴らすという意味、木製の鈴から転じたもの) としての尊敬は消えうせ、単なる広告屋、自らの思想によっては政府とべったり同調する嘘つきの正義 ぶりっ子 という認識になりつつあるのでしょう。 元々 「瓦版」 の時代からこの傾向はあったのでしょうが、近年はそれがあまりに酷すぎます。
新聞もテレビも深刻な経営状態になりつつも、多くが不動産事業などに力を入れ、今では 「新聞も出す不動産屋」「電波も出す貸しビル業」 のような有様です。
そもそも不動産のような投機性の高い業務を、報道機関が収益の柱として行うのが良いことなんでしょうか。 TBSに関しては、赤坂サカスを自社で完全に所有していて、2006年3月に開業してから放送で盛んに宣伝を繰り返しています。
いずれいくつかの新聞やテレビ局は実質的に廃業や倒産となり、あるいはその影響力を極限にまで低下させるでしょうけれど、その日が来るまではネット上に 「マスゴミ」 の文字が消えることはないのでしょう。
マスコミの影響力も徐々に低下…?
余談ですが、筆者は2009年4月に引越しをしたのですが、その際、以前引越しをするとうるさいくらいにやってきた新聞の勧誘員が、ただの1人もやってこなくてびっくりした経験があります。 代わりに、ネットの光回線勧誘の チラシ が山ほどマンションの郵便受けに入っていました。
部数を水増しし広告代金を釣り上げる配達されない新聞、「押し紙」 の問題などもかねてから叫ばれている新聞界ですが、地域によって違うのかも知れませんけれど、もう末端では収拾がつかない状況になっているのではないでしょうか。
可能であるなら、立ち直って欲しいのですが。
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