同人用語の基礎知識

両論併記

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中立なのか、無責任なのか… 「両論併記」

 「両論併記」 とは、様々な説や賛成反対の立場がある話題で、それぞれの説や立場を尊重し、一方の主張のみに触れたり排除したりをせずに、並べて提示することです。 とくに結論が定まっていない話題やテーマ、例えば政治や思想、社会問題などでそれぞれの立場の意見が鋭く対立し、一方の優遇や排除がその後の選挙結果や政策の決定に強く影響する可能性がある場合は、平等な言論の立場から、両論併記が原則、あるいは望ましいと考えられる場合が多いようです。

 とはいえ、議論の決着がすでについているテーマや話題で、客観的に見て明らかに誤りだったり根拠のない荒唐無稽な意見や主張をことさらにもう一方の説として取り上げる必要があるのかという考え方もあります。 並べてしまうことで、あたかも他の話と並立するだけの価値があるかのような誤解を触れる者に与える可能性が生じますし、そこに合理的な正当性が果たしてあるのかとの否定的な意見もあります。

 また誰にせよ意見や主張を述べる場合には、自分の立場や考え方を鮮明にすべきであり、両論併記しつつ自分の意見や立場を明示しないのは情報発信者・表現者として無責任ではないかとの意見もあります。 両論併記した場合、一般に多くの人に知られておらず支持もされていない少数意見は、反対に多くの人に知られて支持されている多数意見と同等に扱われることで、少数意見の方にこそより多くのメリットが生じます。 それが分かった上で立場を示さず両論併記だとして判断を示さないのは、責任放棄をしながら少数意見に有利な形で実質的な支持をしているのと同じだと思われても仕方がないでしょう。

陰謀論や歴史修正主義における 「両論併記」

 例えば選挙の場合、日本のメディアはそれぞれの政党や候補者を質量ともに同じ扱いとし、公平中立な報道をするよう法律で定められています。 これはこれで理念としては正しく、そうあるべきなのが本来の姿でしょう。

 しかし当選を争う有力候補者 (選挙後の施政に直結し有権者の知る権利が強く求められる) と、売名や遊び半分で立候補する当選の見込みが全くない泡沫候補者 (有権者が知らなくても当落やその後の施政に影響がほとんどない可能性が高い) とを、時間や紙幅の限られる民間メディア報道で政見放送や官報と同様に平等に扱って、はたして社会正義に叶うのかというジレンマがあります。

 また何の根拠もない荒唐無稽なデタラメ、陰謀論や歴史修正論の類を、「こういう意見もあります」 と併記することで、あたかもそちらの立場にも何らかの根拠や正当性がそれなりにあるかのように思わせてしまう効果も見逃せません。 メディアリテラシー の部分もありますが、例えば科学的な宇宙開発の話をしているのに、「実はアポロ計画では人類は月に行ってなかった説もある」「月の裏側に宇宙人の基地があると説く人もいる」「地球は平面で月に見えるものは天井の穴」 などとありえない話やデマをその都度両論で述べられても困ってしまうでしょう。

 どこまでが他の意見との併記が必要で無視すべきでない話なのか、あるいはどこからが積極的に無視すべき取るに足りない誤った意見・単なる雑音なのか。 この辺りは科学的な話や歴史、時事に関するテーマならば、明確な根拠があるか、他の話や説と整合性が取れているのかどうかである程度は判断できるかもしれません。 しかし政治や思想の話などでは境界線はいよいよあやふやとなり、両論併記の原則を守らない場合、結果的に場を仕切る多数派が少数派の意見を切り捨てるだけに終わる可能性も高まります。

 安易な両論併記にも、一方的な意見の切り捨てにも、良い面と悪い面があります。 結局はその意見を誰が唱えているのか、その人物は信頼できるのかといった、話の内容以外の部分にまで及ぶ情報を総動員して、その都度吟味するしかないのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年12月10日)
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