商品や作品の内容ではなく、イメージ操作でバッシング 「ステマネガキャン」
「ステマネガキャン」 とは、人気があり賞賛されている特定の商品や作品などを批判する時に、その商品や作品の内容を批判するのではなく、「卑劣な ステマ (ステルスマーケティング) で人気を捏造しているだけだ」「人気なのはステマで盛り上げたおかげだ」 などとの真偽不明のイメージで、バッシング・叩き を行うことです。
「ステマ」(Stealth Marketing) とは、本来のマーケティング用語としての意味を離れ、自らの正体や素性を隠して善意の第三者のフリをして口コミサイトや コメント 書き込み などを捏造し、こっそりと宣伝広告をすることを意味するようになった言葉です。 現在は 「サクラ」 や 「ヤラセ」 の意味でも広く使われるようになり、2011年以降は ネットスラング の一種と呼んでも差し支えないでしょう。 また ネガキャン (ネガティブキャンペーン) は、ネガティブ (マイナス) な情報を広め、特定対象を貶める宣伝方法のことです。
なお他人にこの言葉を投げつける場合は、「ステマだと云ってるお前の方こそネガキャンのステマだ」 との批判的な使い方がもっぱらとなっています。
2011年からの 「ステマ」 の爆発的な盛り上がりの中で
ステマ自体は昔から存在する言葉ですが、2000年代中頃から様々な ネット の 祭り を通じて徐々に浸透。 中でも2011年7月前後頃からネット 界隈 で 工作員 や ピックル (掲示板 などに誘導的・宣伝的な書き込みを組織的に行う人たち) の言い換えとして頻繁に使われるようになり、その後 2011年の年末から年始にかけては、ある種の 「ステマブーム」 と呼べるほどの言葉の 拡散 が進みました (詳細はステマ項目でお読みください)。
一方、ネットの掲示板などで、特定の商品や作品 (マンガ や アニメ、ゲーム、ライトノベル など) を少しでも褒めたり話題とする レス (書き込み) をすると、すぐに工作員 (ステマ実行者のサクラ) の仕業とし、過剰なステマのレッテル貼りが横行。 これに不快感を覚える人たちの間で、ステマを連呼する人を 厨房 扱いして ステマ連呼厨と呼んだり、その書き込みをステマネガキャンと呼ぶようにもなりました。
実際にネットではステマは行われていますし、発覚していないものでも、ステマによって人気を捏造したり、業者による 2ちゃんねる などの掲示板や口コミサイトへの書き込みを通じて ブログ やその他メディアとの連携、露出 機会の拡大を行なっている疑いがかなり強いケースも増えてはいます (そうだと信じている人も多い)。
しかしそれとは別に、「自分の気に食わない商品や作品」 を、その中身ではなくイメージで叩くことができるステマレッテル貼りは、特定商品や作品の アンチ にとっても 「便利」 なため、半分は熱心な ファン に対する単なる 煽り や罵倒だとしても、残りの半分は純粋なネガキャンとしても使われるようになっているといって良いでしょう。 これは業者や業者と結託した一部ネットメディアによるステマが、モラルに反した激しいネガキャンをしばしば伴うことへの趣旨返しでもあります。
「終わったコンテンツ」 から、「不公正な宣伝をしているコンテンツ」 へ
これ以前までこうした用途で使われていた言葉に、終わコン (オワコン) という言葉がありますが (これも対象の中身を批判するのではなく、単に 需要 が失われた コンテンツ だとのレッテル貼りの罵倒表現です)、ステマのレッテル貼りは、時期的にこれとバトンタッチするような使われ方をしています。
特定の商品や作品が消費者・視聴者として好きか嫌いかなどは理屈ではなく感情の問題になりますから、ファン (信者) とアンチがいくら議論を積み重ねても建設的な結論がでるはずもなく、最終的には反目し合っているファン同士が互いの 人格攻撃 に走りがちですが、ステマネガキャンは、「作品の プロモーション が卑劣だ」「そのファンは、ステマも見抜けず業者に踊らされている 情弱 (情報弱者) だ」 との意味を持ちますから、その点でも使い勝手と都合の良い言葉でもあるのでしょう。