クチコミサイトに悪口を投稿、消して欲しければ… 「逆ステマ」
「逆ステマ」 とは、ネット のクチコミサイトや 掲示板 などに特定企業や個人の誹謗中傷・バッシング・叩き の 書き込み 投稿 を中心に ネガキャン を仕掛け、その後、困っている企業や個人に、「こうした投稿を削除したり、新しい書き込みを押さえることが可能だ」 などと営業で持ちかけ、金品を要求する商法のことです。
いわゆる マッチポンプ や 自作自演 による 「恐喝」 と云えますが、ネガキャン書き込みをしたのが誰なのかは法的処置を執るなどしない限り一般的にはなかなか分からないので、正体を隠し、善意の第三者、あるいは風評被害を防ぐ正規のマーケティング (レピュテーション・リスク・マネジメント (RRM) の 運営企業 のふりをして、話を持ちかけるケースは増えているようです。
また事実無根で過剰な ネガティブ情報 があふれたり、不当にバッシングされていた企業や商品、作品などを、「逆ステマされていた」 などと呼ぶ場合もあります。 ネットスラング としての使い方はこちらの方が古く、逆ステマをこの意味でのみ使う場合もあります。
ネット上の情報、どこまで信用できるのか…
インターネット の書き込みなどによるレピュテーション・リスク (Reputation Risk/ 評判リスク、風評リスク) を監視・対策して回避するものとして 「火消し」 のような業務を行なっている会社 (ネット監視企業、いわゆる ネット工作員 とも呼ばれるような会社) は多数存在します。
初期の頃はネットに存在する不当にネガティブな書き込みを抽出し、データとしてまとめてクライアント企業に報告するなどが主な業務でしたが、その後はネガティブ書き込み者に対する削除要請や法律に基づく警告を発するようになり、さらにはネガティブ書き込みの物理的削除 (サーバ管理者への圧力、コンピュータウィルス のコードなどを書き込みして検索エンジンから落とす、当該コミュニティを 荒らす など) も請け負うことに。
その後は逆に、正当な批判や苦情書き込みにも過剰に対応したり、善意の第三者のふりをして依頼を受けた企業や商品などの絶賛 コメント やクチコミを捏造して書き込みするなどの業務にも発展。 こうしたものは工作員書き込みの他、ステルスマーケティング (ステマ) と呼びますが、これと逆のことをすることから、逆ステマという言葉も使われるようになっています。
なかでも大手クチコミサイト 「食べログ」 で、「悪評を消してあげます」「評価を上げてランキング上昇のお手伝いもします」 といった業務を行なっていた企業が多数発覚したことから、それまでは単なる比喩・揶揄としてのネットスラングや、ある種の都市伝説扱いされていた逆ステマも、ステマと共にその認知度が上がっている状況といって良いでしょう。
企業が逆ステマにはまる土壌は…
ネットの時代となり注目を集める逆ステマですが、これとほとんど同じようなことは、新聞社やテレビ・ラジオ・雑誌などの、いわゆるマスコミが行なっている 「口止め料的なコマーシャル・広告出稿」 で昔からあったと云って良いでしょう。
怪しげな健康食品、消費者金融 (サラ金) やパチンコなどのギャンブルはもちろん、名だたる大企業なども大金をかけて広告を配信していますが、マスコミ側がそれを求めているのか、広告出稿している企業側が下心を持っているのか、あるいはその両方なのかはともかく、「これ以上大騒ぎされたくなかったら金を出せ」 は、良くも悪くも情報を扱う 現場 では、切っても切れないものなのかも知れません。
メディアリテラシー とも関連しますが、全く同じことをしているのに、片方は叩かれ、片方は スルー されたり同情的な論調で語られる事件などはたくさんあります。 ポジショントーク もあるのでしょうが、いずれにせよ情報を鵜呑みにせず、情報発信者がどのような立場でどのような背景を持っているのか想像してみるのは、偽情報に踊らされないために大切なのかも知れません。
ネットの世界で嘘情報に踊らされ、自分がその情報の 拡散 に手を貸すなどは、逆ステマ業者の手足となって、彼らに金儲けさせているのと同じです。 何らかの企業や個人、あるいは商品や作品の事実に反するネガティブ情報が流れてきた時に、それを注意深く見守るのも無責任にばらまくのも、ネット利用者の心懸け次第なのですから。