善意の第三者のフリをして、こっそり宣伝 「ステマ」
「ステルス・マーケティング」(Stealth Marketing) とは、英語の 「Stealth」(隠れる、こっそりする、隠密)、すなわち自らの正体を隠し、宣伝広告ではないフリをしてこっそりと宣伝広告をすることです。 レーダーに映りにくい軍用機などを ミリタリー の世界でステルス戦闘機と呼びますが、あれと同じステルスとなります。 略してステルスマーケ、あるいは ステマ (2011年7月前後から爆発的に増加/ 後述します) とも呼びます。
用語としては広告広報戦略の一つ、マーケティング用語のひとつとなります。 具体的な方法は、ある企業のサービスや商品、タレントなどの宣伝・広報を、テレビやラジオ・新聞・雑誌などの通常の広告で行わず、「サクラ」 と呼ばれる一般人に成りすました宣伝実行者が 「善意の情報提供者」 を装い 「口コミ」 のような形で行います。
元々はアメリカを中心に、広告代理店を利用して一部の企業が行っていた広告手法です。 例えば人通りの多い駅や喫茶店などで、PRを頼まれた企業の商品 (パソコンや携帯電話など) をこれ見よがしに使って絶賛したり、通りすがりの人にそれをアピールしたり、企業名を伏せた小〜中規模の無料のパーティーなどを開催し、集まった他の参加者に一般参加者のフリをして広報活動などを行います。
日本では昔から 「サクラ」 などと呼ばれる宣伝方法です
話だけを聞くと 「そんな面倒で人手もコストもかかる広告を、実際にやってる会社があるのか」 という感じですが、日本でも大きな駅前ではティッシュや チラシ を配る人や看板持ちなども大勢いますし、健康食品や羽毛布団、呉服などを販売する目的の口コミパーティーなども昔から盛んに行われていますから、彼らのように立場を明確にせず、チラシなどの宣伝材料 (宣材) を使わないスタイルの宣伝も、実は結構歴史があります。
手法として似たものでは、映画の封切日や新しいお店がオープンした時などに、人員を大量に動員して行列を作らせ、人気があるように見せかけるサクラの行列などがおなじみです。 多くの場合は大学のアルバイト関連や、短期専門の人材派遣業者などが日当で人を集め、手配して行います。 1人半日から1日程度拘束で業者に支払うのは 5,000円〜15,000円程度 (サクラ本人に手渡されるのは 2,000円〜4,500円、長時間や徹夜だと 8,000円以上程度)。 200人集めると200万円程度以上にもなりますが、東京キー局のテレビのスポットCMですと、時間帯によっては数回放映したらお釣が来る程度の金額となります。
商圏が狭く近隣に住んだり通っている人が対象の飲食店やサービス業のお店などでは、そのサクラ行列を通りすがりに見るのも近辺に歩いている人となりますから、ダイレクトな訴求力が期待できると考えられているようです。 さらにその行列の様子を 「一般ニュース報道扱い」 でテレビや新聞、雑誌などで取り上げられたら、スポットCMを何回か打つよりもずっと効果的でしょう (その際、実際に動員したのが200人程度でも、500人とか800人集まったなどと水増しして発表します)。 結果、それを専門で行うような業者もいたりします。
有名なところでは、1985年にアメリカから日本は西麻布に上陸した、ブレンドアイスクリームのホブソンズの行列マーケティングがあります。 バブル時代でもあり、大学生などのサクラに支払われる日当も高額でしたが、ブランド価値を押し上げるようなこの手法は大当たりとなり、一躍ホブソンズは有名店に。 当時は斬新な広告アイデアとして好意的な触れられ方をされていましたが、今の感覚では批判されてもおかしくない方法でしょう。
ネットの時代になって、ステマが無視できないものに
こうした言葉が広まり、またその広告手法がしばしば批判的に扱われるようになったのは、アメリカでは2003年頃から、日本では2005年頃からとなります。
概念 自体は昔からありますし、カモフラージュ広告を含むこうした広報手段全体を現す言葉、バイラル・マーケティング は、日本でも2001年には専門の書籍などが発売され、一部では話題となっていました。 しかし初期の頃は実験的なものが多く、あまり大規模でもなかったので、さほど問題にはなっていなかったのですね。 また隠れて行う広告ですから、発覚しにくいという状況もあります。
業者が一般人のフリをして行う商活動としての 「クチコミ」
一般でも 「迷惑な広告だ」 として問題視されるようになったのは、2002年から2003年にかけて大ブームとなり広まった ブログ などでのこうした広告手法の蔓延でしょう。 企業から対価を得てヤラセの口コミ情報を ネット に流す利用者らが激増し、一部は発覚してニュース沙汰になるなど、「ネットの情報全体の信頼性に関わるゆゆしき問題だ」 として批判されるようになったからでした。
また姿を隠すことからモラル・倫理に著しく反したマーケティングも行われやすく、中でもライバル企業や商品に対する激しい ネガキャン (ネガティブ・キャンペーン) をしばしば伴います。 このようなケースでは、発覚した場合のステマ実行者への批判やイメージの悪化は大きいものがあります。
日本では2005年、及び翌2006年にNHKのドキュメンタリー番組で、こうした手法で宣伝を行う主婦や女子大生などを、「バイラルマーケティング」 の一種として2度にわたって紹介。 「口コミじゃなくヤラセだ」「企業の 提灯記事 じゃないか」 と 2ちゃんねる などで強い批判を招いていました。
実際のやり方も、100人単位の女子大生などを募集・登録し、これら自称素人ブロガーを組織的に動員して会社ぐるみでヤラセブログを大量生産。 相互に リンク の 設定 を行いSEO (検索対策) を行う一方、「エントリー (記事) には必ず 画像 を入れること」「商品と一緒に自分の顔写真を出して親しみを持たせること」 などと会社が作成したマニュアルにそって登録女子大生に 「ウケるブログの作成方法」 の指導まで実施。 依頼した企業は数十万円から数百万円の広告費用を支払うシステムで、かなり大掛かりなものでした (その際、いくつかの企業の営業用資料などもその後流出)。
また主婦らの グループ が行っている広告では、カリスマ主婦ブロガーを作り上げ、単に自身のブログで商品 (映画の プロモーション や生活小物など) を取り上げ 「素晴らしい」 と宣伝するだけでは 「信憑性が損なわれて、かえって逆効果だ」 と、主婦仲間のブロガー同士で 「褒める役」「辛口で批判する役」 などを割り振って、互いにトラックバックを飛ばしあって連携して宣伝していると紹介されていました。
有名人やタレントなどを使ったステマ宣伝も活発化
2007年頃からは、有名タレントやファッション雑誌のカリスマ 読者 モデルの公式ブログなどでもかなりあからさまに行われるようになり、中には他のタレントの書いたエントリーと同じ商品を、ほとんど同じ紹介文で複数のタレントが同時期に一斉に紹介して話題となったケースもありました。
中でも有名で大規模なものは、Ameba 芸能人・有名人ブログ (アメブロ) でしょう。 ブログをつけている芸能人や有名人のブログ内での言及宣伝を、ブログ 運営会社 が 公式 なサービスとして直接運営しており、クライアント向けの資料や価格表なども配布されています (その後ステマ騒動が起こると、2012年1月24日に 「関係性の明示」 を必須とする決定を行った)。 他のブログサービスが隠れてこれを行なっている可能性はありますし、芸能人や有名人、その所属事務所とクライアントとをマッチングするサービスを行なっている企業も複数確認されていますから、表にでない事例を含め、市場規模はそれなりに大きなものがあるのでしょう。
2009年以降は Twitter (ツイッター) などでも同様の手法の宣伝活動が活発化。 多数の フォロワー を持つ有名人などが、キーワードのつぶやきによって対価を得る活動を行うようになっています (当事者による複数の暴露話がでています)。 ただしこれらは、元々が企業の広告塔となるのが重要な仕事の一部であるタレントや芸能人の行なっていることですから、素人・一般人のフリをしている悪質なケースとは別に考える必要があると思いますが。
著名人が身につけている アクセサリー や アイテム、映画や人気ドラマに登場する小物類などは、それがきっかけになって売れ出したり時にはブームを巻き起こすこともあり、最初期の、そして本来のマーケティング用語としてのこの言葉は、これを指すものでもありました (プロダクト・プレイスメントとも)。 こうしたファッションリーダーによるさりげないスマートな方法なら問題にもならず、背景を知った上であえてそれに乗る楽しみもあったのでしょうが、昨今のあからさまで ゴリ押し のような宣伝、幼稚で連呼型のそれは嫌悪感を喚起する 「やりすぎ」 なのかも知れません。
ステマ問題が騒動となるなか、「こんなものは昔からあった」「いまさら騒ぎでいる奴らは知らなかったのか」 との批判が増えていますが、この批判は的はずれでしょう。 あったことは知っていたが気になるほどではなかった、しかし昨今のゴリ押しやネガキャンなどで強い不快感を持ち 「ウンザリ」 していたところに、その決定的証拠のような情報や事例が複数出てきたから大騒ぎになったのです。
まっとうな広告ができない商品ゆえなのか
それにしてもどんな立派な商品を宣伝するように指示するのか知りませんが、何か問題が起こっても会社の名前は出ずに登録スタッフとしてブログを作った女子大生や主婦の顔写真や恐らくは本名だけがネットに出るわけで、自己責任とはいえ、まるでネットワークビジネス (MLM) やマルチ商法、ネズミ講のような、末端に責任を押し付ける人品骨柄が卑しい最悪の広告方法ですね。 自称素人のブロガーもあれですが、まっとうな広告を出さない広告代理店やクライアントのズルさも嫌な感じです。
一見して明らかに広告だと分かる アフィリエイト のリンクや企業サイトのリンク集、バナー や ブログパーツ、あるいはその作品なりが本当に好きで 信者 の 布教活動 のような無報酬の宣伝になってるならともかく、こういう意図的に正体を隠したような、無関係で中立の善意の第三者を装ったクチコミ風偽装宣伝が溢れたら、ネットがますますつまらなくなるような気がします。
わずかな報酬でヤラセブログをつける人が増えたら商品を調べても正確な情報がネットから得られなくなりますし、ほとんど一種の スパム みたいなものです。 最終的にはそれを実施しているブロガーの信頼性も喪失しそうな感じですが、代理店からすれば女子大生ブロガーや主婦など、使い捨てのアルバイトみたいなものなのでしょうね。
ここで具体的な例は挙げませんが、健康食品とかサプリメント、代替医療、金融関係とか、あるいは人の弱みに付け込む劣等感やコンプレックスを刺激する商品 (ダイエットやカツラ・増毛、脱毛、エステ、整形、ニキビ薬などなど) の商品名で検索すれば、腐るほどその手の 「提灯ブログ」 や 「提灯 ツイート」 を見ることができるでしょう (芸能人やタレントが関わっているものもたくさんあります)。 そしてそうした悪質な広告が減るどころか増える一方なのは、騙される人がそれだけ多いということでもあるのかも知れません。
アメリカでは Blog Honor (名誉のブログ) を宣言するケースも
雑誌広告などでは、この手の提灯記事には小さいながらも紙面の隅に <PR> といった表記がされています。 アメリカの有力ブロガーなどは、中立を装った宣伝活動は一切しませんと云う誓いを宣言しているところもありますし、「Blog Honor (名誉のブログ/ 宣伝活動はせず透明性のあるブログを心がけます)」 とのバッジをつける運動も広がってます。 Fake の blog、すなわち Flog といった言葉まで生まれ、批判に晒されているブログもあります。
こうした状況を受け、イギリスでは 「不公正取引から消費者を保護するための法律」(CPUTR)を制定、虚偽の口コミやPRだと知らせない宣伝活動などを法律で規制する方向に移っています。 またアメリカの連邦取引委員会 (FTC) は、2009年12月に 「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン」 を策定。 広告だとの明示がない口コミ広告において、広告主とブロガーなどの間に利益供与などの重大なつながり (Material connection) があった場合、「欺瞞的な行為又は慣行」 とされ違法との判断もされています。
日本の場合、ネット広告に対する規制も少なく、行政の対応も後手後手となっていますが、そのうち大規模な詐欺事件でも起こって、初めて規制やら行政指導やらとなるんでしょうか。 それともブログの 炎上 よろしく、ネット住人の ネットリテラシー の向上と コメント の攻撃で淘汰されて行くんでしょうか。
2005年のウォークマンのヤラセブログやクチコミサイトへの 投稿 などが組織的なものだったのかどうかはともかく、商品を作ってる会社の社員が個人的に自社製品の宣伝を 自作自演 で行うのは、ある程度はアリかも知れません。 何といっても生活がかかってるわけですし、2ちゃんねるなどで身分を明かして 書き込み ができるわけでもないのでしょうし、個人が自由意志で行う行為を全て排除するのは現実的に困難でしょう (確実になくすためにはネットの実名制みたいな仕組みが不可欠で、これはこれで問題がありすぎます)。 また映画やレストランの宣伝程度なら、たいして害もないかも知れません。
しかし雇われただけの人が、それ専用のサイトやブログなどを組織的にわざわざ作り、「癌が治った」「アトピーが治った」 式の高額で怪しい健康食品やカルト宗教などの バイブル商法 的な宣伝を始めて仮に問題が起こったらどうでしょうか。 「お金を貰って」 片棒を担いだ女子大生や主婦は、責任が取れるんでしょうか。 こういうものは明白に 「詐欺の共犯」 になりますが、よく考えて 「お小遣い稼ぎ」 をしてもらいたいと思ってしまいます。
またネットを利用して情報を得る側は、こうした姿を隠した宣伝が現実に存在することを正しく認識し、見ず知らずの人間のいうことを鵜呑みにしないこと、この情報はステマなのではないかと疑ってみるといった、健全な懐疑心を常に持って利用するよう心がけることが大切なのでしょう。
日本でも消費者庁により、ステルスマーケティングが 「違法」 との判断が
「インターネット消費者取引に 係る広告表示に関する景品 表示法上の問題点及び留意 事項」の公表について」 (消費者庁/ 2011年10月28日) |
2011年10月28日、内閣府が所管する消費者庁が 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について」 との通達において、口コミサイトにおけるサクラ記事などを景品表示法上の不当表示にあたると指摘。 前述した2009年アメリカでの法的規制などを念頭に、今後は場合によっては法的責任を問う可能性を示唆しています。
また口コミサイトなどに、そのサイトの運営業者以外の業者などが組織的に宣伝や嘘情報を書きこむことは、偽計業務妨害や不正競争防止法違反に問われるとの見解もあります。 さらに選挙公示期間中に政治家の絶賛コメントなどを掲示板などに書きこむのは、場合によっては選挙法違反になる可能性があります。 対立候補に対するネガキャンも同様です。
なお株式市場などに影響を及ぼすための度が過ぎた ポジショントーク、虚偽情報の書き込みや流布は、こうした事例とは別に金融商品取引法において 「風説の流布」 として禁止されています。
「ステマ」 と略され2011年から2012年にかけ大流行語に
このステルスマーケティング、言葉自体は前述のとおり2000年代中頃から使われていました (ネット 界隈 では ゲーム 関係の話題 (ゲームハード関連 (いわゆる ゲハード) や、それに関連したゲーム企業とゲームブログとの話題、およびグルメサイトの口コミ情報などで比較的使われていました)。 これが2011年前後に一気に猛烈な勢いで広まる事件がありました。
その大きな発端のひとつは 同2011年夏の、いわゆる 「フジテレビ韓流ゴリ押し騒動」 でした。 単に韓流ドラマの放送 枠 の拡大や音楽番組への韓流タレントの頻繁な起用だけならともかく、本来は韓流や韓国と無関係な情報バラエティーや一般ニュース報道でも不自然なほど韓流を盛り上げるフジテレビの放送姿勢に批判が集中。
なかでも俳優 高岡蒼甫さんの 7月23日 の Twitter でのつぶやきを発端に、大規模デモが何度も繰り返されるなど、ネットの祭り として盛り上がっていました。 またサクラを動員した空港での韓流スターの大げさな出迎え、ヤラセくさいインタビューのファンの声、YouTube などでの不自然な韓流PVの再生回数、韓流タレントの Twitter の不自然なフォロワー数なども 「人気があるかのように見せかけるための組織的な水増しだ」 と話題に。
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「ステマ」 のAAも登場 |
こうした流れから、フジテレビの不自然で サブリミナル的 な韓流押しの手口や、ネット工作全般を包括的に呼ぶキーワードとして 「ステマ」(Sutema) と略した言葉が頻繁に登場するようになりました。
これは、いわゆる 「サブリミナル効果」(潜在意識への刷り込み効果) が科学的に否定されている中、そうした文脈での反論を受けないための 「不公正な広告方法の新しいネーミング」 として、さらにネットでの工作までも網羅した宣伝として、ステマがとても使いやすいこともあったのでしょう。
また別の理由として、こうした広告がしばしばネガキャンと表裏一体であることから、フジの 「韓流上げ・日本下げ」 の文脈にも合致していたからというのもあります (とくにフィギュアスケートの浅田真央選手を貶めキムヨナ選手を持ち上げるような放送内容や、国際的なスポーツ大会での日の丸・君が代の不自然な放送カットなどが問題視された)。
その後この騒動は、フジテレビバッシング (フジデモ関連) 以外の話題にも飛び火。 ネットで 工作員 とされる人々が行う情報操作の意味で使ったり、過去のヤラセブログ事件に遡って使われたり、福島原発事故後の原発停止・再稼働にまつわる住民の声捏造で使われたり、同年末から2012年にはアニメ制作会社と2ちゃんねるまとめブログとの不透明な関係を疑う話題でも多用。 さらにそのさなかにヤラセブログ事件の当事者であった企業のディレクターが便乗ツイートしたため、2012年1月4日には2ちゃんねるの一部板やツイッターが 「ステマの三文字だらけ」 の状況にもなってしまいました。
騒ぎはそれだけに留まらず、Google の検索キーワードランキング (トレンド) でそれ以前から急上昇していた 「ステマ」 が検索数一位となったため、一般のニュースサイトなども関心を持ち次々にこの三文字を扱った記事を配信。 それまでのステマ騒動と相乗効果で大きく盛り上がっているところに、グルメサイト 「食べログ」 の口コミ捏造業務を行なっていることが特定された39業者への、食べログ側の法的措置も辞さないとの報道も翌日 (1月5日) に登場。 一般ニュース扱いとなって更に延焼することに。
その後口コミ情報サイトなどを運営しているネット関連のIT企業の株価が大きく下落したニュースが流れるなど (1月11日)、反復して炎上のための数多くの 燃料 がばらまかれています。 1月早々から 「2012年の流行語大賞はステマに決まった」 などと噂される事態にも。
ステマと、ステマネガキャンと、ステマ連呼厨と、(ステマ)…
ス ク リ ン ッ セ ク ド お 願 お ア ク い 願 す ッ し い ま リ ア ま し し ク ド す ま す い スン セ ア す 願 ド ア ま お セ ド ク ッリクスン セ し ン い リクス 願 お クッ |
「アドセンスクリックお願いします」 の渦巻き文字のAA |
なお前後して 「むしろステマとレッテルを貼っている方こそステマだ」 との反論も生じ、ステマネガキャン という言葉が使われるようになっています。
またステマを連呼する人を 厨房 扱いして ステマ連呼厨と呼ぶなど (連呼自体はネトウヨレッテル貼りに対する反論から生じたもの)、何がステマで何が真実なのか、訳のわからない状況にもなりつつあります。
こうした状況を受け、丸括弧をつけた (ステマ) という使い方も登場。 これは自分の好きなものや、今見ているテレビ番組、食べているもの、住んでいる場所などの固有名詞の後にわざとらしく (ステマ) をつけ、揶揄するような独特な使い方となっています。 例えば 「同人用語の基礎知識を見ています (ステマ)」 といった感じです。
さらに一部の掲示板では 誤変換当て字 された 「巣手間」「酢手間」「捨て魔」 といった文字列になったり、「カタカナの三文字」「例の三文字」 などと 伏字 的な呼び方になったり、ローマ字略語 の 「STM」 と呼ばれたり、検索避け でよく行われる スラッシュぶつ切り やピリオドぶつ切り (「ス/テ/マ」 や 「ス.テ.マ」) になる、あげくは 縦読み まで登場するなど、無数のバリエーションが同時多発的に発生しています。
その後は 「アドセンスをクリック!」「広告クリックお願いします!」 など、アフィリエイトブログを揶揄するコメントも多数発生し、収拾がつかない事態にも。 こうした一連の連呼は、まとめサイトの 管理人 に対する嫌がらせ (スレッド がまとめにくくなる) や当てこすりとなっていますが、逆に一部の掲示板 (ニュース速報板) はまともに機能しない状態にもなっており、これを称して 「一揆」「焦土作戦」 などとも呼ばれることになっています。
なおステルスといいながら、あまりにあからさまで 「ぜんぜん隠れていないステルスマーケティング」 を揶揄する 「あからさマ」「アカマ」(あからさまマーケティング) などの新名称も、一部では徐々に広がっています。 さらに特定企業のネガティブ情報を書きまくり、「それを消して欲しいなら費用が必要だ」 などと企業に持ちかけ金品を要求する 逆ステマ なども登場しています。
ステマと共に頻出、「効いてる効いてる」「よほど都合が悪いようだな」
この言葉に対する売り言葉に買い言葉としては、「効いてる効いてる」「よほど都合が悪いようだな」 があります。 これはステマを指摘され、その手の話題で批判的なスレッドなどが立つことに対し、「ステマ業者が事実を暴かれ困っている」 との表現の言葉です。 ただし実際は本当にそう思って書き込んでいる訳ではなく、それ以前からの見えない敵に攻撃を仕掛けているネット利用者の姿を真似て、ステマを連呼する人を揶揄・嘲笑する意味があります。
こちらの 元ネタ は、特定アジア と鋭く対立する保守系やいわゆるネトウヨとされる人たちがかねてからやっていた レス を真似たもので、使われだしたのはずっと前です。 直近で大きな影響を与えたのは、前述したフジテレビ韓流ゴリ押し放送に反対する人たちの書き込み・レス (フジデモ関係の話題やスレッドについての感想) で、これを批判的に見ている掲示板の住人が揶揄し、ことさらに取り上げた皮肉から来ています。
ちなみにツイッター関連では、「少女時代かわすぎ〜〜〜〜〜〜〜〜〜(>o<")」 や 「乳酸菌風呂に入ってきたヽ(^o^)丿」 あたりは流行語にもなりましたね。
「ネット流行語大賞 2012」 では堂々の1位にランクイン
なお 「ネット流行語大賞 2012」 では、ある意味当然ともいえる堂々の1位を獲得しています。 ちなみに2位は (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!、3位は ┌(┌^o^)┐ホモォ… でしたが、6位にはステマと密接な関係があるゴリ押しもランクインしていました。