あなたのためを思って誘っているんです…「布教活動」
「布教」 あるいは 「布教活動」 とは、同人用語 や おたく用語 としては、「自分の好きなものを友人知人に薦める」 ことを指します。 例えば おたく や 腐女子 が自分の好きな アニメ や マンガ、ゲーム、特撮、ラノベ、あるいはそれに登場する 推し の キャラ、タレントを 「これいいよ」「見て損はないよ」 などと言葉巧みに薦め、「こっちにおいで」 と勧誘する状態です。 場合によっては 布教用 のグッズや書籍などをプレゼントしたり貸したりする場合もあります。
また 同人活動 の場では、自分が好きな ジャンル や カップリング を絶賛お薦めして同じ 沼 に引きずり込んだり、洗脳して同じ 趣味 に叩き落とします。 こうした 「布教」(エンロールメント) などの宗教関連の言葉を使うのは、熱心な ファン を 信者 (儲)、その信者が よくわからないグッズ をたくさん買うことを お布施、他の作品や ジャンル に興味が移ることを 転ぶ・転向 などと呼ぶように、わりとポピュラーなパターンです。 布教ではなく折伏 (しゃくぶく) と呼ぶこともあります。
なお腐女子の場合、誤変換当て字 で 腐教 と書く場合もあります。
数人で取り囲んで説得、動画を延々と見続けさせる…これが洗脳か
一般人 を相手にした布教ではあまり無理はしないものですが、既におたくや腐女子にはなっており似たようなジャンルや カテゴリ が好きな友人知人の場合、「あと少し」 とばかりに無茶をしがちです。 とくにその友人知人が ハマって いる作品やジャンルに一区切りがついた時 (コンテンツ なら番組や連載が終わった、タレントなら 結婚 や 引退 をした)、あるいはそろそろ飽きてきたのが見て取れる場合は、猛プッシュのチャンスです。 いきおい強硬手段にも走りがちでしょう。
最初は相手の愚痴や悩みなどを聞き、自分が相手の幸せを願っていることをそれとなく伝えつつ、自分は幸せで、その理由は好きな作品やタレント、ジャンルがあることだと伝えます。 その後は学校や職場、コミケ の帰りに立ち寄ったファミレスや居酒屋で、同じジャンルの信者複数人で取り囲み逃げ場をなくした状態で延々と説得を続けたり、家に呼んで作品の 一気見 を強要したり、マンガなら面白くなる・続きが気になる部分までの既刊本をあげたり貸したり。 とりわけアニメなどで序盤はいまいちだけど途中から面白くなるような作品の場合は、「〇〇までは見て」(例えば第3話までとか) と相手の自主性を重んじてお願いするより、その段階まで進んだ友人に今さら逃げられないよう監視しながら一気見させるのは良くあることです。
とくに家は危険で、布教されている側からすると、のこのこと部屋に入ったらきらびやかな礼拝用の 祭壇 が設けられ断れない 雰囲気 の中、ビデオ や DVD、動画サイト などの映像を何時間も見続けさせられます。 そばにいる友人はもう何度も見ているはずなのに、瞳はどこまでも澄み切っていてキラッキラに輝いており、「てぇてぇ」(尊い) などと意味不明 な言葉をぶつぶつと発しながら手を合わせて拝んでいます。 終電もなくなり帰れない状態となると必然的に 徹夜 となり、そのうち意識も朦朧とし、画面に映るキャラやタレント (ご本尊) にはまばゆい後光が差して見え、何やら神秘的な体験をする場合も少なくありません。
わたしはこれで幸せになった、大切なあなたも幸せにしたい、でなければ地獄行く
布教しようとしている側からすると、「仲間に引き込みたい」 というよりは、「これは本当に素晴らしい作品なんだから、見て損はないです」「あなたのためを思って誘っているんです」 と心から信じている場合もあり、誘われる側はたまったもんじゃない場合もありますが (本当の宗教の勧誘同様、やりすぎると人間関係が壊れます)、それで実際にその作品やらカップリングやらにハマる (入信) なんてケースもあるので、なんとも云えない感じです。
なお布教を受け入れた場合はお布施を強要されたり、何らかの人気投票への投票を頼まれたり、聖地巡礼 の旅へ誘われたりもしますが、もはやその段階になればたぶん幸せなので、誘ってくれた友人に感謝しながら楽しむようにしましょう。 友人も趣味の友が増えた上に功徳も積め、永遠 無窮・腐老腐死 な楽園へと続く金色の扉が開いたと喜んでいるはずです。