「推し」 のあまりの眩しさに目がくらむ… 「尊い」
「尊い」(とうとい) とは、高貴で貴重で崇高で、思わず拝み奉りたくなる、敬いたくなるといった意味の言葉です。 元々 普通 の日本語表現であり、「貴い」 が同等の言葉としてありますが、2010年代の後半あたりから、より意味が強調された形で ネット などで多用されるようになっています。
基本的には 萌え や 推し、俺の嫁、〇〇しか勝たん、大勝利 などと同じような 「好きだ」「素晴らしい」「最高だ」 の過剰表現の一つですが、中でも カップリング に代表されるような、対象が持つ関係性に着目した使われ方が多いようです。 男性実在アイドル (同人 の世界でいう ナマモノ)、アニメ や ゲーム といった作品、そこに登場する キャラ や関係性を賞賛する使い方となり、腐女子用語や おたく用語、広く ネット用語 として認識されていると云って良いでしょう。
とりわけ2018年後半から Vtuber (バーチャルYouTuber) が大ブームとなる中で、VTuber 同士の コラボ などを通じた良好な 絡み や関係性を指す言葉としてもよく使われ、ニコニコ動画や Youtube をはじめ 動画サイト のファンが集う場で大規模に流行することに。 あまりの素晴らしさに感動・興奮して口が回らず 「尊い」 が訛ったような言葉として、「てぇてぇ」(尊いな → てぇてぇな) も使われるようになっています。
ご本尊を前にして、信者は尊いとつぶやくしかできない…
比較的初期、あるいはこの使われ方の大本は、実在男性アイドルの ファン、あるいは 腐女子 などが、自分の推しや 担当 しているタレント、それらを組み合わせた好みのカップリングを褒めたたえるために使っていたものでしょう。 元々この 界隈 の人たちは、自分が担当する推しタレントを 「ご本尊」 と呼ぶ習慣があったので (逆に熱心なファンは 信者 や 儲)、言葉としての連続性がありました。 コンサートやライブ後の感想で使われたり、同人の場で 「BL」(Boys Love) といった ジャンル の好きな 作家 への賞賛にも使われます。 またそもそも 「尊い」 自体は 普通 の日本語表現なので、本来の意味で使うケースももちろんそれ以前からありました。
これは時期はともかく男性ファン (おたく) の間でも同様で、その後は 3次元・2.5次元・2次元 を一切問わず、アニメやゲームといった コンテンツ やキャラにも拡大。 初音ミク や 鏡音リン・レン といったボーカロイド (ボカロ) 関係でも使われたり、作品の タグ などとしても見かけるようになっています。 VTuber 大流行以降は、ポピュラーな称賛表現のひとつになったと云って良いでしょう。 また前後して流行していたネット特有の言い回し、例えば 「〇〇み」 と組み合わせた 「尊み」 とか派生語として 「尊死」(萌え死ぬみたいな意味)、「(語彙力)」 との複合 (「尊い (語彙力)」) などもあります。
なお 「尊い」 の読みは 「とうとい」 ですが (「たっとい」 とも)、誤ってかわざとか、「とおとい」 と書かれることもあり、誤変換当て字 としての 「通問い」 も稀にあります。