迷惑そうな、ちょっとくだけた言い回し 「絡み」
「絡み」(からみ) とは、人と話したり交流したり友人になったり、ネット の世界で繋がる、例えば フォロー したり フォロワー (特定のサービスでお互いの アカウント を結びつける) になることを指す言葉です。 ネット用語 というよりは若者言葉ですが、とりわけ人と人とのつながりが重視される SNS などでは、よく使われる言葉となっています。
言葉そのものは 普通 の日本語なのですが、一昔前までは、「人」 が 「絡む」 というのはあまり ポジティブ な意味で使われない言葉でした。 「不良に絡まれた」「先輩に絡まれた」 といった、「不本意なのに構ってくる奴がいる」「因縁をつけられた」「人間関係が錯綜して面倒なことになっている」 との、ちょっと ネガティブ な使われ方が多かったのですね。
その後はネガティブな言い回しをあえてポジティブに用いるような使い方が若者の間で逆に広がります。 さらに社会人やビジネスの世界で、「迷惑なふりをして自慢話をする」 ような使い方 (例えば 「後輩に絡まれて朝まで飲んだ」「有名人に絡まれてビジネスを手伝っている」 といった云い方) から、「周囲から愛され面白そうな人や話題に絡まれる、こちらからちょっと絡む」 といったよりポジティブな使い方も広がることに。 これは 「絡まれるほどの存在感がある」「頼られている」「相手と親密な関係がありくだけた表現が許されている」 というのを言外に匂わす 自虐風自慢 に近い ニュアンス です。
一方、「絡む」 のフラット・ポジティブな使われ方が広まると共に、「ネガティブな絡み」 が改めて派生語として登場。 「うざ絡み」(神経を逆なでするような、うざい 絡み方) や 「だる絡み」(対応するのが面倒な、だる い絡み方) も使われるようになり、「絡む」 が 「出会い」「交流」「会話」 を意味するものとして定着します。
「絡んでください」 が使いやすい言葉として定着
その後2000年代になり、ネットを中心に 「絡んでください」「絡みましょう」 との言い回しが急速に広がります。 これはリア友・ネトモ 問わず、「私と関わり合いになってください」 との意味になります。 それまでであれば、「お話しましょう」「交流しましょう」「友達になりましょう」「連絡ください」 というフレーズで表現されていたのでしょうが、気軽でくだけた表現の 「絡む」 の方が、何かと使いやすいからなのでしょう。
「絡み」 本来の意味は?
ちなみに一般的な日本語としての 「絡み」 は 「搦み」 とも書き、何かが巻きつくこと、もつれていること、あるいは歌舞伎などで主役の強さを際立たせるためにまとわりついて倒される端役・ザコ敵 などをあらわしたり、因縁や言いがかりをつける状態を言葉です。 また密接に関連したり、入り組んだ関係を指すこともあります。