彼女から毎日何回も電話が掛かってきて迷惑してるんだ…「自虐風自慢」
「自虐風自慢」 とは、自分はこんなに困ってるんだ、こんなに 不幸 なんだ、これほど悲惨な状況におかれているんだ…などと 自虐的、卑下した言い回しをしながら、本心ではそれを誇っているような湾曲した自慢話、もしくは聞いた方がそう感じ取れる会話のことです。 ローマ字略語 で、「JJ」 などとも呼びます。
代表的なものに、「飲み会やコンパに誘われまくって金が続かないよ」「毎日友達に遊びに誘われて自分の時間がとれない」「彼女から何度も電話が掛かってきてウザくてたまらない」「学校や職場で責任ある立場を任されて面倒だ」「やたら異性に声を掛けられて迷惑、わたし軽く見られてるの?」 などになります。
ひょっとしたら本人は本気で悩んでいるだけなのかも知れませんが、友達がいなかったり、非モテ で恋人がいない人にとっては、「自慢話してんじゃねーよ」「マウント のつもり?」 と思えてしまいますし、こちらに友達や彼女がいないのを知った上で、嫌味、当てこすりを云われているような不快感も覚えてしまいます。
いるいるこういう人…で、掲示板などで話題に
こういった話し方をする人は昔からいます。 よく出てくるものに、「今日で2日間も寝てない…眠くてたまらん」「忙しくて1ヶ月間も休みがとれてない…お前がうらやましいよ」 なんてのがあります。 こういった話は、言外に 「これほど睡眠不足してるのに平気でピンピンしてる俺はすごいだろ?」「お前と違って俺はみんなから頼られているんだ」 という ニュアンス が感じ取れますし、口癖のように 「忙しい」 を連発し、自慢げにしゃべったり、暇そうにしている相手に嫌味として話す人はとても多いでしょう。
また地方出身の人に、「俺は生まれも育ちも実家も東京だから、田舎のある人がうらやましいよ」 とか、童貞 で彼女もいない人に、「俺も童貞の頃に戻りたいよ」(女に夢を見ていた頃が懐かしい…) なんてのも、お約束 のようなパターンです。 女性が、「男からすぐいやらしい目で見られる」 なども、場合によっては自慢話に聞こえなくもありません。 中には本心から困っている人もいるのでしょうが、田舎育ちで恋人もおらず性交渉の経験もなく異性から無視されまくりの人からしたら、単なる嫌味に聞こえることもあるでしょう。
住民税や保険料が高いアピールもよく目にします。 払うのが大変だと被害者ぶりますが、住民税や保険料の納付額は収入に連動しますから、高収入自慢を遠回しに行っているのと同じでしょう。 一方で収入額にダイレクトに直結する所得税でそれを云わないのも、ちょっと嫌らしい感じです。
「自虐風自慢」 は、これら既存の 「寝不足自慢」「残業自慢」(多忙アピール)「病気 自慢」 などを網羅し、さらに発展させて面白く言語化したものといえます。 似たものに 「不幸自慢」「苦労自慢」「ネガティブ 自慢」(自分がどれだけ悲惨な目にあったか、苦労したかを自慢する) ってのもありますが、それらとはある程度区別がつく、とても分かりやすいネーミングだと思います。
2ちゃんねる、大学生活板・就職板などで言語化され広まった 「自虐風自慢」
2ちゃんねる 大学生活@2ch掲示板 |
言葉の発祥としては、2006年頃に掲示板 2ちゃんねる の 「大学生活板」(大学生活@2ch掲示板) でこうした 概念 が抽出され、「自虐風自慢を見かけたらここにコピペしろ」 スレッド (2006年5月27日) でパターンの収集が行われ、それを元にした アスキーアート なども作られ話題に。
前後して、住人がかぶる 「就職板」(就職@2ch掲示板) や 「VIP板」(ニュース速報(VIP)@2ちゃんねる) などでも話題になり、モテない男性板やもてない女(仮)板をはじめ、他の 掲示板 などにも広まりました。
大学生の一部などは、リア充 (ネット の世界ではなく、リアル世界の生活が充実している) なんてのが疎ましく感じる場合も少なくありませんし、「俺は○○大学 (一流大学) 卒なのに○○会社 (一流企業) しか受からなかったよ…第一志望は○○だったのに…」 なんてのが、就活関連の話題では自慢に聞こえて仕方がないのでしょうね (実際にしゃべったり書き込んでいる人も、多くはそのつもりなんでしょうし)。
まあ友達の数が多いとか、彼女がいるなんてのを強調するタイプの 「自虐風自慢」 は、本人が本当に自慢のつもりでしゃべっているのか、単に受け取っている側が僻んでそう受け取るのか判断は微妙な気がしますが、2009年になり、大手マスコミなどがこの言葉を使うようになり、徐々に ネットスラング として外部にも 認知 されつつあるようです。