ムック本のあんまりといえばあんまりなネーミングから…「ビッチ」
「ビッチ」 とは、どこの誰とでも簡単にすぐエッチ、セックスしてしまうふしだらな女性のことです。
英語の 「Bitch」 と同様の意味で、本来はメス犬の意味なのですが、さかりのついたメス犬、転じて売春婦や尻軽女といった意味でヨーロッパ、ついでアメリカなどで使われるようになり、比較的最近になって日本にも伝播。 同様の言葉として ヤリマン、サセ子、肉便器、公衆便所、あるいは 中古 などと呼ぶ場合もあります。
英語圏の古くからある性的スラングのひとつで、日本でも海外事情に明るい人、ローリング・ストーンズなどの洋楽の ファン、ロックファンなどに、一部の楽曲名や歌詞に登場する (例えば 1971年のアルバム 「Sticky Fingers」 に入っている 「BITCH」 など) 、あるいはアメリカの他人に対する侮辱表現 (例えば Son of a Bitch! (ビッチの息子) で 「くそったれ」「畜生め」 の意 など)、それなりにおなじみの云い回しでした。 似たような蔑称・スラングに 「フーチー」(Hoochie) もありますが、語感の良さからか日本ではビッチが 2000年代中頃から ネット 上で広く使われるようなっています。
流行の直接的なきっかけとしては、ヒルトンホテルの創業者一族の令嬢で、アメリカのモデル、デザイナー、女優であるパリス・ヒルトン(Paris Whitney Hilton) の2003年12月頃に流出した、いわゆる 「流出ビデオ」 の話題があります。 日本でも同年から翌2004年頃にかけてアダルト動画サイトなどでこの動画が盛んに紹介され、あわせて 「セレブ」(Celebrity) ともども 「ビッチ」 という言葉も使われるようになっています。
本当の自分を出さなくちゃ! これであなたもセレビッチ♥
ムック 「セレビッチ」/ オークラ出版 |
その後こうした云い回しを 「自由奔放、自分の欲望に素直」 といった形で少々肯定的に捉えたり、まるでおしゃれなことのように触れる報道 (海外の富豪の娘の恋愛スキャンダルなどを華やかに伝える形) が日本の一部メディアや 「流出系」 のアダルト動画サイトの企画などで頻出。
さらにそれを受けて、1990年代から使われるようになっていた 「セレブ」 とこの 「ビッチ」 を組み合わせた 「Celeb-ich」(セレビッチ) という名称の 「小悪魔ageha」 路線の雑誌 (ムック本) が、2007年11月にオークラ出版から登場。
そのあんまりと云えばあんまりなネーミングと、特徴的なキャッチフレーズ (「セレビッチって10回言ってごらん」「ビッチあんよで世界制覇」「セクシーランジェリーで愛されボディの作り方」 など) がネットの 掲示板 などで揶揄する形で話題に。
前後して 「ビッチ」「ビッチ女」 といった言葉が ネットスラング のような扱いとなって急速に広まり、方々で頻繁に使われるようになりました。
黒髪ストレートにあらずんば…「ビッチ」 の使いどころも拡散
なお本来の意味で云えば相当に女性を悪し様に指す言葉なのですが、徐々に使いどころも 拡散 しています。 例えば若い女性アイドルや人気女性声優などに、ほんの少しでも男の影、恋人や彼氏の影が見えただけ (例えば、それまでずっと毎日更新していたタレントのブログが、クリスマスイブの夜だけ更新されていないと、「彼氏とデートしてるんだ」「寝てるんだ」 と決め付けて憶測で大騒ぎする、など) でも、「ビッチだ」 とビッチ認定したり、しまいには 「見た目が清純じゃない」「純情っぽくない」 というだけ (例えば 髪の毛 が 茶髪 (ウンコ色) だ、肌の 露出 の大きな服を着ている、化粧がきつく眉毛がないなど) でも、ビッチ扱いするケースも続出。
実際はムック 「セレビッチ」 が話題となって 「ビッチ」 が面白みのある言葉として流行、黒い髪を茶色にした 金髪 にした、化粧が濃くなった、ピアスの穴が開いた、タトゥーが入った…などに極端に反発を覚える古くからのファンや、そのタレントの アンチ (嫌いな人) がそれを使って煽っているだけなのでしょうが、スイーツ(笑) や 中古 などと並び、2000年代後半の リア充、もしくはそれっぽい女性を叩く、常套句のような言葉ともなっています。