汁系と云っても、行列の出来るラーメン屋ではありません…
「汁系」 とは、18禁 な 「エロ」 マンガ の中でも、好きな人は好きで苦手な人は苦手な ジャンル の一つで、体液でぐちょぐちょな、それはもうぐっちょぐちょな 作品 一般を呼ぶ時に使う言葉です。 ぶっかけ とも呼びます。
こうした作品を中心に描いている作家を、「汁系作家」「汁漫画家」「汁星人」 などと呼んだりもします。 この 汁 (体液) にも色々ありますが、もっぱら男性の 精液 を中心に扱うものが多いようですね。
ほとばしる精液と女体のハーモニー
一説には、いわゆるアダルトビデオ (AV) での 「顔射」(顔面射精/ 顔面シャワー) の誕生が、その発端だとされています (1980年代後半)。
けれどそうした行為を行う AV 誕生前にも、「汁系」 との名前こそなかったものの、どう見ても全く同じ性的嗜好を取り扱ったエロマンガ (劇画) や描き手が数多く登場していましたので (女性の、いわゆる愛液もかなり多かった記憶がありますが)、マンガから AV が影響を受けたのは間違いないと思います。
筆者 の個人的な印象でも、1970年代にはすでにダーティ松本さんはじめ、現在の 「ぶっかけ」 と同じ過激な描写のエロ劇画がひとつのジャンルとして確立していましたし、そうした表現を前面に押し出した作品が数多くありました。
名物AV監督、村西透氏が 「顔面シャワー」 シリーズを発表したのが 1980年代末、いまや世界的にも BUKKAKE として広く知られる シャトルジャパンさんの作品群の本格リリースがその後ですので、コスプレ なんかもそうですが、マンガやおたく的なフィールドから生まれた言葉が、より一般受けしやすい AV や風俗で発展して世間に広く知れ渡り、更にまたマンガやおたくに戻っていく典型的な例だと思いますね (ちなみに昔、村西監督とは仕事でご一緒したことがあります。 面白い方でしたw)。
なお汁系の他に、AV 用語として前述した 「顔射」「顔面シャワー」、ぶっかけ/ BUKKAKE などと呼んだり、またとくに大量の汁が出るものを 「大量汁モノ」「大量ぶっかけモノ」「汁ダク」「大量白濁液」「大量カルピス」 なんて直接的に呼ぶケースもあります。 アイコラ にも、顔などに汁を合成加工する 「汁コラ」 なんてのが存在します。
嫌悪感を持つ方も多いようですが、まぁそれほど極端でストレートなものでなくとも、例えば 「ソフトクリームをなめる少女」 とか 「水遊びをする少女」 とか、あるいは 「牛乳を飲む少女」 とか、健全系のマンガや イラスト、直接的なエロが許されない未成年アイドル (U-15 アイドル 写真集など) で 疑似的・暗示的に扱われるケースも考えると、意外やかなりの普遍的な性的嗜好と云えるのかも知れません (女性は、どこが良いのかさっぱり分からない方がなおさら多いらしいです
健全系も巻き込みながらエスカレートする汁系…
当初こうした表現がマンガに登場したのには、わいせつ表現 に対する規制で性器の直接描写や男女の合体した姿を自由に描けなかった、誕生当時の社会情勢があったのではと思います。 性器も合体した姿も描けないで、どうやって性的絶頂を描くか…。 その回答の一つが、結び合う男女の手から、男性の絶頂の象徴である精液と、それを喜んで受け止める女性の姿、もしくは美しい顔を汚される姿になっていったのかな、とか予想します。
加えて、絵描きさん なら分かると思うのですが、作品なんてものは、執筆中の感情の高まり (煩悩の果てしない高揚) と共に、その内容はどんどんエスカレートして行くものです。 その点こうした性的嗜好・作風は、エスカレートしやすい、いわば 「いかにもマンガ・小説的な」 画面効果かな、とは筆者個人では思います。 最初は一筋の液体だったものが、どんどんとその量を濃度を増してゆく…。 ある意味、分かり易いといや、分かり易いです
なお女性の顔に汁をかける行為が、人によっては男尊女卑の考え方を満足させるものであるのは否定しませんが、マンガの中は所詮マンガの中の世界。 描いている人も読んでいる人も全てそう思い、そう考えているとは限りません。 理解不能な人は理解不能でしょうし、分からない人、興味のない人まで理解に務める必要も全くありませんが、まぁこういう世界もあるんだなぁ…と思ってもバチはあたらなさそうです。
でもまぁ、まかり間違っても実践したりはしませんように。
エッチとは全く無関係、ジャンル違いの汁系も…
なおいわゆる 「エロ」 とは全く関係のない、ドリンク系のサークルの事を 「汁系」 と呼ぶ場合もあります。 ジュースなどを扱う 「甘汁系」 とか、まずい駄作ドリンクや青汁、適当な材料 (とくに納豆w) をジューサーにかけて自主制作した不気味な飲み物を扱う 「ゲテモノ汁」 なんてのが、その代表でしょうか。 雑誌 「ファンロード」 から生まれた言葉で、「ゲゲボドリンク」(「ゲゲボ」 と鳴くカモノハシのイメージキャラと、なんとびっくりカモノハシのゲゲボクイズから派生) などと呼ばれ方もします。
同人的な活動としては、評論系の同人誌を出していたりします。 空き缶集めなんてのは 趣味 としては昔からポピュラーですし、飲み物を扱う趣味の一環として、意外と ファン は多いようですね。