屈折した愛だと云っちゃえば簡単ですけどね… 「鬼畜」
「鬼畜」(鬼畜系)、「鬼畜表現」 とは、主に 18禁 な エロ系 の 漫画 や ゲーム、同人誌 などに使われる形容詞の1つで、あんまりと云えばあんまり、非道いと云えば非道い内容の作品に使われる言葉です。 文字通り、人にあらざるオニ・ケダモノの所業的な内容の作品に使われる言葉ですから。
肉体的鬼畜 (過激な性描写、受け 役 キャラ に対する無理矢理、あるいは複数人での行為、強姦・レイプなどの 陵辱 表現 …など) と、精神的鬼畜 (受け役キャラを弱みにつけ込んで追いつめたり、アンモラルな状況 (相手を親子・兄姉その他) に置く…人格を否定するような罵詈雑言を浴びせる 言葉責め など) があり、どちらかと云うと後者に、より鬼畜の本道がありそうです。
もちろん、肉体的鬼畜と精神的鬼畜の複合したケースも良く見かけます (いわゆる SM も含みます)。 また多くの 身体改造系 なども、この ジャンル に含まれる作品になります。 性的な内容を必ずしも必要としない独特なものは、虐待系 などと呼ぶ場合もあります。 また類似の言葉に、外道 もあります。
愛するキャラをなぜ鬼畜の毒牙に…?
ところで “売らんかなの同人作品” のように、商業 創作ポルノがエスカレートしてゆくのと同じような理由での “鬼畜” 表現ならともかく、“愛するがゆえ” に好きなキャラを鬼畜的な作品に採り上げてしまう 同人作家 の気持ち…精神は、いったいどうなっているんでしょう。
「そんなの屈折した、間違っている愛だ」 …と一言で云ってしまえるような感覚の持ち主なら、簡単にそうした作品を断罪したり批判したり出来るでしょうけど、どうにも的を射る意見とは思えません。 だいたい 愛 の形に、客観的な正しい正しくないはありませんし。 さりとて、「好きだからこそ苛めてみたいってのは分かるな」 的な云い方も、う〜ん、ちょっと皮相的にすぎる気がします。
精神や嗜好は複雑にして個人差・時代の差があり、それだからこそ、その時々のそれを鋭く描き出す事の出来るマンガ家や小説家 (本稿には直接関係ないですけど、弁護士とかも) の仕事に普遍的な価値がある訳ですが、とりわけ 同人 の世界では、そうした複雑さを垣間見れる作品が多く生まれているもの。
即物的に “ おかず ” として鬼畜作品を見るのも良いですが(笑)、そうした点にも思いをはせて作品を見、あるいは探してみるのも楽しいと思いますよ。 もの凄いダークな云い方になりますけど、お気に入りの作家さんが “壊れて行く” のを、作品を通じて追って目撃するのは、いい知れない興奮があります
まぁ変な方向に壊れて犯罪に走ってしまうと困ってしまいますが。
もっとも集団レイプものなどは、他者への加虐 趣味 の発露というよりは、むしろ 作者 や 読者 が被害にあっているキャラに 感情移入 し、自虐 やマゾヒズムの形を変えた一体化がしばしば指摘されます (そう述べる人が極めて多い)。 男性作者や読者が女性キャラの立場になって大勢から性的暴行を受ける姿を見て興奮する…全く興味のない人から見たら、まるっきり 変態 の極地のような印象があるかも知れませんが、性的興奮を覚える趣味などというものは、この程度の複雑さは、どんなジャンルであれだいたい持っているものです。
鬼畜な作品を描いている人は、対象となるキャラをどうやったらより惨めに、哀れに、悲惨にできるか、どう表現したらそれがよりハッキリと明白になるかに、命を削っているものですが、その対象となるキャラが自分の分身なのですから、やっぱり創作や性の世界は底知れないものがあります。
くやしい…でも感じちゃう!ビクビクッ! やったねたえちゃん
え、お奨めの作家さんですか? う〜む… 趣味 がバレるのでやめておきます (;_;)。
え、あたしの作品ですか? 底が知れるのでやめておきます (;_;)。
なお くやしい…ビクビクッ! なんて言い回しもありますが、本格的に 無慈悲 な鬼畜ものとなると、俗に 鬱展開 とも呼ばれる、なんとも救いのない展開にもなりがちだったりします (ある意味、「くやしい…でも感じちゃう…」 なんてところは、逆に責めを受けるキャラへの救済ですらあるともいえます)。 読後感の悪さは折り紙つきの 「鬼畜」 作品もありますが、いわゆる 賢者タイム になった時の自己嫌悪みたいなものは、大きいものがありますね。