苦手な人でも心の奥に何かノックされるものが…?「虐待」
「虐待」「虐待系」 とは、相手に肉体的、精神的に強い暴力行為、残虐行為、あるいは殺害や身体の 「破壊」 などを加えることです。 似た言葉に 鬼畜 (鬼畜系)、「鬼畜表現」 や 「拷問」 などがありますが、これよりもさらに暴力的、残虐的な表現方法となる場合が多く、強烈な拒否反応を示す人が当然ながら非常に多い、特殊な表現方法となります。
例えば エロチック な 18禁 表現では、単に性的行為を強要する、SM のように叩く殴るなどの拷問だけにとどまらず、身体を切り刻んだり (手足切断によってダルマ状態にするとか)、「脳姦」 のように頭蓋骨を切り取り脳みそに性器を挿入する、歯を 抜く、爪をはぐ、目を潰す、人体解剖する、あるいは単に虫けらのように踏み潰して殺すなど、およそ考えられる限りの残虐行為を行います。 必ずしも性的な要素を含めないのも特徴で、ひたすら殴り続ける、ひたすら水を飲ませ続けるなどを、淡々と続けるような作品もあります。
また キャラヘイト と複合し、単に肉体的、精神的に作品の物語の中で虐めるだけでなく、そのキャラそれ自体を悪し様に叩くような内容になっているケース (悪人のように描く、存在感のない空気のように描く、作者 がそのキャラを嫌っているのがわかるような表現がでてくる、など) もあります。
「ホラー」 や 「スプラッター」「エログロ」 などもそうですが、外部から見たときにこれくらい 「おぞましい」 と感じられる作品群もなく、しばしば外部から叩かれ、また同じマンガ好きや同人好きな人からも 自重しろ と叩かれがちな鬼っ子のような存在でもありますが、一部に根強い ファン がいるのも特徴で、二次創作 の ジャンル によっては、これの要素が表面には出てこないけれど、裏では厳然とその他の 同人 の創作活動に大きな影響を与えるケースもあります。
動機は様々… 「虐待系」
虐待系の作品が扱う テーマ、あるいは作品そのもののスタイル、形状などは様々です。 アニメ作品 などの パロディ として マンガ や SS として発表する場合もあれば、かわいくて人気のある AA (アスキーアート) を虐待・虐殺系にして ネット の 掲示板 に書き込む場合もあります (通常は 叩かれる などして 隔離 されています)。
制作動機はもちろん、作者の 「とめどない思い」「感情」 があるのでしょうが、中には人気のある キャラ などを壊したり毀損することで 「征服欲」 に充実を覚えたり、その様子をそのキャラのファンに見せて満足感を覚えるタイプもあります。
鬼畜系もそうですが、「好きだからこそ虐めたい」(小さい子猫を抱いたとき、力いっぱいギューっと抱きしめたいような気分の突出したもの) とか、子供が小学生時代にやる、昆虫などへの虐待の 「子供の頃に消化し切れていない部分の発露」 とか、いろいろ理由は後付けで考えられますが、ホラーやスプラッタームービーは普遍的な人気がありますし、誰しもが心の奥底に多かれ少なかれ隠し持っている 「どす黒い部分」 を突付くひとつなのでしょう。 歴史的にも、地獄などを描く宗教画のスタイルをとりながら、拷問・虐待・虐殺の物語は、昔から人類が求めてきたものですし。
当然一般受けはかなりし辛く、同人の世界でもマイナーな扱いですが、こうしたものに興味のない人も、「自分の心の奥にある何かがノックされる」「不快感と罪悪感に吐き気がしてくるが、どうしてもまた見てしまう」「最初は全く受け付けなかったが、しばらくすると色々な感情が生まれ心が騒ぐ独特な感じがする」 なんて人もいて、怖いもの見たさの、これも一種なのでしょうか。
こうしたおどろおどろしい表現、怖いもの見たさの追求は、それこそ神話の残酷すぎる神々の行いや、比較的最近でも江戸時代末期から明治時代にかけての浮世絵における 「無残絵」 など様々な例があります。 また戦争とか犯罪を モチーフ としつつ実際は残酷表現そのものにフォーカスした作品は枚挙にいとまがないほどでしょう。
こういうものに耐性のない人は、見るのをやめましょう
こうした作品を嫌う人は多いですし、閉じた世界とはいえ 同人イベント などでも サークル参加 するな、不快だ、との意見も少なくありません。 しかし各々が誰に危害を加えるでもなく、自らの 妄想 を羽ばたかせて、同じ 趣味 の人を相手にさらけ出せるのも同人や創作の世界の魅力です。
色々な考え、趣味 を持つ人がいるのですから、「好きなキャラを大切にしたい」 と思う人がいるなら、「好きなキャラを汚したい」「壊したい」 と思う人だって存在するのは当然でしょう。 嫌なら見なきゃいい のですから、苦手な人も大人の対応ができると良いのかなと思います (筆者 はこういう表現が大の苦手なのでそうしてます)。
また人によっては深刻な心の ダメージ を受ける場合もありますから、それらに耐性がないとの自覚があるなら見ないようにすべきですし、まして他人に 「こんなのがあるよ」 などと面白がって見せるのは絶対にやめましょう。