同人最大の網羅的作品分類の一つです
「エロ」「エロティック」 とは、愛欲や肉欲、もしくはそれらを喚起する状態やしぐさ、作品を表す時に使う言葉です。
語源は、ギリシャ神話に登場する美の神アフロディーテ (Aphrodite) の使いである愛の神、エロス (Eros) の名からです。 気取った文章では 「エロティック」 なんて云う事もありますが、一般的には略して 「エロ」 とするのが普通でしょう。 また似た 概念 である 「セクシー」 よりも、いっそう直接的な言葉だと思います。
同人 の世界では 「裸体」 があるかないか、もしくは 「裸体の 絡み」 があるかどうかで 「エロ」 と 健全 とに大きく二分し、そうした要素の存在するものが 「エロ」 と呼ばれます。 他に 18禁 とも呼びますが、同人における マンガ や小説では、オリジナルからパロディからあらゆる モチーフ、作品内容にまたがり非常に人気のある作品区分です。
一部には
こうした作品を扱った 同人誌 は未成年者に販売などができない事や、そうした表現を苦手とする 読者 も比較的多く存在する事もあり、取り扱いに注意を要するものとなっています。 したがってこの ジャンル で活動する 同人作家 や 同人サークル は、ある程度以上、作品ごとにその旗幟を鮮明にする必要があります。 → 面妖本
刑法第175条の規制や有害図書規制でいつもやり玉に
健全系 の作品 (ギャグやストーリー物、論評物など) に比べ法律や条令で様々な規制がかかっているのが 「エロ」 作品の特徴です。 イベントによっては 「エロ」 を扱った作品を事前にスタッフがチェック、内容によっては 頒布 の 禁止処置を行うケースもありますし (コミケにおける 「赤紙」 処置が有名です)、パロディ作品の著作権者や版権をもつ出版社などが、「エロ」 なパロディを禁止している場合もあります。
また性の好みや形、考え方が多様化するにつれ、エロティックな作品の取り扱う テーマ もどんどん広がり、またエスカレートしてゆく傾向があります。 中には極めてアンモラルなものや過激なものがあったり、あるいは余りに特殊なものもあったりして、全体を見渡すのはほぼ不可能と云って良い状態です。 「良識派」 を自認する方々からは攻撃しやすいものであったりするので、描き手にもそれなりの問題意識はあった方が良いでしょう。
読み手からすると、いわゆる おかず 的にこうした作品を受け取るケースが多いのですが、エロティックな分野には 作者 の 「秘めた」 趣味 や 性癖 が顕著に現れる事もあり、作家さんによっては 「健全」 な作品では追求できない奥深い世界を垣間見せてくれる方もいます。 そうした人間の奥底に思いをはせて鑑賞してみるのも面白いと思います。
「エロ」 はやっぱり難しい…
余談ですが、筆者 は 「エロ」 マンガを世間に公表した事は今のところありませんし、版権もの の作品で 「エロ」 を扱おうとも思っていません。 けれど、他人のそうした作品を見るのは好きですし、描いている方の気持ちも分かるつもりです。
そういや以前知人が、既に大手サークルも消え終わりかけたジャンルの「エロ」 マンガをわざわざ描いた事があったのですが (しかもそれまではずっと健全本ばかりだったのに)…その云い分が凄かったです。 いわく、「美少女系のジャンルで 「健全本」 ばかりなのは、むしろ不健全」。 「エロ」 が出なくなるようでは、この美少女系ジャンルももはや終わり…ええい、そうはさせるか! …ってな心意気、なんでしょうね。 …さすがです (^-^;)。