顔パーツにおける萌え要素 「アヒル口」
「アヒル口」(あひるくち)、とは、唇を突き出すように尖らせている状態のことです。
厚ぼったい唇では不向きで、薄い唇の持ち主の場合がやりやすいようです。 薄い唇が上向きについている人 (時としてめくれているような形状でWの字型になる)、口角 (上唇と下唇の左右つなぎ目部分) が上を向いた形状の唇に使われますが、同人 やら マンガ やらの世界では身体的特徴のひとつの カテゴリ というよりは、むしろ表情、漫画的感情表現の一種で、不機嫌なさま、いわゆる 「口を尖らせて」 みたいな時にとる表情 (と、その形容詞) でしょうか。
マンガの世界では 「タコ口」(古い言葉だと、ひょっとこ口) なんかが長くその表現の形、形容詞でしたが、リアルなデッサンのマンガが増えてくるにつれ、描写で頻繁に登場するようになり、またしばしばエロティックな表情でもあるので、そっち関係のマンガなんかでもちょくちょく描かれるようになってますね。
現在では 「えくぼ」 よりもチャームポイントとしての格が上 (えくぼはマンガで表現しにくいので 萌え づらい) で、いわゆる 萌え要素 の パラメータ ではより上位って感じの位置づけでしょうか。 それに伴い、怒りや不機嫌、拗ねている様、そうした特長を持つ キャラ を 「アヒル口になって」「アヒル口キャラ」 などと表現する文章や ライトノベル (ラノベ) なんかもあるようです。
アヒル口というか、プリシラは可愛かった…
アヒル口イメージ |
ところで 「アヒル口」 という表現は、いつ頃から出たんでしょうか。
タレントでいえば 広末涼子さん、鈴木あみさん、上戸彩さんあたりの人気から言葉として耳にするようになりましたが (とくに1998年に大ブレイクした鈴木あみさんは、アヒル口の女神とも呼ばれていました)、さらに佐藤江梨子さんや田中美保さん、水川あさみさん、男性タレントだとKAT-TUN 亀梨和也さんあたりが 鉄板 でしょうが、これらは90年代に入ってからです。
アヒル口ではないけれど、限りなくそれに近い 「ドナルド唇」(ドナルドダック唇)、「アヒル唇」 などと、「口」 ではなく 「唇」 という表現でなら、「たらこ唇」 などと同じで 筆者 の記憶では1960年代〜1970年代にも 普通に 使われている言葉でしたし、それはしばしば罵倒語の一種でした。
「アヒル口」 は身体的形状、「ひょっとこ口」 が怒りなどの形容詞としての表情の一種、みたいな感じでしたが、それがはたから見た時の魅力にとどまらず、本人が積極的に自らのチャームポイントとして意識するまでになってるのは興味深いですね。
まぁ本人は本人で、とりわけ小中学生くらいまでは、それに強いコンプレックスを持ってる人も多いようなんですが (背が高い、胸が大きいなんて、大人になったらおおむね長所やチャームポイントになるような部分も、子供の頃はコンプレックスの種になったりしますしね)。
小さい子供が上目遣いで唇を尖らせて、拗ねてぷりぷり怒っていたりするのは可愛いものですが、やっぱりこれも、一種の ロリ 属性なんでしょうか。
アヒル口ブーム? と共に、偽アヒル口、人口アヒル口なども…
なお生まれつきアヒル口の人を 「天然アヒル口」「ナチュラルアヒル口」 と呼んだり、逆に意図的に表情を作るような形でアヒル口にしている人を、「偽アヒル口」「人工アヒル口」 などと呼ぶ場合もあります。
アヒル口がチャームポイントとして広く 認知 されるようになると、意識して口を尖らせるタレントや一般人なども増え、それを 「あざとい」「わざとらしい」 と批判的に見る目も増えています。 それに伴い、生まれつきアヒル口であることを証明するような行為 (子供の頃の写真を公表するなど) を行うタレントさんや声優さんなども見るようになっています。 たかがアヒル口、されどアヒル口。 何でも注目を集めるようになると大変なんですね。