同人用語の基礎知識

八重歯/ キバ

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日本ではチャームポイントとなる 「八重歯」

 「八重歯」(やえば) とは、歯 (歯牙) が叢生 (そうせい/ 歯がねじれたり重なり合って変形すること、乱杭歯、不正歯列とも) した状態のこと、もしくはそうなった歯のことです。

 もっとも多いのは、アゴが小さく歯がきちんと並ぶことができず、歯列が乱れて一部の歯が小さくなってしまったり、一列に並ばず前後に乱れてしまった状態です。 他にも子供の頃に抜け落ちるべき乳歯がいつまでも残り、後に生えてくる永久歯の発育を阻害するなどという場合にも起こります。 動物としての人間の体にとって、良くない状況であるのは間違いのないところです。

 しかし日本では マンガアニメゲーム などの 2次元 の架空 キャラ はもちろん、現実のアイドルタレントなどでも 「チャームポイントのひとつ」 とされ、ある種の 萌え要素 として認識されています。 とりわけ動物の 擬人化ネコミミケモノ界隈 では、ほぼセットの要素といって良いでしょう。 ちなみに日本語ではこの他に 「鬼歯」 などとも呼ばれ、オタク界隈では通常 「キバ」「牙っ娘」、アイドル界隈ではこうした特徴を持つアイドルは 「八重ガー」(八重歯ガール) などと呼ばれています。

 2000年代後半となると、八重歯型の義歯や差し歯などの 需要 すら生まれているようです。

小動物の愛らしさ、小悪魔的な魅力を発揮する 「八重歯」

「八重歯の再現図」

これは再現図です。下のサムネイル画像へマウスオーバーすると、左側に大きな再現図が表示されます。

回線の状態によっては、表示までに少々時間がかかる場合があります。

八重歯なし再現図
八重歯あり再現図

欧米では忌み嫌われる 「八重歯」

 欧米ではこうした歯は 「ドラキュラの歯」「悪魔の歯」「犬の歯」 として宗教的・文化的に忌み嫌われ、積極的な治療 (抜歯や歯列矯正) などが昔から行われています。

 またそうした治療が普及してからは、歯並びの乱れた人を 「適切な治療の受けられない貧困者」「子供の健全な育成に無頓着で非常識な親に育てられた人」 といったイメージで、否定的に捕らえる傾向が非常に強くなることに。 そのため、一般的には容姿における大きな 「ハンデキャップ要因」 のひとつともなっています (同時に、歯列矯正用の道具 (ワイヤー) などは幼さの記号として見る傾向もあります)。

 日本でも近年、豊かになったこと、西洋的価値観が広まったこと、審美的見地、適切な発音 環境 の確保や虫歯予防のため、歯列矯正が積極的に広く行われています (健康保険の適用も大きな影響がありました)。 一方で歯並びの悪さを未成熟で幼さの残る歯並びとして 「かわいい」 と見る傾向も昔から強く、とりわけ10代から20代くらいの年代の女性にとっては、他に得がたいチャームポイントの一つとして、独特な存在感を持っています。

 これは欧米人が日本のアニメやアイドルを見て一番驚くポイント、理解しがたい価値観の一つとなっていますが (バブル絶頂期に、「日本は円高で数字的に豊かになっただけで、本当は貧しい、それは歯並びを見ればわかる」 なんて云われましたね…)、アニメなどに関しては、ある種の様式美としてそれなりに海外へも伝播はしているようです。

 しかし現実の人間やアイドル、タレントなどに関しては、歯列矯正が1990年代から広まり、減る傾向にあります。 なお八重歯持ちでデビューしたタレントなどが矯正してしまうと、「八重歯卒業」 などと呼ばれます。 また口元のチャームポイントとしては の表情なども重要ですが、その他、後に台頭し大勢力となった アヒル口 なんてのもあります。

アイドルタレントの八重歯パワーが炸裂

 八重歯をチャームポイントとして話題となったアイドルというと、1971年デビューの小柳ルミ子さんが有名でしょう。 同時期にデビューした天地真理さんや南沙織さんらとともに 「三人娘」 として大人気となりました。

 時代が下ると、 のような存在感で人気を博した80年代アイドルブーム時代の石野真子さんや伊藤つかささん、河合奈保子さんなども人気に。 とりわけ石野真子さんの八重歯は片方ではなく左右両方の堂々たるもので (八重歯でガラスのコップが割れた、などのエピソードあり)、ロリ っぽいタレントには必須のような要素ともなっていました。

 その後1985年1月8日にTBS系列で放映されたドラマ、「毎度おさわがせします」 で国民的アイドルとなった中山美穂さんは、オレっ娘 のブームを牽引する特異なキャラクターとして、単に 「ロリ」 なだけではなく、「生意気」「快活」「小悪魔」 といったキーワードを、八重歯と直接結びつける大きなきっかけともなりました。 これは中山さんがドラマなどで見せた演技によるところが大きいのですが、ツリ目 であったのも影響があったのでしょう。

「怒った」 という感情表現としても

 マンガやアニメの世界では、ヒーロー ものの敵キャラクターや意地悪キャラなどに、わかりやすい記号として 「八重歯」(というより、キバ) が昔から登場していました。 一方で、感情表現の一つとして八重歯を持ってないキャラも怒ったり悪知恵を働かせているシーンの比喩表現として一時的にキバが生える表現が登場。 チャームポイントとして定着して行きます。 元祖を探すのは難しいですが、水木しげるさんの 「ゲゲゲの鬼太郎」(1954年〜) に登場する 「猫娘」 などは、かなりそれに近いものかと思います。

 また 「八重歯」=「かわいい」 をあらわす代表的なキャラといえば、そもそも 「鬼」 という 設定 だったマンガ、「うる星やつら」(高橋留美子さん/ 小学館/ 週刊少年サンデー/ 1978年〜1987年) の ヒロイン、「ラムちゃん」 でしょうか。 「八重歯」 をかわいいものとする考えは日本では古くからありますが、怒ったり拗ねたりする状態に 「八重歯」 くらいしっくりくるものもなく、その後は 「感情表現」 ではなく、「八重歯そのものがチャームポイント」 というキャラが増殖することとなります。

 とりあえず 「万能文化猫娘」 の 「ぬくぬく」 と 「らき☆すた」 の 「日下部みさお」 は、ガチ

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年7月22日)
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