うちのサークルはギャグ中心だからアレですが… 「わいせつ」
「わいせつ」(猥褻) とは、劣情を喚起することを主な目的とした表現方法、およびその作品…って、国語辞典的に書いてしまえば簡単ですが、極めて主観的かつ時代的、おまけに根元的な領域を扱う言葉だけに、とても一言では説明仕切れません。
現在では、とりあえず 「わいせつ表現」=「性器の直接描写」 とし、それを行わないことが一つの目安となっているようですが (刑法第175条の規制による)、本来はそれぞれ別の問題である 有害コミック問題 や 児童ポルノ法案 (どちらも掛け声は 「子供を守れ」 です) と無理に絡めてまとめて規制しようとする向きもあり、今後どうなるか分かりません。
「露出度、過激度を上げれば売り上げが増える」 ことを期待しての 商業 主義的わいせつ表現なら問題も解決法も比較的シンプルですが、同人 の世界の作品の場合は、「自分の 趣味 をストレートに作品にぶつけた結果」 そうなることも多くあり、表現の自由 (憲法第21条)、同人イベント の存続もからんで、個別・場当たり的な方法でその都度対処せざるを得ない、やっかいな問題だといえます。
人を壊す戦争の描写は良いのに、人を創るセックス描写はダメの不思議
個人的には、“あるべきところにあるべきものがない” 表現に強い不自然さを感じる一方、“あるものをそのまま見せるのに何のはばかりがあるものか” 的な不遜な物言いにもためらいがあります。 それより何より、ちょっとくだけた云い方になりますが、「隠してこそ華」みたいなロートル世代の趣味もありますし
ただ、自分の作品、同人誌 が “トイレの落書き” と同一視されたくないのなら、自分の表現したいものをよく吟味し選別し、また 作者 の手元から離れた表現物が 読者 (世間と云っても良い) から様々な読まれ方や 解釈 をされ、結果的にであれ与えうるであろう影響を事前に考える程度の想像力と努力 (あるいは覚悟) は、不特定多数に何かの作品を発表する者の最低限のマナーとして常に持っていたいものです。
ちなみに 筆者 などは、そうしたマナーを持っていない… と云うか、表現したいものがあまりにアンモラルなので、自分の描いた エッチな マンガ は取りあえず今のところ、門外不出としていま
刑法第175条(猥褻物頒布等)
猥褻の文書、図書其の他のものを頒布もしくは販売しまたは公然これを陳列したる者は、2年以下の懲役または五千円以下の罰金若しくは科料に処す。販売の目的を以てこれを所持したる者亦同じ。
それぞれの言葉の定義には、以下の様な最高裁による判例があります。
・本条にいう 「猥褻文書」 とは、その内容がいたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。
・本条に言う販売とは、不定または多数の人に対する有償譲渡をいう。
・本条にいう公然とは、不特定または多数の人が認識することのできる状態をいう。
チャタレイ夫人の恋人裁判における 「猥褻物の三要件」
わいせつ問題の裁判や法律関係では必ず出てくるものに、「チャタレイ夫人の恋人」 という映画を巡る裁判で最高裁が示した 「猥褻物の三要件」 というものがあります。 現在はこの判例が、わいせつかそうでないかの判断基準となっているようです。
1) 普通人の羞恥心を害すること。
2) 性欲の興奮、刺戟をきたすこと。
3) 善良な性的道義的観念に反すること。