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女子に対するあらゆる形態の
差別の撤廃に関する条約

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女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約

和文テキストのオリジナル
和文テキストのオリジナル

 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women) とは、1979年12月18日にアメリカ・ニューヨークの国連 (国際連合) 本部で開かれた第34回総会で賛成130ヶ国、棄権0、反対1で採択された、「女性の差別をなくそう」 という国際的な条約のことです。

 翌年から国連加盟国の署名がはじまり、1981年9月3日に正式に発効。 日本も採択に賛成し、1980年7月17日に署名を行い、1985年6月24日に国会で条約の締結を承認、翌日となる25日に批准。 その1ヵ月後の1985年7月25日から効力が発生しました。

 略称は、外務省はじめ公式的には 「女子差別撤廃条約」 ですが、「女子」 という言葉が女性を 「女子供(おんなこども)」 といった伝統的な侮蔑意識・表現に根ざす差別的な呼称だとして忌避し、女性問題の活動家や団体、マスコミなどでは、「女性差別撤廃条約」 と呼ぶ場合が多くなっています (日本語には 「男子」 という言葉もあり、本条約中にも使ってありますが)。

 なおこの条約を批准したことにより、日本国内の法整備は粛々と進められ、1986年4月1日施行のいわゆる 「男女雇用機会均等法」 や 「女性労働者に関する労働基準法」、1992年4月1日施行の 「育児介護休業法・育介休法」 などの成立の直接の理由ともなっています。 また学校教育の場で、それまでは女子生徒のみ必修となっていた高校の家庭科を男女必修に改めるなど、様々な影響を与えています。

「男らしさ」「女らしさ」 ではなく、「人間らしさ」 の追求…?

 本人が選べない性別により仕事や仕事の仕方が選べないのは確かに不公平に感じますし、当然ながら女性差別などは、現代にあってはなりません。

 しかし一方で、それまで存在した 「肉体的に男性に比べか弱い女性の保護」 のための各種優遇政策などは逆に男性差別になると撤廃されたり、一部のみは温存されて不公平感を増すなど、問題点も指摘されています。 ただし 「妊娠中の女性」 などは明確に男性とは違いますから、何でもかんでも一緒にしろ、などと乱暴なことは書かれておらず、必要に応じて合理的な男女の待遇・保護への格別の配慮は明記して認める、もしくはそうするよう求める、現実的な条約ともなっています。

 こうした経緯から、身近で分かりやすいところでは、「看護婦」「保母」「スチュワーデス」 といった、女性特有の仕事としてイメージされる職業の呼称や俗称が、「看護士」「保育士」「キャビンアテンダント」 などに改められました。 こちらも女性名に呼応する男性名の 「看護士」「保父」「スチュワード」 などといった名称が元々ありましたが、廃止されたり男女別の呼び名を改めるようになり、初期の頃は現場での混乱などもいくらかありました。 「婦警」 は 「女性警察官」 となるなど、そのまま女性部分の呼称を言い換えただけの名称などもありますが、これら 「名称の改変」 は、その後定着したといって良いでしょう。

 また育児休暇を男性 (父親) が取れるよう企業に求めたり、女性の雇用や待遇を男性と同じレベルにするよう違反への罰則付きで定めるなど、仕事や家庭生活を取り巻く社会の状況も大きく変わるきっかけともなりました。

アダルト要素のあるアニメやマンガ、ゲームなどを規制しろとの根拠に

地球イメージ
地球イメージ

 ところでこの「女子差別撤廃条約」、日本における 「アダルト要素のある アニメマンガゲーム性暴力ゲームの規制強化に向けた提言 など)、あるいは 児童ポルノ などの規制問題を考える上で非常に大きな意味を持つ条約となっていますね。

 条文そのものにも大きな影響がありますが、これを根拠として国連の人権委員会などが日本に状況改善の勧告などを行うことができるからで、その後も折に触れ 「女性差別を煽るアニメやマンガ、ゲームの表現を是正しろ」「法律で明文化して規制しろ」 などといった勧告が、日本国内の女性人権団体からの訴えに応える形で国連からは出されています。

 その中でも大きなものに、日本ではアグネス・チャン氏が協力大使を務める 「日本ユニセフ協会」(国連のユニセフの日本支部ではなく、あくまで募金協力を行う任意団体、法的には 特定公益増進法人) があり非常に有名ですが、こうした団体を窓口とし、その他の人権団体などと協力して日本国内から 「日本はこんなに酷い国なんです」「差別だらけの遅れた国なんです」 といった訴えを国連の場に働きかけている形です。

 こうした仕組みを 「日本ユニセフ協会とユニセフ日本支部 (黒柳徹子氏が親善大使) とは違う」 と、ことさらに主張する人もいますが、それは一面では正しいものの、別の面からみると 「ホンモノのユニセフや国連ならきっと正しいはずだと考えている時点で同じようなものだ」「どちらも所詮は、国連人権委員会とユニセフの関連団体だ」 ともいえます。

「2つのユニセフは違う」 以前に、そもそも 「国連は絶対」 なのか

 最近は強い批判がありだいぶ改善していますが、国連人権委員会といえば、かつては深刻な人権侵害を行っている当事国 (中国やジンバブエ、スーダンなど、国内で大量虐殺行為、強制収容所における強制労働や拷問などが頻繁に行われているような独裁国家) が、他国からの批判をかわす目的で理事の座にすわり、自国の人権侵害の訴えを握りつぶす一方、他の国の些細な人権侵害を裏づけもロクに取らずことさらに騒ぎ立てる場として問題視されるような機関でした。

 実際、北朝鮮による日本人拉致事件などは日本政府が訴えても一切無視し、逆に北朝鮮や韓国が訴える日本の歴史問題などでは、事実関係の確認すらとらず、日本へのデタラメな非難決議を度々行っています。 カルト教団によるマインドコントロールを解くための家族や支援団体の努力を信教の自由を侵害するものだと非難したり、捏造であることがはっきりしている一個人の証言を元に日本への非難決議を出してもいます。

 また下部組織である 「国連子どもの権利委員会」 も、現在進行形で児童の生死にかかわる人権侵害行為が横行している中国や北朝鮮、アフリカや中南米の一部の国々や、チベット (チベット自治区) や東トルキスタン (新疆ウイグル自治区) などに消極的な取り組みをしている一方、日本の外国人問題や歴史教科書の記述などには積極的な勧告や非難を度々行っています。

 もちろん日本は国際社会の一員として国連を全く無視することはできませんが、おかしな理想化や絶対視、神聖視をして、それに必ず従うのが当然というのは大きな間違いです。 国連は警察官でもなければ裁判官でもなく、単なる国家間の利害の調整をするための機関ですし、そもそも人権委員会は国連の単なるいち補助機関です。 日本という国の姿や未来を作り決めてよいのは、自分の国に責任を持つ日本の国民だけです。 全ての国は自分の国の利益、国益を守るために活動しているのですから、他の国のように是々非々で 「合理的で正しいと思われること」 と 「非合理的で根拠のないこと」 とで割り切り、毅然とした態度を取ればよいわけです。

 アグネス氏の 「日本ユニセフ協会」 ではなく、黒柳氏の 「ユニセフ日本支部」 を応援しようという掛け声が 「児童ポルノ法」 問題の反対運動の中でよく聞かれます。 しかし 「ユニセフ日本支部」 も基本的には 「日本ユニセフ協会」 の主張を支持しています。 あまり両者の違いだけを声高に叫ぶと、後で両者が完全な共同歩調を取った時に足元をすくわれる元にもなります。 どちらにも評価すべき点とそうでない点がある、児童ポルノ問題については、どちらにも重大な事実誤認がある、くらいが妥当なものの見方ではないでしょうか。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 全文

 さて、この種の文書は非常に読みづらい文章、体裁となっていますので、ここで一般的なウェブサイトで見かける体裁に整形してみました。 文章はそのままですが、趣旨や文意が変わらない範囲で読みやすいよう改行位置、形状などを整えています。

 正文はアラビア語・中国語・英語・フランス語・ロシア語・スペイン語で書かれていて、日本外務省が翻訳した和文テキストのオリジナルは外務省のサイトに HTML 形式 で開示してあり、条約についての説明や用語の定義、条約や条約締結の意義、署名国・締約国の一覧や、国内の条約実施状況などは、報告書の形で HTML や PDF ファイルとして別に用意されています。

 日本外務省の当該ページは こちら です。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約

 この条約の締約国は、

 国際連合憲章が基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認していることに留意し、世界人権宣言が、差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること、並びにすべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していることに留意し、

 人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的、社会的、文化的、市民的及び政治的権利の享有について男女に平等の権利を確保する義務を負つていることに留意し、国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、

 更に、国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議、宣言及び勧告に留意し、しかしながら、これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在していることを憂慮し、女子に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり、女子が男子と平等の条件で自国の政治的、社会的、経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであり、また、女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に開発することを一層困難にするものであることを想起し、

 窮乏の状況においては、女子が食糧、健康、教育、雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し、衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、アパルトヘイト、あらゆる形態の人種主義、人種差別、植民地主義、新植民地主義、侵略、外国による占領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し、

 国際の平和及び安全を強化し、国際緊張を緩和し、すべての国(社会体制及び経済体制のいかんを問わない。)の間で相互に協力し、全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し、諸国間の関係における正義、平等及び互恵の原則を確認し、外国の支配の下、植民地支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領土保全を尊重することが、社会の進歩及び発展を促進し、ひいては、男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し、国の完全な発展、世界の福祉及び理想とする平和は、あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最大限に参加することを必要としていることを確信し、

 家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかつた女子の大きな貢献、母性の社会的重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し、また、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し、社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して、

 次のとおり協定した。

第一部

第一条

 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

第二条

 締約国は、女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びこのため次のことを約束する。

   (a) 男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。    (b) 女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。    (c) 女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。    (d) 女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従つて行動することを確保すること。    (e) 個人、団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。    (f) 女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。    (g) 女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。
 

第三条

 締約国は、あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第四条

 1 締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。  2 締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。
 

第五条

 締約国は、次の目的のためのすべての適当な措置をとる。

   (a) 両性のいずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。    (b) 家庭についての教育に、社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。
 

第六条

 締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第二部

第七条

 締約国は、自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、女子に対して男子と平等の条件で次の権利を確保する。

   (a) あらゆる選挙及び国民投票において投票する権利並びにすべての公選による機関に選挙される資格を有する権利    (b) 政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利    (c) 自国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加する権利
 

第八条

 締約国は、国際的に自国政府を代表し及び国際機関の活動に参加する機会を、女子に対して男子と平等の条件でかついかなる差別もなく確保するためのすべての適当な措置をとる。

第九条

 1 締約国は、国籍の取得、変更及び保持に関し、女子に対して男子と平等の権利を与える。締約国は、特に、外国人との婚姻又は婚姻中の夫の国籍の変更が、動的に妻の国籍を変更し、妻を無国籍にし又は夫の国籍を妻に強制することとならないことを確保する。  2 締約国は、子の国籍に関し、女子に対して男子と平等の権利を与える。
 

第三部

第十条

 締約国は、教育の分野において、女子に対して男子と平等の権利を確保することを目的として、特に、男女の平等を基礎として次のことを確保することを目的として、女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。

   (a) 農村及び都市のあらゆる種類の教育施設における職業指導、修学の機会及び資格証書の取得のための同一の条件。このような平等は、就学前教育、普通教育、技術教育、専門教育及び高等技術教育並びにあらゆる種類の職業訓練において確保されなければならない。    (b) 同一の教育課程、同一の試験、同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設備を享受する機会    (c) すべての段階及びあらゆる形態の教育における男女の役割についての定型化された概念の撤廃を、この目的の達成を助長する男女共学その他の種類の教育を奨励することにより、また、特に、教材用図書及び指導計画を改訂すること並びに指導方法を調整することにより行うこと。    (d) 奨学金その他の修学援助を享受する同一の機会    (e) 継続教育計画(成人向けの及び実用的な識字計画を含む。)、特に、男女間に存在する教育上の格差をできる限り早期に減少させることを目的とした継続教育計画を利用する同一の機会    (f) 女子の中途退学率を減少させること及び早期に退学した女子のための計画を策定すること。    (g) スポ−ツ及び体育に積極的に参加する同一の機会    (h) 家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の教育的情報(家族計画に関する情報及び助言を含む。)を享受する機会
 

第十一条

 1 締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
 
   (a) すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利    (b) 同一の雇用機会(雇用に関する同一の選考基準の適用を含む。)についての権利    (c) 職業を自由に選択する権利、昇進、雇用の保障ならびに労働に係るすべての給付及び条件についての権利並びに職業訓練及び再訓練(見習、上級職業訓練及び継続的訓練を含む。)を受ける権利    (d) 同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利    (e) 社会保障(特に、退職、失業、傷病、障害、老齢その他の労働不能の場合における社会保障)についての権利及び有給休暇についての権利    (f) 作業条件に係る健康の保護及び安全(生殖機能の保護を含む。)についての権利
 
 2 締約国は、婚姻又は母性を理由とする女子に対する差別を防止し、かつ、女子に対して実効的な労働の権利を確保するため、次のことを目的とする適当な措置をとる。
 
   (a) 妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。    (b) 給料又はこれに準ずる社会的給付を伴い、かつ、従前の雇用関係、先任及び社会保障上の利益の喪失を伴わない母性休暇を導入すること。    (c) 親が家庭責任と職業上の責務及び社会的活動への参加とを両立させることを可能とするために必要な補助的な社会的サ−ビスの提供を、特に保育施設網の設置及び充実を促進することにより奨励すること。    (d) 妊娠中の女子に有害であることが証明されている種類の作業においては、当該女子に対して特別の保護を与えること。
 
 3 この条に規定する事項に関する保護法令は、科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討するものとし、必要に応じて、修正し、廃止し、又はその適用を拡大する。
 


第十二条

 1 締約国は、男女の平等を基礎として保健サ−ビス(家族計画に関連するものを含む。)を享受する機会を確保することを目的として、保健の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。  2 1の規定にかかわらず、締約国は、女子に対し、妊娠、分娩及び産後の期間中の適当なサ−ビス(必要な場合には無料にする。)並びに妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。
 

第十三条

 締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、他の経済的及び社会的活動の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。

   (a) 家族給付についての権利    (b) 銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用についての権利    (c) レクリエ−ション、スポ−ツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利
 

第十四条

 1 締約国は、農村の女子が直面する特別の問題及び家族の経済的生存のために果たしている重要な役割(貨幣化されていない経済の部門における労働を含む。)を考慮に入れるものとし、農村の女子に対するこの条約の適用を確保するためのすべての適当な措置をとる。  2 締約国は、男女の平等を基礎として農村の女子が農村の開発に参加すること及びその開発から生ずる利益を受けることを確保することを目的として、農村の女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、これらの女子に対して次の権利を確保する。
 
   (a) すべての段階における開発計画の作成及び実施に参加する権利    (b) 適当な保健サ−ビス(家族計画に関する情報、カウンセリング及びサ−ビスを含む。)を享受する権利    (c) 社会保障制度から直接に利益を享受する権利    (d) 技術的な能力を高めるために、あらゆる種類(正規であるかないかを問わない。)の訓練及び教育(実用的な識字に関するものを含む。)並びに、特に、すべての地域サ−ビス及び普及サ−ビスからの利益を享受する権利    (e) 経済分野における平等な機会を雇用又は自営を通じて得るために、自助的集団及び協同組合を組織する権利    (f) あらゆる地域活動に参加する権利    (g) 農業信用及び貸付け、流通機構並びに適当な技術を利用する権利並びに土地及び農地の改革並びに入植計画において平等な待遇を享受する権利    (h) 適当な生活条件(特に、住居、衛生、電力及び水の供給、運輸並びに通信に関する条件)を享受する権利
 

第四部

第十五条

 1 締約国は、女子に対し、法律の前の男子との平等を認める。  2 締約国は、女子に対し、民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし、また、この能力を行使する同一の機会を与える。特に、締約国は、契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対して男子と平等の権利を与えるものとし、裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等に取り扱う。  3 締約国は、女子の法的能力を制限するような法的効果を有するすべての契約及び他のすべての私的文書(種類のいかんを問わない。)を無効とすることに同意する。  4 締約国は、個人の移動並びに居所及び住所の選択の自由に関する法律において男女に同一の権利を与える。
 

第十六条

 1 締約国は、婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、男女の平等を基礎として次のことを確保する。
 
   (a) 婚姻をする同一の権利    (b) 自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利    (c) 婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任    (d) 子に関する事項についての親(婚姻をしているかいないかを問わない。)としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である。    (e) 子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可能にする情報、教育及び手段を享受する同一の権利    (f) 子の後見及び養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度に係る同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である。    (g) 夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)    (h) 無償であるか有償であるかを問わず、財産を所有し、取得し、運用し、管理し、利用し及び処分することに関する配偶者双方の同一の権利
 
 2 児童の婚約及び婚姻は、法的効果を有しないものとし、また、婚姻最低年齢を定め及び公の登録所への婚姻の登録を義務付けるためのすべての必要な措置(立法を含む。)がとられなければならない。
 

第五部

第十七条

 1 この条約の実施に関する進捗状況を検討するために、女子に対する差別の撤廃に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この条約の効力発生の時は十八人の、三十五番目の締約国による批准又は加入の後は二十三人の徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において十分な能力を有する専門家で構成する。委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。  2 委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。  3 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月を経過した時に行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも三箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を二箇月以内に提出するよう書簡で要請する。同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、締約国に送付する。  4 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。この会合は、締約国の三分の二をもって定足数とする。この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得て指名された者をもって委員会に選出された委員とする。  5 委員会の委員は、四年の任期で選出される。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち九人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの九人の委員は、最初の選挙の後直ちに、委員会の委員長によりくじ引きで選ばれる。  6 委員会の五人の追加的な委員の選挙は、三十五番目の批准又は加入の後、2から4までの規定に従って行う。この時に選出された追加的な委員のうち二人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの二人の委員は、委員会の委員長によりくじ引で選ばれる。  7 締約国は、自国の専門家が委員会の委員としての職務を遂行することができなくなった場合には、その空席を補充するため、委員会の承認を条件として自国民の中から他の専門家を任命する。  8 委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。  9 国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。
 

第十八条

 1 締約国は、次の場合に、この条約の実施のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する報告を、委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出することを約束する。
 

   (a) 当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から一年以内。    (b) その後は少なくとも四年ごと、更には委員会が要請するとき。
 

 2 報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。
 

第十九条

 1 委員会は、手続規則を採択する。  2 委員会は、役員を二年の任期で選出する。
 

第二十条

 1 委員会は、第十八条の規定により提出される報告を検討するために原則として毎年二週間を超えない期間会合する。  2 委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。
 

第二十一条

 1 委員会は、その活動につき経済社会理事会を通じて毎年国際連合総会に報告するものとし、また、締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見とともに、委員会の報告に記載する。  2 国際連合事務総長は、委員会の報告を、情報用として、婦人の地位委員会に送付する。
 

第二十二条

 専門機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、専門機関に対し、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。

第六部

第二十三条

 この条約のいかなる規定も、次のものに含まれる規定であって男女の平等の達成に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。

   (a)締約国の法令    (b)締約国について効力を有する他の国際条約又は国際協定
 

第二十四条

 締約国は、自国においてこの条約の認める権利の完全な実現を達成するためのすべての必要な措置をとることを約束する。

第二十五条

 1 この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。  2 国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指定される。  3 この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。  4 この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
 

第二十六条

 1 いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、いつでもこの条約の改正を要請することができる。  2 国際連合総会は、1の要請に関してとるべき措置があるときは、その措置を決定する。
 

第二十七条

 1 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。  2 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。
 

第二十八条

 1 国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。  2 この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。  3 留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、受領された日に効力を生ずる。
 

第二十九条

 1 この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で交渉によって解決されないものは、いずれかの紛争当事国の要請により、仲裁に付される。仲裁の要請の日から六箇月以内に仲裁の組織について紛争当事国が合意に達しない場合には、いずれの紛争当事国も、国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に紛争を付託することができる。  2 各締約国は、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、1の規定に拘束されない旨を宣言することができる。他の締約国は、そのような留保を付した締約国との関係において1の規定に拘束されない。  3 2の規定に基づいて留保を付した締約国は、国際連合事務総長にあてた通告により、いつでもその留保を撤回することができる。
 

第三十条

 この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合事務総長に寄託する。

 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年12月11日)
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