インターネットにおける児童ポルノサイトのモニタリングリポート (2008年9月)
Monitoring on the paedophilia on the internet.September 2008 Report |
イタリアの児童人権保護団体、「テレフォノ・アルバコーレ」(telefonoarcobaleno) が2008年9月までの調査結果をまとめた報告書、「Monitoring on the paedophilia on the internet.September 2008 Report」 による、国別の児童ポルノサイトの数値データです。
1996年に設立された団体 「テレフォノ・アルバコーレ」 は、被害者となった児童へのリハビリテーションや支援などの児童保護活動とは別に、およそ13年間にわたり定点観測的に ネット に存在する児童ポルノサイトを毎日調査し、折に触れリポートにまとめています。
日本では、2004年1月19日に国内メディアが報じた 児童ポルノサイト、日本はワースト8位 の記事の元となった報告書、「MONITORING OF PEDOPHILIA ONLINE ANNUAL REPORT 2003」 が良く知られています。 今回のレポートは、これと調査方法や内容が異なるので同列には見比べられないものですが、同じ児童人権団体が作成したより新しい 2008年の報告書ということで、注目すべき報告書のひとつと云って良いでしょう。
内容は、次の通りです。
国別児童ポルノ・児童性愛者向けサイト
|
|
調査結果そのものの内容よりも、もっと重要な部分
この種の調査は、調査方法だけでなく、その時期によっても大きく数値や内容が変動します。 例えばある国で警察による一斉摘発などがあると、かなりの規模で児童ポルノサイトが一旦閉鎖したり、他の国に拠点を移転したりします。 今回、ドイツが飛びぬけて酷い状況となっていますが (2003年調査データでは 13位/ 71件)、ヨーロッパでの各国別の児童ポルノサイトの摘発状況や、社会情勢などと リンク して考える必要があります。 一方で、この種の調査ではいつもワースト上位を占めるアメリカは、やはり2位につけています。
日本の数が飛びぬけて少ないですが、これは欧米の児童人権保護団体などが、「より悪質で凶悪なものを重視」「より低年齢層を狙った性犯罪を重視」 という 児童ポルノ 問題への取り組みの変遷と、恐らく無縁ではないでしょう。 また欧米では、単なるヌードやエロチカは児童ポルノとは扱っていないという現実もあります。 また多くが欧米にあるアダルト専門の 動画共有サイト の存在も無視できません。
ネット普及により、中国の児童ポルノサイト数が増大
注目すべきは、6位に中国がランクインしているところでしょうか。 この種の調査はいくつかの児童人権保護団体がレポートの形で発表していますが、中国がこの位置で登場したのは初めてでしょう。 経済発展により急速に インターネット 環境 が整いつつある中国ですが、著作権や知的財産を軽んじる傾向があり、動画共有サイトなども次々に立ち上がっていますから、今後世界の児童ポルノの大きな発信国となる可能性があります。
中国と云えば、元々国内で少数民族の児童らの 奴隷的 な人身売買や、虐殺を含む深刻な人権侵害が多数生じている国ですが (中国では、15歳から合法的にアダルトビデオに出演することができ、求人サイトなどにAV女優募集の広告なども出ています)、世界にこれ以上児童ポルノをばら撒き最大の加害国となる前に、何らかの働きかけが必要でしょう。 日本ユニセフ協会の協力大使を務めている中国人のアグネス・チャン氏も、よその国の国会で児童の人権に声をあげる前に、ご自分の国をどうにかされたらいかがでしょうか。
なお日本では、ネットの ブログ や 掲示板 でこの報告書の存在が広められてはいるものの、先の2003年の報告書の時と違い、大手マスコミが一切報じてはいません。 2007年頃から盛り上がる、児童ポルノ法 の改正問題ですが、国内大手マスコミが、海外の人権団体が発表した具体的な数値つきの調査データをほとんど出さないのはなぜなのでしょうか。 あれほどキャンペーンを張って報道に力が入っているのにもかかわらずです。