敵の頭上に無慈悲な鉄槌が下って火の海になる… 「無慈悲な〇〇」
「無慈悲な〇〇」 とは、そのまんまですが、冷酷・非情・残忍に何かを行うこと、相手のことなど一顧だにせず、容赦なくえげつない処置をためらうことなく行うことです。 例えばそれが鉄槌 (攻撃) なら 「無慈悲な鉄槌」 になります。
元ネタ としては、北朝鮮が敵対するアメリカや韓国、日本に対し、プロパガンダ放送やスポークスマンによる対外 コメント において 「敵に無慈悲な鉄槌を下す」「無慈悲で壊滅的な懲罰」「撃滅」 などと威嚇として度々述べることから、掲示板 2ちゃんねる などにおいて流行したものです。 北朝鮮のいう 「無慈悲な鉄槌」 や 「懲罰」 とは武力行使のことであり、合わせて 「無尽強大な軍事的力を総動員」「火の海にする」「跡形もなく焦土化する」 などが使われることもあります。
これらは ネタ としてまとめられ コピペ (北朝鮮無慈悲シリーズ) として流布し、また 「無慈悲な〇〇」 という言い回しも様々なものに当てはめて使われるようになっています。 例えば 「会社から無慈悲な休日出勤を命じられた」「限定品 を買おうとしたら無慈悲な 完売 を食らった」 といった具合です。 何かと使い勝手が良い上に言葉として可笑しみもあり、また ネット で使われがちな様々なフレーズ (例えば 「悲報」 とか 「大勝利」 など) との食い合わせが良いのが、良く使われる理由なのでしょう。
なお対義語というか対の 概念 となるのは日本政府がしばしば他国の横暴なふるまいやコメントに対して使う 「遺憾の意」(とても残念な気持ち) で、北朝鮮が飛翔体 (弾道ミサイル) などを飛ばすたびに遺憾の意の表明をしていることから、「無慈悲な弾道ミサイル vs 遺憾の意 (あるいは遺憾の意ミサイル)」 との パロディ や コラ画像 なども作られています。
北朝鮮の特徴的な恫喝フレーズまとめコピペ
無慈悲な鉄槌
無慈悲な懲罰
無慈悲に撃滅
無慈悲に粉砕
無慈悲な報復
無慈悲な報復打撃
無慈悲な対応措置
無慈悲な軍事的措置
無慈悲な軍事的打撃
全般的な戦線で無慈悲に対応
容赦ない攻撃
容赦なく撃墜
容赦なく処罰
容赦ない軍事的措置
全般的前線での容赦ない粉砕
際限の無い報復打撃
より恐ろしい懲罰
全戦線での全面的軍事打撃行動
再侵略戦争の砲声
報復聖戦
壊滅的な打撃
物理的打撃で鎮圧
予想を超える打撃
強力な物理的報復
戦争挑発の前奏曲
本当の戦争の味
未公開で最先端の世界的な打撃力量と安全保衛手段がある
この世の誰も体験したことのない最も厳しい懲罰
先軍の銃でことごとく一掃
本当の戦争を見せる
北朝鮮無慈悲シリーズコピペ (ボジョレーヌーボー品評風)
95年「ここ数年で一番出来が良い無慈悲な鉄槌」
96年「10年に1度の無慈悲な懲罰」
97年「1976年以来の無慈悲な撃滅」
98年「10年に1度の無慈悲な粉砕」
99年「無慈悲な報復は昨年より良い」
00年「出来は上々で申し分の無い無慈悲な報復打撃」
01年「ここ10年で最高の戦線で無慈悲に対応」
02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る容赦ない攻撃」
03年「100年に1度の容赦なく撃墜」「近年にない良い容赦なく処罰」
04年「容赦ない軍事的措置が中々の出来栄え」
05年「ここ数年で最高の際限の無い報復打撃」
06年「昨年同様より恐ろしい懲罰」
07年「全戦線での全面的軍事打撃行動で上質な懲罰」
08年「再侵略戦争の砲声と程よい無慈悲な軍事攻撃が調和した鉄槌」
09年「50年に1度の出来栄えの無慈悲な電撃作戦」
10年「2009年と同等の出来のこの世の誰も体験したことのない最も厳しい懲罰」
11年「出来が良く、豊満で本当の戦争を味わうことになる」
12年「史上最悪の出来栄えで休戦協定を白紙とする」
13年「1953年以来の鋼鉄の砲身と戦略ロケットが発射の瞬間を待っている」
何かが起こるたびに威嚇・恫喝もバージョンアップ
これらのコピペは報道などを通して知られた北朝鮮の恫喝フレーズをまとめたり、ボジョレーヌーボーのどの年が当たり年で美味しいかさっぱりわからない大げさかつ適当な品評文を年代別にまとめたコピペを改変・アレンジしたものですが、実際の北朝鮮の威嚇・恫喝も年々改変されています。
とくに核兵器の数度にわたる実験成功 (2006年〜) や弾道ミサイル発射実験の成功、さらに核兵器の小型化と弾道ミサイル弾頭への搭載が可能になったと思われる頃 (2019年) を通じて 「敵の頭上に無慈悲の」「核の雷を」 といった言い回しもされるようになり、また 2010年3月の 「天安沈没事件」、11月の 「延坪島砲撃事件」 といった直接間接に韓国と武力衝突が生じた時期には批判のボルテージも極限にまで高まることとなっています。
ネットにおける無慈悲フレーズの評価は様々ですが、「本当の戦争の味」 はなかなか味わいのある秀逸なフレーズとして人気があるものでしょう。 「戦争の味」 にはナイフを舐めながら残忍な笑みをたたえる姿、しかし実際は大した実力もなく イキって いるだけで、いざ戦うとあっさり倒される 雑魚 の風情があります。
やたらと分不相応な 強い言葉 を使うのは、弱い犬ほどよく吠えるみたいな感じなのでしょう。 しかし韓国との間に小規模な軍事衝突は行っているものの、1953年7月27日の朝鮮戦争休戦協定以来、まともな戦争をしたことがない北朝鮮や軍が、大規模な戦争をしまくり現在進行形でしばしば軍事作戦も行っている世界最強の軍事国家アメリカを前にすると、ちょっと 痛々しい 部分もあります。