CD-ROM からバトンタッチ、現在主流のデジタルメディア
「DVD」(Digital Versatile Disc) とは、CD-ROM などと同じ光ディスクの一種で、デジタルデータを記録するための媒体、データ・ストレージのことです。 それまで主流だった 「CD-ROM」(データ容量 650MB) に比べると、はるかに大容量なのが特徴で、片面一層で 4.7GB、片面二層のものは 8.54GB もの容量があります。
1GBを超えるような大容量の物理データフォーマットは、比較的一般層にも普及したものでは 3.5インチサイズの MO で最大 1.2GB 程度でしたから、画像 や映像などかさばる容量のデータを気軽に記録したり手渡すことができるようになったのは、この 「DVD」 の登場と普及があってこそでしょう。
登場した当時こそディスクメディア本体や記録・再生用ドライブなどが高価だったものの、すぐに廉価化し、さらにビデオテープ (VTR) に比べ圧倒的に同一内容の記録されたパッケージを作るのが安価なため、映画や アニメ、音楽PVなどの商用ソフトがこぞってこのフォーマットでリリースされるようになりました。 また雑誌類に プロモーション のための映像作品や、新作の ゲーム の体験版などが 「付録」 としてつくようにもなりました。
それ以前にも方式が異なる 「LD」(レーザーディスク) が存在していましたが、ディスクのサイズが大きく価格も高いままだったので、「DVD」が瞬く間にソフト類の供給メディアの中心に取って代わることこととなりました。
2005年〜2006年頃には 「CD-ROM」 に シェア で肉薄し、それ以降はほぼ完全に取って代わる状態となり、ゲームソフトやパソコン用データ保存メディアとして、主役といって良い存在となっています。 2000年代後半には、街のコンビニなどでも、DVD しか並んでないような状態となっています。 なお市販の映像ソフトなどを再生するための DVD プレイヤー の登場は 1996年11月、2001年頃には VHS などの ビデオデッキ を出荷台数で上回っています。
「DVD-R」「DVD-RW」「DVD+R」「DVD+RW」…いっぱいあってワケワカメ?
後期の CD-ROM と異なり、パソコンで DVD に 書き込み をするためには専用のソフトが必要です。 また拡張された様々な物理フォーマットと、アプリケーションフォーマットによっても様々な種類があり、慣れないうちは 「どれを買ったらいいんだ…?」 などと悩まされることもあると思います。
パソコン用に使う 「DVD」 は追記型 (一度だけの書き込みできる)、もしくは追記繰り返し記録型 (データ削除やフォーマットで 新規 書き込みができる) の2種類があり、それぞれ 「DVD-R」 と 「DVD-R DL」「DVD-RW」 と 「DVD-RAM」 があります。 書き込み可能型 (本来は DVD 規格外) は 「DVD+R」 と 「DVD+R DL」「DVD+RW」 があります。 実際はこの他、8インチのものとか、マイナーなフォーマット媒体がいくつかあります。
規格が乱立状態となっているのは、開発元のメーカーなどが独自の拡張をしているせいですが、ディスク本体の価格が異なり、また記録・再生用ドライブとの合う合わないもありますから、自分の 環境 や用途に応じたフォーマットを選ぶことが重要です。 もっとも 2000年代後半となると媒体の価格も安くなり、使われる主流となるフォーマットも定まってきていますので、あまり神経質に考える必要はないかもしれません。
同人ソフトの供給メディアとして
コミケ など 同人誌即売会 で 頒布 される 同人ソフト などの供給も、徐々に 「CD-ROM」 から 「DVD」 にシフト。 2007年頃からは、こちらが多数派といって良いでしょう。 これは容量が増えたことによる理由より、メディアの価格が 「CD」 とあまり変わらなくなったこと、書き込みができる 「DVDドライブ」 がとても安価になったのが理由として大きいようです (2004年〜2005年頃までは、まだ少々高かったです)。
ただし 「同人音楽」 の流行など、大きなデータ容量が必要とされる作品も増えていますので、その真価はこれからますます発揮されるといった感じでしょうか。 一方で、大量生産が非常に楽な、「SD カード」 のようなフラッシュメモリタイプを利用した作品も見かけます。