テープかネット配信か、それとも… 「円盤」
「円盤」 とは、円形で板状のもの全般を指す言葉ですが、こと おたく や 腐女子 の世界では、CD、LD、DVD、BD など円盤状の記録媒体、とりわけ音楽や映画、アニメ、ゲーム といった主に エンタメ系 の 商業 コンテンツ の音声・映像・プログラムが記録された再生専用の記録媒体商品を指して使う言葉です。
それ以前は音楽マニアがレコードに対し、オーディオテープと対比する形で音盤やレコード盤などと共に使っていた言葉でしたが、1982年に CD (コンパクトディスク) が登場して普及し、映像については8ミリシネからビデオテープを経て1980年前後の LD (レーザーディスク) の登場 (当時は 絵 が出るレコード扱い) や DVD といった媒体が広がると、その形状と音以外の用途も含むことから併せて円盤と呼ぶようになっています。 円盤以外の販売用媒体はテープ類 (カセットテープやビデオテープ) しかなかったため、対義語は一般にテープとなります。
なお CD も DVD も BD も、パソコンなどでデータを保存するために、中身が何もない記録・書き込み 用のものも存在します。 こちらも円盤と呼びます。 一方、同じくパソコンで記録のために使う フロッピー や MO、ハードディスク (HDD)、あるいは音楽用に使う MD なども記録する部分は円盤状なのですが、プラスチックケースなどに入っていて見えないためか普通は円盤と呼びません。
2010年代前後になると、様々な作品やコンテンツが オンライン で配信されたり、ダウンロード式 の販売方法となったことで、それと対比するためにこれら円盤状の物理媒体全体が円盤と呼ばれるようになり、すっかり おたく用語・腐女子用語として定着した感があります。 同じ意味で、円盤を発売することを物理媒体によるリリースとの意味で 「フィジカルリリース」 と呼ぶこともあります。
最後の最後まで残るのはおたく・腐女子需要なのか
この円盤、時代を下るごとにどんどんと市場から減っていますが、需要 に基づく 供給 でしぶとく残っているのが電子機器や ネット に詳しそうなおたくや腐女子向けのコンテンツばかりなのは面白いところです。
2000年頃に ipod が流行し、当時はレンタル CD などからリッピングした音源を保存して聞くようなものでしたが、徐々にネット配信などもされるようになり、「いずれ CD や DVD などの物理媒体販売はなくなり、残るとしたらネット配信になじめない高齢者層向けの演歌やレトロ映画くらいだろう」 との予測もされていました。 しかし実際は、キャラ絵 が 印刷 されたジャケットや小冊子、封入特典の魅力、アニメイトやゲーマーズといった店舗独自の販売特典を目当てとするおたく・腐女子層ばかりが残ったのは、ある意味面白い 「ねじれ」 です (まあ演歌などは逆にテープ類やレコード類の復権なども後に生じていますが)。
筆者 もかつてはダーティーペアやセーラームーンなどのアニメ LD をせっせと買い集めて帯つきや BOX で保存していましたが、大きなレコードのアルバム (LP) 同様、大きなジャケットは所有する満足感が得られるものでしたし (まあ置き場所には困りますが)、業界が 「もう円盤はやらん」 とでも思わない限り、いつまでも販売され続け、また買い続けられるのかもしれません。
さすがに最近はネット配信が中心になって数は減っていますが、2020年段階でも未だに CD や BD は年数十枚 レベル ですが購入していますし (というか、処分してない昔買った CD や LD、DVD が少なく見ても 4,500枚以上あります…)、もうどうしようもないですね w 1990年代に購入した LD などはその後怖くて再生していませんが、たぶんダメになってるんだろうな…とちょっと悲しくなったりはします。 まあ 推し に対する お布施 みたいなものなので、購入した時点で役割は終えたみたいな話ではありますが。
ちなみに知人の旦那さんが脱サラしてカフェをやるという話があって、「うちの旦那はジャズのマニアだから CD がいっぱいある」 と云うので、どのくらいあるのかと聞いてみたら300枚は軽く超えているとか云われて、逆に衝撃を受けたことがあります。 そうか… 一般人 にとっては 300枚がマニアなのか…そうか…。 別に数が少なすぎるとか、こっちの方がたくさん持っているとか マウント を取りたいわけでは全くなく、純粋におたくと一般人の基準ってここまで違うものなのかと思い知らされました…ていうか、お店で BGM として掛けたら、大昔の名盤でもない限りたぶん 著作権 で違法だぞそれ… (結局有線放送で対応したみたいですw)。
そういや円盤とはまるで関係ないですけど、無駄なものを捨てる断捨離関係の話で、持ち物を可視化して不必要なものを見つけるために、とくに捨てづらい本を部屋の床に全部並べてみるみたいなノウハウもありますね。 いやあの、床に並べられる程度の冊数とか別に無理に捨てる必要なくない? みたいな。 ていうか100冊とか200冊程度の本は別におたくじゃなくてもそれなりに読書好きなら家にあるような気がするけれども、それがズラーっと並べられる部屋ってどんだけ広いのよとか、このあたりも対象物に興味がない人との感覚の違いがあまりに大きくてちょっと眩暈がしたりもしますが。