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サブリミナル効果

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実在するのか、単なる都市伝説・ニセ科学か… 「サブリミナル」

 「サブリミナル効果」(Subliminal stimuli) とは、人間が意識の中で 認知・識別できない映像や 画像 をそれと見えない動画や画像などに巧みに混ぜ込み、本人が気づかない無意識下・潜在意識に働きかけて特定の情報やメッセージを刷り込むこと、ひいては意思誘導や洗脳を目的とした映像手法を指す言葉です。 なおサブリミナル (Subliminal) とは、意識と無意識 (潜在意識) の境目、閾といった意味です。

 動画の中に全く関係のないメッセージやイメージを一瞬だけ (1コマや数フレーム単位) で混ぜるなどの方法がよく知られていますが、画像 (静止画) の中に模様やデザインの一部として特定のメッセージや文字列、マーク (SEX といった文字列や 性器、プロビデンスの目 などの図案) を紛れ込ませる方法や、耳ではきちんと聴き取れないか、あるいはただの雑音にしか聞こえないような音声データを音楽や映像の音声に挿入するケースもあります (極端なものでは、逆再生しないとわからないものなどもあります)。

 ただしサブリミナルによる刷り込み効果が科学的に実証されたことはなく、また 「これはサブリミナルだ」 と主張する人たちが紹介する実例やいくつかのパターンには、明白な勘違いやこじつけ、ほとんどただの陰謀論になっているものも少なくありません。 「サブリミナル効果など存在しない」「非科学的なオカルト、思い込みのニセ科学に過ぎない」 との意見が、こんにちでは一般的になっているといって良いでしょう (一方、陰謀論を唱える人は、これら 「効果がない」 との意見自体が陰謀だとする)。

 なおこうした手法による情報やメッセージの挿入は、放送法や映画・映像・音楽関係の業界団体による 自主規制 などにより、行うことが厳しく規制されています。 しかし意図的なのか偶然なのかはともかく実際に行われているケースがあり、その後も様々なパターンが登場しています。

効果が実証されない中、「サブリミナル的手法」 との言い換えも

 科学的に効果が実証されていない = 絶対にそんな効果はない、という訳ではないのですが、「サブリミナル」 という言葉と 「単なるデマだった」 との意見が独り歩きする中、「効果があろうがなかろうが、意図的にサブリミナル手法を行う人に悪意があるのは明らか」「だから批判されて当然」 との意見も近年は強くなっています。

 またはっきりと知覚できるものであっても、何度も何度も繰り返すことで刷り込み効果や 二度聞き効果 を狙う方法それ自体を 「サブリミナル的」 として批判・忌避する意見も増えています。

 これらは心理学を応用した意識操作の一種ではあっても本来のサブリミナル効果とは異なるものですが、「知らない間に意思や意識を操作されるのでは?」 との漠然とした恐怖感、あるいはマスコミなどへの不信感から、その後に使われるようになった ステマノイズマーケティング などとも一緒くたにされながら、批判の対象として触れられるケースが増えています。

 一方で、サブリミナルを肯定的・ポジティブ に捉え、「サブリミナル学習法」 といった怪しげな教育手法を使った教材などが、雑誌の広告で盛んに 通販 されていた時期もあります。 内容的には潜在意識に働きかけるメッセージが入ったテープを聴くと脳力がアップするといった他愛のないものですが、バイオリズム学習法とか睡眠学習法といった昔からある商品と一緒で、コンプレックスを刺激する一種のおまじないグッズなのでしょう。 これらは1990年の若者向け雑誌によく見られるものでした。

映画館で行われたコーラとポップコーンの販促サブリミナル

 サブリミナルの話で必ず出てくるのが、アメリカのマーケティング業者が1957年 (1956年とも) 9月から一ヶ月半にわたって行ったとされる、映画館で衝動買いを働きかけるためのサブリミナル実験のエピソードでしょう。

 その内容は映画の上映中にコカ・コーラやポップコーンの画像、あるいは 「ポップコーンを食べよう」「買え」 といった文字メッセージを、人が知覚できないほどの短時間だけ二重映写でスクリーンの画面中に混ぜ込んだとするものでした。 実験を行った ジェームズ・ヴィカリ氏(James McDonald Vicary/ 1915年4月30日〜1977年11月7日) の主張によれば、これによって観客によるコーラとポップコーンの販売数が上昇したとされています。

 ただしこの実験はきちんとした科学的なものにはなっておらず、そもそも本当にこの実験と称されるものが行われたのかすら不明でした。 映写機を2台使った二重映写なので、現存する映画 (作品名はピクニックとされる) のフィルム自体には細工がされておらず、その真偽は今もって不明です。

 日本においては、当初この怪しげな実験の話が広がり、「サブリミナル効果がある」 という話が広く信じられるようになったものの、この実験が実験とも云えないいい加減なものだったこと、実在も疑わしいことなどがその後知られるようになると、逆に 「サブリミナルなど存在しない、ただのデマ、都市伝説」 との話が広まることになっています。

 その後も様々な実験が何度が行われ、その結果、「極端な個人差があるものの、どうやら人間は0.1秒以下の瞬間的な視覚情報の脳に対する刺激も認知できるらしい」 との意見も出ていますが (ただし意識には上らない)、それがその人間の意思や意識に影響を及ぼすのか及ぼさないのか、誰でも認知できるそのものズバリの広告を見せた時に感じる意思や意識への変化とどう違うのか (知覚できる広告を見せた方が効果があるならわざわざサブリミナルで行う必要がそもそもない)、詳しくはわかっていません。

カルト教団の洗脳に使われていたのでは…? 広まる不信感

 日本においてこの言葉が広く一般でも使われるようになったのは、1995年でした。 その発端は、この年の5月2日に日本テレビ系列で再放送された アニメ 「シティーハンター3」 の第11話にて、オウム真理教の代表、麻原彰晃氏の顔が1フレームだけ挿入されていたことが発覚して大騒ぎになった事件でした。 さらにその後、このシティハンターのサブリミナル挿入を批判していたTBS系列のオウム真理教関連の番組に、同じ麻原代表の顔が何度も挿入されていたことが判明。

 シティハンター3は1989年〜1990年にかけ放映されたシリーズで、くだんの第11話はオウムによる地下鉄サリン事件が起こる前であり、また麻原代表以外の無関係な画像がいくつも 「スタッフのおふざけ」 として挿入されていたのですが (録画したものを ビデオデッキ でコマ送りするとわかる隠しネタ、他の作品にも結構ありました)、いずれも 「カルト教団による洗脳」 を強く連想させるものであったため、大きな批判を受けることになりました。

 日本のテレビ局や映像関連業界などは、高まる批判に応える形でこうした手法の是非を検討。 「通常の視聴において知覚・感知できない方法によって、潜在意識に働きかけたりメッセージ伝達を意図する表現は行わない」 といった主旨で、明文化して禁止することになりました。

 サブリミナルという言葉自体は、ある種の陰謀論や疑似科学・オカルトネタの一種として一部の好事家にはかねてからおなじみの言葉でしたし、1992年12月30日にはフジテレビの人気番組 「世にも奇妙な物語」 でもドラマとして触れられ話題になるなど、一定の認知度はありました。 しかし世間一般に広くこの言葉が知られるようになったのは、この事件が大きかったと云えるでしょう。

 なお日本以外の国では、アメリカやカナダで放映されたテレビコマーシャルの表現を発端に1974年にガイドラインが作成され、サブリミナル広告を 「公の利益に反し、人を欺く広告だ」 と規定。 その後法律で禁止されています。

効果があるのかないのか、漠然とした不安だけが独り歩き

 サブリミナル効果なるものが実際にあるのかどうかはともかく、それを悪用する形で利用している人、あるいは発覚しないならぜひ利用したいと思っている人は少なくないでしょう。 「効果がないなら勝手にやってろ」 とも云えますが、モラルの点で、「本人が気づかないように意見を誘導する」 ことに問題があるのは明らかでしょう。 テレビや映画では行われなくても、企業が制作した動画などには、こうしたものが含まれているものがあったりもします。

 とはいえ、潜在意識に働きかける、心理学を応用して情報を伝えるなどは、誰だって大なり小なり意図してやっていることですし (例えばカラーリングを工夫してイメージをアップしたり、ノリ の良い音楽をBGMにして場を盛り上げる、光や大きな樹木を背にして自分を強く見せるなど)、どこからが 「卑劣なイメージ操作」 で、どこからが 「心理学を応用したイメージ戦略」「悪意のない真面目なアイデアや工夫の範囲のデザイン」 なのか、難しいところもあります。

 TV放映されたニュース番組などの怪しい映像を 動画共有サイトシェア し、ネット民 が手分けしてコマ送りチェックする人が大勢いる現在、むしろサブリミナル効果は、潜在意識に働きかける巧妙な罠というより、正攻法で堂々と意見発信をせずに効果不明な手法に頼ってまでプロパガンダやマーケティングを行う卑劣な表現者をあぶりだす、自爆手法になっているのかも知れません。

 とくにオウム真理教がらみで 「前科」 のある TBS は、その後何度も 「サブリミナルではないか?」 と疑われるような手法 (2006年7月21日放映 JNNイブニング・ニュース の 「731部隊特集」 に、内容と無関係な安倍晋三 官房長官の顔写真が約3秒間にわたって流れるなど) を行なって、その度ごとに ネットお祭り を起こしています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年5月8日)
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