お約束のマナー? 「ス/ラ/ッ/シ/ュ/切/り」
「スラッシュ切り」(スラ切り/ スラッシュぶつ切り) とは、人名などの固有名詞を ネット の ホームページ や 掲示板、あるいは ブログ などに書きこむ際に、一文字ずつスラッシュ (/ Slash) で区切って記述することです。
例えば 「鈴木太郎」 なら、「鈴/木/太/郎」 といった形になります。
もっぱら女性の 同人 の世界で使われている方法で、二次創作 や 芸能同人 などの話題について語る場所 (同人要素 のある場所) では、マンガ や アニメ、ゲーム の キャラクター の名前はもちろん、とりわけ実在する人物 (芸能人やタレント、芸人、スポーツ選手、その他) の名前については、伏字 や暗号めいた 誤変換当て字、逆書き、わざと 誤読 した読み替えを行ったり、こうした 「スラッシュによる文字列の切り分け」 が、ある種の 「マナー」「常識」 のような空気を持っています。
なぜこのような面倒なことをするのかと云うと、そのままの名前で書いてしまうと Yahoo! や Google などの、いわゆるロボット型検索エンジンの情報収集にそれらの 書き込み が拾われてしまい、二次創作や同人に興味のない人、無関係の一般の ファン や本人、その関係者などに容易に発見されてしまうからです。
いわゆる 検索避け (検索エンジンよけ/ 逆SEO) として行われているのですね。
なお 「鈴木太郎///」 などと、スラッシュを末尾に連続で記述するのは、/// といって、「鈴木太郎大好き」 の意味になります。 これはここでいうスラッシュ切りとは何の関係もありません。 また カップリング のことをスラッシュと呼ぶ場合もありますが、こちらも関係はありません。
キーワードを無意味な文字にしてしまうスラッシュ切り
検索エンジンのインデックスや検索結果の表示を得るためのクロールには、「キーワード」、すなわち特定の文字列が密接に関連しています。 「鈴木太郎」 というタレントのサイトをやっているとして、サイト上に 「鈴木太郎」 とか、「すずきたろう」「taro SUZUKI」 などの文字列が含まれていると、検索エンジンのロボット (BOT/ クローラー) がやって来て、検索結果に反映してしまいます。
従って、例えば 「たろう」 なら、「た/ろ/う」 なんて感じにすると、「たろう」 というつながったキーワードとして認識されず、「た」「ろ」「う」 の3つのぶつ切り言葉になり、通常のひらがなの羅列に埋没して検索ワードとして意味がなくなります。 スラッシュが入っていると読みにくい場合には、ピリオド 「.」 を代わりに入れる場合もあります。 「た.ろ.う」 となりますが、「/」 よりはずっと読みやすい感じです。
ただしタレント名をぶつ切りにして無効化しても、そのタレントの活動内容 (例えば出演したドラマ名や共演者の名前、発売した楽曲のタイトル、コンサートの名称などなど) がそのままでは、結局それらが符合 (キーワードマッチ) して検索結果に出てきてしまうケースもあります。
効果としては疑問符もあるスラッシュ切りですが、やらないよりははるかにマシですし、こうしたことに敏感で心配を持つ他のファンから 「何も対策を講じないのは けしからん」 といった厳しい目を向けられる元にもなるので、「効果以前にやるのが当たり前」 のような感じになっている場所もあります。
なお 「/」 と 「.」 とでどちらが効果があるのかといった議論もあるようですが、いろいろ試してみたところ、「効果があるかないかはケースバイケース」 といった感じです。 繰り返しになりますが、効果のあるなしというより、同じ ジャンル の人に 「私は危機意識もあり、ちゃんと対策してます」 というメッセージを出す意味も強い作法なので、そうしたルールが設けられている場に書きこみをするのなら、尊重するのが無用な トラブル を避け、自分の身を守ることにもつながるのでしょう。
ちなみに同人の世界で、なぜそのような面倒な作法が生まれたのかについては、P禁 (一般禁) や J禁、二大禁 などの項目を、あるいは検索避けの項目などを御覧ください。
エゴサーチ避けにもスラッシュ切り分けが
自分で自分のことを インターネット などで検索することを エゴサーチ と呼びますが、本人に知られては困る内容の話などをネット上で行う場合にも、検索避けとして同じような方法が使われることがあります。