ネット活動のみの同人サークルが多数出現 「オン専」
「オンライン専門」「オン専」 とは、同人誌 を発行したり、それを持参して 同人誌即売会 などに参加することがなく、ネット の上でのみ活動をしている 同人サークル のことです。 誤変換当て字 で、「温泉」 とも。
こうした活動形態は パソコン通信 が始まり、パソコンで イラスト (CG) を描いたり、SS (ショートストーリー/ 小説) を書く人たちの出現とともに現れました。 しかし1980年代から90年代くらいまでは、「CGを描いているだけ」「文章を書いているだけ」 で、本人はサークルのつもりがない場合が多かったものです。
「同人誌などを発行し、イベントに参加してこそ初めて同人活動」 のような認識が、同人関係の人たち、それを周りで見ている人たちにも強かったですね。 初期の 「同人サイト」 と云えば、本を出すなどの一般的な同人活動を行っているサークルが、告知 や ファン との交流をするための 「ネット上の単なる連絡先」 のような扱いでした。
しかしネット上で全ての活動が完結するスタイルのサークルが増えてくると、徐々に ニュアンス も変化。 1990年代末から2000年代になり、ITブーム と共に インターネット が普及しネットの利用者が爆発的に増えると、「オンライン活動専門」「オンライン専門」 というサークルが多数出現。
また過去にイベントなどに参加していたサークルが、以降は オンライン のみで活動しますと宣言するケースも増え、現在はむしろ同人イベントなどへ参加する人を 「オフ」(オフライン (Off Line) と区別する状況となっています。 それに伴い、旧来の 「オフ」 という言葉も、若干意味が変わってきているようです。
ここらは、ペンと紙を使って描く マンガ やイラストの 原稿 の執筆スタイルがパソコン上で全て完結するようになって、「アナログ原稿」「デジタル原稿」 と区別されたのと同じで、時代の変化による同人活動の移り変わりといった感じですね。
パソコン通信時代のサークルと現代のサークル
ちなみに 筆者 が現在所属しているサークルは、1995年に 「パソコン通信」 の NiftY-Serve 上の集まりが元になっていて、「SS」 や 「CG」 を多数作成し、それらの作品のライブラリをネット上に持っていましたが (当時は アップローダー などありませんでしたから、バイナリをテキストファイルに変換して 掲示板 に書き込んでいました…)、自分たちでは 「同人サークル」 のつもりは全くなかったですね。 その後 「CG」 を フロッピーディスク にまとめて同人イベントに サークル参加 するようになって、やっと自分たちが同人サークルなのだ…なんて思い始めたものです。
当時はネット上のサークルの数がそうでないサークルに比べ数が少なく、また多くのネット上のサークルが、それぞれイベントなどで同人誌を出している、個人サークル の 主催者 の寄り合い所、作家同士の交流の場のような感じでした。 ネット上の集まりで本を出すケースもありましたが、大半が 合同誌 のような扱いで、それとは別個に自分だけの 個人誌 を、みんな当たり前のように発行していました。 今にして思えば、同じ 趣味、志の人間が集っているんですから 同人 そのものだったわけですが、長年染み付いた固定観念というか、ちょっと不思議な感じですね。
一部では、2000年代末になっても 「本を作りイベントに参加してこそ、やっとサークルとして一人前」 なんて意見を云う人もいますが (昔から多くの同人が、肉筆回覧誌 などの同人誌を活動の中心にしていたので当然でしょうけれど)、単に物理的な道具がノートや本からネットになっただけなので、オンライン専門もオフラインのみも、そしてその中間も、全く同じ 「同人」 なんだという感じがしますね。
なお複数の ジャンル や カップリング で活動していて、そのうちの一部だけをオンライン専門としている人もいます。 例えば 「イベントではギャグパロ本を出しています、エロはオンラインのみです」 なんて感じです。