愛と魂と煩悩を詰め込む白い世界… 「原稿」
「原稿」 とは、同人誌 や書籍をつくるため、印刷 や 「複写」(コピー) を前提とし、マンガ や イラスト、小説や SS などの作品を紙に描いたり印刷 (出力) したり、電子メディアに記録したもののことです。
言葉としては、印刷物の元になるデータという意味になります。 本来の読み方は 「げんこう」 ですが、ネット の一部では、誤読言葉 として 「ハラシマ」 などと呼んだりもします。
様々な 「原稿」 の状態
完成したものは 「完成稿」 と呼んで区別する場合もあります。 また原稿を 印刷所 に入れる (収める) ことは 入稿、そのままの状態で入稿が可能な、完璧に仕上げられ印刷指定までが行われた原稿のことは 完全原稿 と呼びます。 原稿の元になるものは初稿、草稿、第一稿などと呼び、校正 (内容のチェック) を終えてそのまま印刷版の元となる状態は 「校了」 と呼びますが、「原稿が完成した」 という意味で、「稿了」 と表記する人も結構います (本来は誤りです)。
なお直筆でそのまま完成した本になる 肉筆誌 などでは、通常原稿を描くとは呼びません。
マンガ用の 「同人用原稿用紙」 と 「プロ用・投稿用原稿」
マンガなどを執筆する原稿用紙は、別に定型の画用紙やケント紙で一定の厚み (連量) があるものなら何でも構いません。 しかし トンボ や 枠線 のガイドがあらかじめ印刷されていて便利だなどの理由で、画材店でそれ用の原稿用紙として販売されているのを利用するケースも多いでしょう。
この中で、B4サイズの原稿用紙を 「プロ用」「投稿用」、B5サイズやそれ以下のサイズを 「同人用」 などと呼びますが、これは、印刷するときに 「縮小」 をするかどうかの違いで原稿用紙を変える必要があるからとなります。 商業 マンガ誌などは、通常B4で描いて縮小し、B5で刷るわけですね。 同人の場合、スクリーントーン を節約するなどの必要性もあり、縮小なしの同寸 (実寸サイズ) で原稿を作るケースが多く (B5で描いてそのままB5で刷る)、このような違いが生じています。
縮小すると線や 絵 が締まって見えたりしますから (一方、網点 の細かすぎるスクリーントーンは潰れるので、縮小を前提に適したものを選ぶ必要があります)、スクリーントーンが安価になったこともあり、縮小前提での原稿作成も多くなっています。
なお 合同誌 などで複数の作家、サークルなどで本を作る場合、この原稿サイズの指定が間違ってバラバラとなっていると、非常に混乱します。 原則として同じサイズの原稿で揃っていないと印刷をしてくれない印刷屋さんが多いので (もしくは特殊対応となって割高になる)、きちんと 告知 して誤りが生じないようにしましょう。
坊主…ええか、名誉も金も、この白い原稿に埋まってるんや…
真っ白な原稿を前にすると、それが職業・作業としてのマンガ描きや文章書きでも、ちょっと気が引き締まる部分がありますね。 今はパソコンを使って全てを描くなんてケースが増え、アナログな 「紙の原稿用紙」 を使った創作活動は減る一方ですが、とにかく1枚数円からせいぜい数十円の紙に 「何かを描く」 ことにより、その価値が何百倍にもなって人を感動させたり驚かせたり興奮させたりできるのですから、とても面白いものです。