面倒な反面、色々なメリットもある 「直接入稿」
「直接入稿」 とは、同人誌 用の 原稿 を 印刷屋さん などに持参して手渡しで収めること、納品することです。 持ち込み や オフライン入稿 (郵送等も含む) とも呼びます。
自分自身で原稿を携えて印刷所まで足を運ばなくてはならないので、時間と交通費がかかりますが、印刷業者によっては 「持ち込みスペース」 といって、その場で原稿の手直しなどが行えるスペースを持っていたり、仕上がりに関する要望をプロの印刷スタッフと実際に印刷に使う原稿を前に細かく打ち合わせができるので、少しでも本のクオリティを上げたいと、好んで自力で原稿を収める 同人作家 や サークル が結構いるものです。
印刷屋さんにとっては顧客対応の人間を置かなくてはならないなど営業コストが高くなってしまいますが、中には持ち込み大歓迎をうたう業者さんもいます。 その後何年もお付き合いすることになるかも知れない初心者をこのサービスで信頼感ともどもしっかり取り込める上に、対面できちんと説明ができるので、「想像していた仕上がりと違う」 といった行き違いによる トラブル も、後々生じづらいからなんでしょうね。
また締め切りギリギリの時にパソコンで作ったデータを MOディスク や CD−ROM で送る場合、書き込み エラーやフォーマット違いでディスクが読めない…といったことになって焦るケースがありますが、オリジナルのデータが入ったノートパソコンなどを持参すれば、その場でデータの移し変えができたりもできたりします。 土壇場の万が一を考えると、結構有効な入稿方法ともいえます。
オンライン入稿が当たり前の時代に…減りゆく 「直接入稿」
入稿方法にはこうした直接持参する入稿のほかに、原稿を梱包して郵便や宅配便で送る、文字データならFAXで送るなどがあります。 1990年代途中からは、ネット を利用した オンライン入稿 も登場。 カラー印刷の多い同人誌の 表紙 をパソコンで作るケースも増え、その後 本文 (同人誌の中身) も含め、丸ごと一冊の本のデータをパソコンで作るケースも続出。 2000年代に入ってネットの回線速度も上昇し、オンライン入稿は増える傾向にあります。
なお迅速でコストダウンによる安価な印刷費をうたう一部の オンデマンド印刷 などでは、原稿持参のための窓口すらなく、この 「オンライン入稿」 のみを受け付けている場合もあります。 印刷のクオリティに満足できて、入稿のためのフォーマットや各種指定に慣れた人なら、こうした安価なサービスを手軽に利用するのもひとつの手でしょう (オンデマンド印刷はカラー出力があまり得意でないケースが多いので、利用している人は少ない感じがしますが、品質は年々上がっています)。